今注目が集まっている医療や健康情報を病院検索ホスピタが厳選して分かりやすくお届け! 今回は『肥満の人は2倍以上、乳がんの発症リスク』をご紹介させて頂きます。

がんは「予防できる」病気

これまで、欧米にくらべ「アジアは乳がんが少ない」と言われてきましたが、現在、日本では年間約3万5000人が乳がんにかかり、増加傾向にあります。

がんは予防できる病気といわれます。これまでの研究から、がんの原因の多くは日常の生活習慣にかかわるものだとわかっています。生活習慣は国によってちがい、がんの原因も国によって異なります。ですが、生活習慣の改善で多くのがんが予防できることは、日本も欧米も同じといえるでしょう。
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女性の「肥満」と「乳がん」の関連性が明らかに

2014年10月、女性の肥満と乳がんの関連性が、独立行政法人国立がん研究センターがん予防・検診研究センターの研究グループによって明らかになっています。

「肥満の女性は、閉経前後のいずれでも乳がんの発症リスクが高い」と研究グループは、ヨーロッパのがん専門誌・Annals of Oncology(オックスフォード大学出版局)に発表しています。同誌は臨床腫瘍学の分野での国際的なトップジャーナルです。

欧米の研究結果では、身長が高い女性ほど乳がんの発症リスクが高いとの報告がすでにあります。一方、アジアでは、身長と乳がんの関連はこれまで確認されていません。日本人を対象に、大規模(18万人以上)で、長期間(平均約12年間)にわたる研究によって、研究グループは「肥満」と「乳がん」の関連性を示しています。
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肥満指数が高い人は、乳がんのリスクが高い

研究グループは、18万人を越えるデータのプール解析(複数の研究の元データを集めて再解析する方法)で、肥満指数(BMI)と乳がんとの関連を、月経がなくなった状況と合わせて調査しています。

肥満指数とは、BMIとも呼ばれ、Body Mass Indexという肥満度をあらわす国際的な指標です。「BMI = 体重 ÷(身長 × 身長)」で計算されます。BMIが18.5〜25未満を「普通体重」とし、BMI・22が理想の数値で一番健康を保てる状態です。一方、25以上の数値は「肥満」と分類しています。

研究グループは、平均約12年間の追跡のあいだ、乳がんにかかった1783人の患者を対象に「閉経前乳がん」と「閉経後乳がん」に分類し、BMIによる乳がんの発症リスクを比較しています。すると、閉経前・閉経後ともにBMIの数値が大きい人は、乳がんの発症リスクが高くなる傾向がみられました。
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BMIが1つ上がると、発症リスクが約5%上昇

閉経前でBMIの数値が30以上の人は、BMIが23~25の人にくらべ、乳がんの発症リスクが
2.25倍にも達しています。閉経後の乳がんでは、BMIが1つ上がるごとに、発症リスクは約5%上昇する関連性がみられます。

一方、BMIの数値が低い人ほど、閉経後での乳がんの発症リスクは低いことが確認されています。また、閉経前でBMIの数値が低い人では、発症リスクに大きな影響は見られていないようです。
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女性のBMIは「21以上25未満」を目標に

乳がん予防を心がけるには、痩せているほうが発症リスクは低いことが、科学的根拠に基づいて示されています。国立がん研究センターでは、健康に十分配慮しながら、女性のBMIの数値は「21以上25未満」を目標に推奨しています。

乳がんの発生は、20歳過ぎから認められ、40代後半〜50代前半に発症頻度が高くなります。厚生労働省では、40歳以上の女性はできるだけ年1回の乳がん検査を受けるよう、呼びかけています。

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