突然に骨の組織が死ぬ難病「特発性大腿骨骨頭壊死」

今注目が集まっている医療や健康情報を病院検索ホスピタが厳選して分かりやすくお届け! 今回は『特発性大腿骨骨頭壊死』をご紹介させて頂きます。

股関節の骨が死んでしまう難病

「特発性大腿骨骨頭壊死」は、血流の低下により股関節の大腿骨頭、つまり太ももの付け根にある「ボール部分」の骨組織が死んでしまう(骨壊死)病気です。死んだ部分の骨がつぶれてくると、痛みが発生します。急に発症するため、初期には関節の変形による機能障害はあまり見られません。

日本では年間約2200人の新規発症が確認されており、年間受療者数は約1万2000人、発症年齢は30〜50代で働き盛りの年代によく発生するといわれます。男女比は、5:4とやや男性に多くみられます。厚生労働省の特定疾患、いわゆる「国の難病」に指定され、医療費補助の対象です。
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自覚症状がなく、数ヶ月後に突然痛みだす

特発性を含めて「大腿骨頭壊死症」は、初期には痛みが出ないのが大きな特徴です。骨壊死があるだけでは自覚症状はほとんどありません。

死んだ骨がつぶれてきて初めて痛みがあらわれます。骨壊死の発生から痛みの症状が出現するまでには数ヶ月から数年の時間差があり、股関節の動きに制限を感じるなど、違和感を覚えてから急に痛みだすようです。

大腿骨頭壊死症の症状は両脚に起こりやすく、その頻度は50%以上といわれます。片方の脚が大腿骨頭壊死症とわかり、念のためMRI検査を行ったら、反対の脚にも骨懐死が見つかったという例はよくあります。

そして、壊死の範囲が大きいと早く骨がつぶれることが多いようで、壊死の範囲が小さい場合は生涯まったく痛みが出ないこともあります。
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なりやすい人の、2つの要因

厚生労働省・調査研究班の長年にわたる研究によって、特発性大腿骨骨頭壊死の原因はかなり解明されつつありますが、決定的な原因までは分かっていません。分かっているのは、骨頭への血流が途絶して、骨頭が死んでしまうということです。

特発性大腿骨頭壊死症になりやすい要因として、2つが挙げられています。

(1)お酒を飲みすぎることによるもの
(2)ステロイドの服用によるもの

習慣的な飲酒歴、例えば日本酒を2合以上毎日飲んでいるような人、またはステロイド薬を1日平均で15mg以上服用(あるいは投与)したことがある人に比較的多く発生します。特に短期間に大量のステロイド薬を服用した場合は、発症リスクが約4倍といわれています。遺伝との関連は今のところ確認されていません。

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懐死の範囲で違う「2つの療法」

治療は大きく分けて「保存療法」と「手術療法」があります。

懐死の範囲が小さく、症状が軽いようであれば「保存療法」が選択されます。杖などの歩行補助具を使って、痛みの生じている股関節にかかる負荷を減らし、炎症期を乗り切ります。痛みが強いときは、鎮痛薬を服用します。その後、圧潰した骨が修復されることも期待できます。

手術療法には「関節温存手術」と「人工関節置換術」があります。大腿骨頭における健常部分が1/3以上残存する若年者は「骨切り術(関節温存手術)」を行うことがあります。骨切り術は、自骨を切って角度を変えることで、壊死の部分に体重をできるだけ乗せず、健常な部分に一番体重がかかるようにします。骨が潰れなくて済むようにする治療です。

骨頭の壊死範囲が広く、どう骨の角度を変えても無理な場合は、「人工股関節置換術」や「人工骨頭置換術」を選択することがあります。金属あるいはセラミックでできた股関節や骨頭に置換する手術です。自転車や車の運転は退院後数ヵ月ででき、水泳などの運動もできるようになります。
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ステロイド薬との、今後の関わり

特発性大腿骨骨頭壊死の発症に、ステロイド薬が大きく影響していることは確かなようです。しかしステロイド薬は、基礎疾患に対して投与されるため、必要な量は使わなければなりません。

量を減らせば、大腿骨頭壊死症は防げるかもしれませんが、基礎疾患との兼ね合いが難しいところです。現在のところ、特発性大腿骨骨頭壊死に対する有効な予防法は確立されていません。

薬物療法ではスタチン・抗凝固剤・ビタミンEなどが、そして物理刺激として電磁場刺激が有効である可能性が報告されています。厚生労働省の特発性大腿骨頭壊死症・研究班は、「どうすれば予防ができるのか」を目標に日々研究し、また専門医は「骨頭がつぶれてしまうのをどう防ぐか」を考え、治療に取り組んでいます。

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