今注目が集まっている医療や健康情報を病院検索ホスピタが厳選して分かりやすくお届け! 今回は『レーシックはいいの?』をご紹介させて頂きます。

近視の方なら、「レーシック」という言葉を1度は聞いたことがあると思います。また、コンタクトレンズの装着にわずらわしさを感じている人なら「レーシックは、レーザーによる目の手術」ということもご存じだと思います。

しかし「目にレーザーを当てて角膜を削る」と聞くと、思わず尻込みしてしまうかもしれません。また、レーシックの手術が失敗して訴訟になった事件も起きています。レーシックは「本当に良いものなのか」、そして「安全なのか」――この2点について考えてみたいと思います。
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レーシックとは?

目には2つのレンズがあります。角膜と水晶体です。「モノがはっきり見える」状態は、この2つのレンズを微妙にコントロールすることで維持できています。近視は、角膜と水晶体の調整がうまくいかないために生じる病気です。そこで「第3のレンズ」であるメガネやコンタクトレンズを付けて調整を図るわけです。

レーシックは、調整がうまくいっていない角膜を、強制的に調整してしまう治療法です。具体的には、角膜を削り、屈折率を変えるのです。国内では、厚生労働省が2000年に治療の許可を出しています。世界で広く行われている手術でもあります。

レーザーを当てる時間は、10秒から40秒です。本当に「あっという間」だそうです。手術を受けられるのは、原則20歳以上といわれています。それは成長期だと近視が治る可能性があるからです。
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レーシック治療とは?

レーシックの治療は、健康保険などの医療保険の適用になっていません。全額自己負担です。なので眼科によって料金はまちまちですが、標準的には、両目で20万円から30万円です。

ところが2008年、衝撃的な事件が起きました。東京の眼科医院でレーシックの手術を受けた患者が、細菌性角膜炎という病気を発症したのです。被害者数は70人といわれています。集団感染事件です。手術を手掛けた医師は、業務上過失傷害罪で実刑判決を受けました。

しかし、これをもって「レーシックは危ない」と考えるのは早計なようです。判決文によると、この医師は①手術器具を滅菌していなかった、②複数の患者に同じ刃を使った、③手洗いをしていなかった、④手術着を着ていなかった、というのです。レーシックに限らず、どんな手術でもこの状態で行えば感染が起きるといった、大変お粗末な内容でした。最早、医療行為とは呼べません。

そこで眼科医などで作る公益財団法人日本学科学会は、この事件を受け、声明を発表しました。概要は次の通りです。

①きちんとした知識を持った医師が、適切な方法で清潔に手術を行えば、感染症が起こることは非常にまれ
②感染症は、数千件に1例の割合で生じるが、感染症が生じても適切な方法で対処すれば、きちんと治療できる
③国内では、感染症が連続して発生した事例は(東京の事件以外では)これまでに報告されていない
④ただ、レーシックも体にメスを入れる外科手術なので合併症が全く起こらないということはない

つまり、その他の外科手術と同じくらいの確率で、被害を被るリスクはあるが、レーシックが特別危険な手術というわけではない、ということのようです。
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メリットとは?

レーシックを受けた患者の喜びようは、それは大きいものです。
「温泉で景色を楽しめるようになった」
「メガネを探す生活が嘘のよう」
「コンタクトの乾燥感がストレスだったが、解放された」
これらはいずれも、ある眼科クリニックに寄せられた声です。

最後に、レーシックの「限界」を紹介しておきます。これも日本眼科学会が公表している内容です。
高度な近視や乱視の人は、十分に矯正できないことがあるそうです。またレーシック後も近視の進行が進むことがあります。レーシックによって、夜間の光がよりまぶしく感じる副作用も報告されています。老眼はレーシックで矯正できません。

これらのメリットとデメリットをよく理解した上で、レーシックを受けるかどうかの判断をしてみてください。

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