今注目が集まっている医療や健康情報を病院検索ホスピタが厳選して分かりやすくお届け! 今回は『膀胱炎の正しい治し方』をご紹介させて頂きます。

膀胱炎」と聞いて、「恐い」と感じる人は少ないのではないでしょうか。大抵の人は「おしっこを貯める臓器が炎症を起こしているだけでしょ」とか、「自然に治るんだし」と考えているようです。
膀胱炎が「恐い」のは、こうした「軽いとらえ方」が、あながち間違いでないことです。なのに、「本当に恐い膀胱炎」も存在するのです。
膀胱炎の正しい治し方を紹介します。
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恐くない膀胱炎と恐い膀胱炎とは…

まず「恐くない膀胱炎」の症状ですが、頻尿と排尿時の痛みです。泌尿器科医は「生活に支障をきたさない程度であれば、様子見でOK」といっています。そのうちに軽くなって、こうした症状を忘れていたら、自然治癒したかもしれません。

「恐い膀胱炎」は、頻尿と排尿時の痛みが消えず、さらに①血尿、②排尿時以外での陰部の痛み、③腹痛、④発熱、⑤腰痛――が加わることです。
これは、単なる膀胱炎にとどまっていない可能性があります。膀胱炎が「腎盂腎炎(じんうじんえん)」を引き起こしたかもしれないのです。

腎盂という器官は、腎臓の中にあります。膀胱の細菌が、腎臓にまでさかのぼり、腎盂を障害してしまったのです。しかし、ちょっとおかしいと思いませんか? 腎臓は尿を作る臓器です。尿はそもそも毒素を含んでいます。つまり腎臓や腎盂は、絶えず毒素に触れているわけです。それが細菌ぐらいで炎症を起こしてしまうのでしょうか。

実は、簡単には腎盂腎炎は発症しません。腎盂腎炎になる人は、前立腺肥大症や尿管結石といった、そもそも泌尿器が傷ついている人が多いのです。また、糖尿病は人の免疫力を下げます。免疫力が落ちると、普段はやっつけることができる細菌に、逆にやっつけられてしまうのです。
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また、高齢社会の現代では、お年寄りが尿道カテーテルを挿入することが増えました。それにともない、カテーテルから感染し、膀胱炎から腎盂腎炎へと進行してしまう事例が増えているのです。

排尿時の違和感に加え、腰痛や熱が出るようになったら、すぐに泌尿器科の医者にかかってください。病院ではまず尿検査、血液検査、超音波検査を行います。
検査で重要なのは、感染した細菌の特定です。どういった細菌であるかが分からないと、どの抗生物質を使ったらよいのか分からないからです。
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治療は抗生物質を飲むこと!

治療は抗生物質を飲むことが効果的とされています。服用期間は10日間程度です。医者は、水分を多く摂るよう指示するでしょう。
1、2日経っても重い症状が続く場合、入院することになります。入院といっても、治療は抗生剤の服用と、水分補給のための点滴になります。

再発を繰り返す場合、尿が逆流している可能性があるため、あらためて逆流の有無を調べる検査が行われることがあります。つまり、一度治ったと思っても、再び排尿時の違和感が発生したら、すぐに医者にかかりましょう。

これで治ることが多いのですが、問題は「治ってから」なのです。というのは、膀胱炎腎盂腎炎は、「なりやすい生活」を送っていると、すぐにまた再発するからです。「なりにくい生活」に変える必要があります。

尿道カテーテルを挿入している高齢者の場合は、感染経路がはっきりしているので、とにかく感染しないようにすることが重要です。
入院中も、退院後の自宅でも尿道カテーテルを挿入しているのに、入院中は膀胱炎を起こさず、自宅で起きてしまうのは、自宅では「清潔を維持できていない」からです。時には家族が、医者や看護師から、清潔を維持する方法をもう一度確認した方がいいかもしれません。

糖尿病の人が膀胱炎腎盂腎炎を発症した場合、原因となる糖尿病を完治させることは至難の技です。そこで、別の方法で免疫を上げる取り組みが必要になります。ストレスのない生活を送ったり、適度な運動、野菜を多く摂るといった「よく知られている健康法」はぜひ取り入れてください。

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