死ぬ皮膚がん『メラノーマ』とは…

今注目が集まっている医療や健康情報を病院検索ホスピタが厳選して分かりやすくお届け! 今回は『メラノーマ』をご紹介させて頂きます。
致死率がとても高い皮膚がん「メラノーマ」。一見しただけでは、ほくろやシミにしか見えないのですが、放置すると肺や肝臓などに転移します。このメラノーマの治療に、画期的な新薬が登場しました。
「免疫チェックポイント阻害剤」という薬です。
がん治療の権威である国立がん研究センター中央病院の医師、山﨑直也・皮膚腫瘍科長は「まったく新しい治療法で、生存率が劇的に改善しました。もしかしたらメラノーマは『薬で治るがん』になるかもしれません。これは革命的な医療といえます」と太鼓判を押します。

メラノーマとは

まず「メラノーマとは」について解説します。
メラノーマを含む「皮膚がん」全体では、国内では増加傾向にあり、年間1万7千人が発症しています。しかし「日本人のがん」としては10位以内に入らない「少ないがん」です。
皮膚がんにはメラノーマのほか、基底細胞がん、有棘細胞がん、パジェット病があります。中でも「早期発見しないと命に関わる」のがメラノーマです。

メラノーマは体の皮膚のどこにでもできますが、多いのは「末端」です。「人の末端」は、足の裏や手の平、手の指の爪などを刺します。メラノーマの25%は末端に発症します。
メラノーマは「高齢者のがん」と思われがちですが、末端で発症する患者は40代や、それより若い人の場合もあります。
耳にできることもあります。紫外線の影響を受ける顔面に発症することもあります。
メラノーマは、最初は「楊枝の先ぐらい」の小さな点です。その状態で「メラノーマだ、医者にいかなければ」とはなかなかなりません。それで放置されて、数年かけて育ってしまうのです。

メラノーマは自分でもチェックできます。

ポイントは次の4点です。
①6ミリを超えて大きく成長した
②輪郭がいびつ、ぎざぎざ(単なるほくろは輪郭がくっきりしている)
③左右が対称的でない(単なるほくろは円形や楕円で左右対称)
④色に濃淡がある(単なるほくろは「黒だけ」や「茶色だけ」が多い)
大人になってこのような「デキモノ」が皮膚にできたら、メラノーマを疑って、すぐに皮膚科にかかってください。皮膚がんの専門医は国内に100人ほどいるそうです。

皮膚科医は、ダーモスコープという特殊な「虫眼鏡」で「デキモノ」を見ます。医師が何を見るかというと「色の付き方」です。
例えば指にできた「デキモノ」の場合、指紋の色を見ます。指紋は「谷」と「山」があります。ほくろの場合、「指紋の谷」に色素がたまり黒くなっています。メラノーマは逆に、「指紋の山」の部分が黒くなり、「谷」は皮膚の色を保っています。
繰り返しになりますが、この判断は皮膚科の専門医にしかできません。それでも診断が下らないことがあり、そのときは皮膚を切除して、顕微鏡で調べます。

メラノーマは早期発見がとても重要です。育つ前の「薄いメラノーマ」は手術で切除して95%が完治するそうです。しかし進行してしまうと、手術ができなくなります。メラノーマは分厚くなり、がん細胞がリンパ節に転移して、そして全身をかけめぐります。
内臓にまで転移すると、さらに手術は困難になります。
画期的な新薬「免疫チェックポイント阻害剤」はこの段階で投与されるのです。

「免疫チェックポイント阻害剤」は2種類あって2014年に承認された「ニボルマブ」と、2015年承認の「イピリムマブ」です。ニボルマブは、世界で初めて日本でメラノーマの治療に使われました。アメリカの治療法を輸入することが多い国内の医療において、これは画期的なことです。
免疫チェックポイント阻害剤は、いずれも点滴で投与します。

次に、免疫チェックポイント阻害剤が、がんに効くメカニズムについて解説します。
がん細胞は、実は誰もが持っています。しかし免疫細胞が働いているうちは、がんは発症しません。免疫細胞は、がん細胞が生まれると、それを退治するためにがん細胞に集まります。そしてがん細胞を叩いてしまったら、免疫細胞は「自己ブレーキ」をかけます。
免疫細胞に「自己ブレーキ」が付いているのは、「過剰攻撃」を避けるためです。がん細胞を叩き終わった後にも免疫細胞が働いてしまうと、正常な細胞を破壊してしまうからです。免疫細胞に自己ブレーキがあるおかげで、健康な人の体内では、がん細胞だけが消え、正常細胞は元気なままなのです。

しかし、がん細胞はとても「悪どい」のです。なんとがん細胞は、免疫細胞の「自己ブレーキ」を踏んでしまうのです。がん細胞に「自己ブレーキ」を踏まれると、免疫細胞は、目の前にがん細胞があるにも関わらず、仕事を中断してしまうのです。

「免疫チェックポイント阻害剤」の「ニボルマブ」も「イピリムマブ」も、免疫細胞の自己ブレーキに「硬いカバーを被せる」ような働きをします。がん細胞が免疫細胞の自己ブレーキを踏もうとしても、その「硬いカバー」があるため、自己ブレーキを踏めません。それで免疫細胞が活躍できるのです。

「ニボルマブ」は効果の検証ができていて、この薬を使った患者の28%に、メラノーマがなくなったり小さくなったりする効果が認められました。肺に転移したがんが、2カ月で消えてしまった事例も報告されています。

一方「イピリムマブ」の報告では、治療開始から3年後の生存率は20%程度と、決して喜べる数字ではありません。これがメラノーマの恐さです。
しかし3年後以降も生存率が20%程度を維持することが分かりました。このことから、3年後に生存できた方は、「イピリムマブが効いた」ことになり、その後、長く生きることができるのです。
山﨑直也医師は「メラノーマの治療においてこのような薬は初めて」と高く評価しています。ちなみに免疫チェックポイント阻害剤は、がんをやっつける薬ではないので、「薬が効いている」状態でも、実はがんは残ったままになります。がんと人が共存して暮らす、ということになります。

免疫チェックポイント阻害剤は、副作用が強い!!

免疫チェックポイント阻害剤は、副作用が強いという大きな欠点があります。代表的な副作用は、肝機能障害、ホルモンバランスの乱れ、間質性肺炎、筋肉の力が大きく落ちる重症筋無力症、突然の糖尿病、腎炎などです。いずれも深刻な病気です。ただ、こうした副作用を抑える方法も確立されつつあるそうです。
またこれだけ副作用が強いので、免疫チェックポイント阻害剤を使えるのは、体が丈夫な方になります。

いまでは手術ができなくなるほど悪化した場合に、免疫チェックポイント阻害剤を使っていますが、将来的には、手術適応の患者に、手術前に投与して、がんを小さくしてから手術に踏み切る方法も登場するそうです。「ニボルマブ」と「イピリムマブ」を同時に投与する治療法も研究中です。何しろ新しい薬のなので、「使い方」については慎重を期しているようです。

(参考:NHKきょうの健康)

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