今注目が集まっている医療や健康情報を病院検索ホスピタが厳選して分かりやすくお届け! 今回は『居眠り病「ナルコレプシー」』をご紹介させて頂きます。

日中いつどこでも襲ってくる「居眠り病」

ナルコレプシーは「居眠り病」とも言われる睡眠障害の一種です。日中に突然強い眠気がくり返し起こり、眠り込んでしまう病気です。過眠症とも呼ばれます。

夜によく眠っていても、日中に睡眠発作が起こり、授業中や会議中、デートのとき、商談のときなど場所や時間に関係なく突然眠りはじめてしまいます。自動車の運転中に発作が起こり、事故を起こしてしまったケースもあります。
日本はナルコレプシーが世界でいちばん多い国といわれています。それは欧米に比べて、8~14倍の確率で発症しているからです。

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「怠けもの」と誤解されやすい

ナルコレプシーは、ときどきテレビや新聞で取り上げられています。そのため社会的には知られるようになってきましたが、まだ理解は進んでいるとは言えません。

日中によく居眠りをするため「怠けている」「たるんでいる」と誤解されやすく、社会的不適合のレッテルを貼られてしまいがちです。
本人に病気の自覚がないため、治療を受ける機会がなく、社会生活に大きな支障をきたしています。ときには、学校や職場で信用を失うなどして、本人やその家族は辛い思いをしています。

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「金縛り」など、特徴的な4つの症状

ナルコレプシーの発症年齢は幅広く、なかでも10~20代前半に集中し、特に14~16歳が発症のピークです。50代以降での発症はほとんどありません。
患者には、次の特徴的な4つの症状が見られます。4つがすべてあらわれる患者は約20~25%といわれます。

・睡眠発作
・情動性脱力発作
・睡眠麻痺
・入眠時幻覚

(1)睡眠発作
ナルコレプシーにおける眠気は、健康な人が48時間まったく眠らなかったときに感じる強さといわれます。眠気が襲ってくる前に眠り込んでしまうため、本人も居眠りをしたことに気づかないことがあります。
一度の睡眠時間は5分~30分と短いのですが、2時間も経つとまた強烈な眠気に襲われます。ガムを噛んだり、顔を洗ったりなど、さまざまな方法で眠気覚ましを試みるも、決定的な効果はないようです。

(2)情動性脱力発作
喜怒哀楽や興奮などの激しい感情の高ぶりが引き金となって、いきなり顔・首・手足の力がかくんと抜けてしまう発作が起こります。「カタプレキシー」とも呼ばれる発作です。
発作中の意識は正常で、周囲の状況や会話を理解することができます。そして2、3秒~数分たつと体は回復し、力が入るようになります。
発作の強さは患者によってさまざまです。頭や首が前に垂れ下がる・あごが落ちる・舌が回らなくなる・手足に力が入りにくいなどです。その場に転倒し、ケガを負うこともあります。

(3)睡眠麻痺
睡眠麻痺は「金縛り」と呼ばれるものです。寝入りばなや目覚めた直後に体験し、数分以内で落ち着きます。
健康な人の睡眠は、深い眠りの「ノンレム睡眠」と、浅い眠りの「レム睡眠」が約90分周期で一晩に4~5回くり返されます。ノンレム睡眠は脳が眠っている状態で、レム睡眠は体は深く眠り、脳が起きている状態です。
ナルコレプシー患者は「レム睡眠」が、寝入った直後におとずれます。 そのため、意識はあるのに体は動かせないという「金縛り」の状態が起こりやすくなります。

(4)入眠時幻覚
寝入りばなに、鮮明で生々しい夢を見る症状が「入眠時幻覚」です。
人影が見えたり、誰かが襲いかかってきたり、化け物が危害を加えに来るといった恐ろしい夢が多いようです。
睡眠麻痺(金縛り)と同時に起こることが多く、危機から逃げようとしても、手足が動かず助けを呼ぶこともできないため、とても恐ろしい体験をします。

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絞られてきた、2つの原因

ナルコレプシーの原因ははっきり解明されていませんが、これまでの研究によって2つに絞られてきたようです。

◆1つは、遺伝子的な特徴です。ナルコレプシー患者には、ヒト白血球抗原(HLA)に明らかな特徴があります。HLAとは白血球の血液型です。
ナルコレプシー患者は、HLAのうちの4つの抗原が、100%に近く陽性になっています。ただ、健康な人の12~38%でも陽性になるため、この遺伝子を持つことがナルコレプシーを発症するとは言いきれません。

◆2つめは、脳の中の神経ペプチドであるオレキシン(ヒポクレチン)との関係です。多くの患者に、オレキシンを作る神経細胞に何らかの異常があることが確認されています。
脳脊髄液中のオレキシンが不足すると、発症確率が上がることも分かってきました。なぜオレキシンが不足するかまでは解明の途中です。将来的には、オレキシンに関係した新薬が開発される可能性は高いのではと考えております。

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生活習慣の改善と治療薬

これらの症状に思いあたるときは、早めに専門医による診断を受けましょう。
生活習慣のアドバイスと、適切な治療薬で症状が改善されます。最近は新しい薬が開発されているため、治療効果も期待できます。

<この記事の監修医師>

畠山医科歯科クリニック
畠山 毅 (ハタケヤマ ツヨシ) 院長

〒328-0012
栃木県栃木市平柳町2-12-39

診療科目
精神科 児童精神科 心療内科 美容皮膚科 小児歯科 矯正歯科 歯科

<参考ページ>
畠山医科歯科クリニック公式ホームページ
畠山医科歯科クリニックWEB予約ページ

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