「エコノミークラス症候群」には細心の払ってください!

今注目が集まっている医療や健康情報を病院検索ホスピタが厳選して分かりやすくお届け! 今回は『エコノミークラス症候群」』をご紹介させて頂きます。

エコノミークラス症候群とは?

今回の熊本地震だけでなく、東日本大震災や阪神・淡路大震災といった避難生活が長引く災害では、「この病気」は多くの命を奪ってきました。

「エコノミークラス」は、飛行機の座席名のことです。狭い空間に長時間とどまることで発症することからこのような「俗称」が付けられました。実際、エコノミークラスの乗客に多く発症したのです。
医学的な正式名称は「急性肺血栓塞栓症(きゅうせい・はい・けっせん・そくせん・しょう)」といいます。地震による被害者に起きる病気ですので、この記事ではこれ以降、正式名称を使うことにします。

急性肺血栓塞栓症による死亡の特徴は、突然死です。それまで健康だった方が、「ある条件」が重なったことによって、急に死んでしまうのです。
避難所の狭い空間や自家用車の中で長時間座ったままでいると、足の血液の流れが悪くなります。血液には、流れが滞ると「血のかたまり」を作る性質があります。座っている間は、その「血のかたまり」は足の血液にとどまっているのですが、久しぶりに歩き始めたときに「血のかたまり」が肺に到達してしまうのです。

足の血管は比較的太いので「血のかたまり」があっても詰まることはありませんが、肺の血管はとても細いのです。「血のかたまり」はすぐに肺の血管を詰まらせてしまいます。
肺の血管が詰まるということは、「血液中の二酸化炭素が体の外に排出されない」ことと、「肺の中にある酸素を全身に運べない」という2つの「大変な事態」が生じることを意味します。

全身の細胞は、二酸化炭素を血液中に排出します。二酸化炭素を含んだ血液が肺に到着すると、肺は血液から二酸化炭素を抜き出し、呼吸によって体の外に排出します。それと同時に、呼吸によって肺にたまった酸素を血液中に入れるのです。そして酸素を含んだ血液が全身をめぐり、すべての細胞に酸素が届くのです。――これが正常な流れです。
血のかたまりによって肺の血管が詰まることで、こうした「正常な流れ」がストップしてしまうのです。

注目していただきたいのは、「急性肺血栓塞栓症」は、「足に血のかたまりができる」ことと「血のかたまりが肺の血液を詰まらせる」という2つの原因から起きているということです。急性肺血栓塞栓症の予防を考える上でも、2つに分けて考える必要があるのです。

なぜ、狭い空間で座ったままでいると、足に血のかたまりができるのでしょうか。それは足の筋肉が「第2の心臓」と呼ばれるくらい、血液の流れにとって重要な役割を担っているからです。また、足の血管は、極細の肺の血管と比較すると太いといえるのですが、ほかの血管と比較すると細いのです。
それは、血管は心臓から遠くなればなるほど細くなるからです。足の血管は、心臓から一番遠い場所にあるので、「比較的細い血管」なのです。

足の筋肉がきちんと働いて「第2の心臓」として機能しているのであれば、血のかたまりができることはありません。しかし長時間足を動かさない状態にあると、「比較的細い血管」が多い足には、すぐに血のかたまりができてしまうのです。

次に、血のかたまりが肺の血液を詰まらせると、なぜ人は死んでしまうのでしょうか。
肺の血管が詰まっていても、呼吸は継続しています。呼吸によって、酸素はどんどん肺の中に入ってきます。しかし血液が肺に届かないので、その酸素を全身に運ぶことができないのです。
つまり、呼吸をしながら窒息しているようなものなのです。窒息状態に陥ると、失神したりショック症状を引き起こしたりします。この症状はしばらくすると止むことがありますが、それは一時的に血のかたまりを避けて血液が流れただけで、「血管の詰まり」が解消されたわけではありません。
ですので、症状が軽減しても、すぐに医者にかかる必要があるのです。

急性肺血栓塞栓症の治療法は…

急性肺血栓塞栓症の治療法は「薬」と「手術」です

比較的症状が軽い場合は「抗凝固剤」という薬を点滴で投与します。効果が出れば、血液を固まりにくくするワルファリンという飲み薬に切り替えられます。
症状が重い場合は、血のかたまりを強制的に溶かす強い薬「血栓溶解剤」を使います。点滴や静脈注射で投与されます。

緊急時は、カテーテル手術を行います。カテーテルという「ワイヤー」を血管の中に入れ、血のかたまりを直接物理的に壊したり、吸引したりして除去します。
このカテーテル手術は、一刻を争う治療となります。

急性肺血栓塞栓症の予防は、2つあります。「動くこと」と「水分補給」です。

熊本地震では、発生直後に天候が悪化して、動きたくても動けない状況が続いています。それでも動いていただきたいのです。お年寄りの面倒をみている方は、お年寄りに横になってもらい、足の屈伸運動を手助けするだけでも予防になります。もちろんご本人も、1日5分でいいので、屈伸運動やスクワット運動を心掛けてください。

また、被災地ではトイレが不自由になるため、わざと水分を摂らないようにする方がいます。水分が足りないと、血液が濃くなり、血のかたまりができやすくなります。水分補給は、水よりイオン飲料の方が効果的とされています。

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