今注目が集まっている医療や健康情報を病院検索ホスピタが厳選して分かりやすくお届け! 今回は『自律神経失調症』をご紹介させて頂きます。

本記事は綱島こころクリニック 医学博士 新開 浩二 院長にご監修いただきました。

特に原因もなく、下痢動悸めまいやだるさといった俗にいう体調不良に悩まされている人はいませんか。

それらは自律神経の乱れからくる症状である可能性があります。
この自律神経のバランスが狂うことで、現在の身体の状態に不適切な症状が出てきてしまうのです。

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自律神経とは?

自律神経という言葉はよく耳にします。しかし、実際のところ自律神経とは何なのか、何の神経なのか分からないという方も多いと思いますので説明していきたいと思います。

そもそも自律神経は、内臓および血管周囲の筋肉、心臓の筋肉などを支配し、体温調節、循環、呼吸、消化などの私たちの基本的な生命活動の機能を調節している神経です。
この作用は無意識に反射的に起こるものなので、体を動かす他の神経と異なり、意識的に自律神経を操作することはできません。
よって自律神経が乱れると、その間違った指令を抑制することなく、そのまま間違った症状が出てしまうのです。

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自律神経のさらに奥深くを…

自律神経についてさらに詳しく知っていきましょう。

この自律神経には2種類あって、交感神経と副交感神経に分類されます。
そして、交感神経と副交感神経の働きはお互いに拮抗しあっています。主に交感神経は身体を動かしているときに働き、副交感神経は身体を休ませているときに働きます。

すなわち、運動をしているときは交感神経が興奮し、心拍数の増加や血管の収縮、消化管の運動性の低下など、体が活発に動くために必要な指令を出しています。逆に安静時には副交感神経が興奮し、心拍数の低下や血管拡張、消化管の運動性の亢進など、体が休むために、さらに食べ物が消化しやすいように必要な指令を出しています。
体を支配しているこの2つの神経のバランスが崩れたとき、自律神経失調症として様々な症状が出てくるのです。

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自律神経が乱れる原因

どのようなときにこの自律神経が乱れるのか説明します。

生活リズムの乱れ、過度なストレス、もともと体質がストレスに弱い、環境の変化、またホルモンの影響などが挙げられます。自律神経が乱れるのには様々な要因が絡み合っていると考えられ、様々な形のストレスによって引き起こされます。

◆生活リズムの乱れ、たとえば夜更かしなどの身体のリズムと合わないライフスタイルが自律神経のバランスの乱れを引き起こします。
◆社会的ストレスや人間関係など過度なストレスが蓄積することで自律神経のバランスに影響を及ぼします。
◆もともと下痢しやすかったり、環境が変わると眠れなかったり、など生まれつき自律神経が過敏な体質があるところに、疲労やストレスが加わることで、さらに自律神経のバランスが乱れやすくなります。
◆人的あるいは空間的環境が急激に変わることにこころとからだが適応できず、自律神経が乱れてしまいます。
◆女性ホルモンの変化によっても更年期障害など自律神経の乱れが起きます。

改善策

自律神経失調症は治らないと諦めている方はいませんか。粘り強く改善策を続けることで症状が治る可能性は十分にあります。
乱れた自律神経の調子を整える方法を説明します。

まず始めに、どうして自律神経失調症になってしまったのか自らの生活スタイルを見直す必要があります。体質が原因なのか、環境が原因なのかまずは自分で見直すことのできる生活習慣を管理し直すことが重要です。
その上でストレスを取り除く、またストレスのたまりにくい体にしていく必要があります。
精神面からの治療にはカウンセリングなどの心理療法があり、外からの刺激による治療には指圧やマッサージ、整体や鍼灸といった理学療法があります。
また、音楽療法やアロマセラピーを治療に取り入れている医療機関もあります。

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治療薬も…

自律神経調節薬や抗不安薬など自律神経失調症に有効なお薬もあります。また、ビタミンやホルモンも大切です。特に、自律神経のバランスを整えるビタミンA、B、C、Eを含む食べ物を適切に摂取することは、自律神経のバランスを整えることにつながります。

このように、自律神経の乱れは小さな生活習慣の見直しからも修正することができます。自律神経失調症を改善するには、まずは栄養や生活リズムなどを見直すことが大切ですね。

【この記事の監修・執筆医師】

綱島こころクリニック
医学博士 新開 浩二 院長

経歴
1999年 産業医科大学医学部医学科卒業、医師免許取得、産業医学ディプロマ取得
2005年 医学博士(精神医学、臨床精神薬理学分野)

産業医科大学病院神経精神科、小嶺江藤病院(ともに福岡県)、大川病院(大分県)などの医療機関にて外来診療や入院診療にあたる。
また、浅草ファミリークリニック、心のクリニック武蔵小杉など複数の診療所にて外来診療に従事しつつ、大企業の産業医として働く人々の心のケアに携わる。
日吉心のクリニック院長を経て、令和3年5月に綱島こころクリニックを開院。

223-0053
横浜市港北区綱島西1丁目6-19 綱島コア15ビル 3階

診療科目:心療内科、精神科

<参考>
綱島こころクリニック公式ホームページ

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