今注目が集まっている医療や健康情報を病院検索ホスピタが厳選して分かりやすくお届け! 今回は『ガングリオン』をご紹介させて頂きます。

手首にできるグニュグニュしたできもののことを、ガングリオンといいます。痛みもかゆみも生じないことが多いので「どうしたらいいの?」と悩んでいる方も多いようです。

医者にかかって検査をして、結局は「様子を見ましょう」となることが多いのが、ガングリオンです。つまり「放置」「そのまま」です。このように言われると「じゃあ医者に行かない」と考えると思いますが、それでも整形外科にかかることをおすすめします。それはほかの病気が隠れていることもあるからです。
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>ガングリオンは、手首にできることが多い?!

ガングリオンは、手首にできることが多いです。よく発症する年代は20歳から50歳です。女性の患者数は男性の3倍です。大きさは「米粒」から「ピンポン玉」まで成長します。ほとんどの患者は痛みを感じません。まれに神経を圧迫して、しびれや痛み、麻痺などを引き起こします。

グニュグニュの正体は、液体です。液体がたまって時間が経過すると、ゼリーのように「柔らかいけど硬さがある」状態になってしまうのです。まれに「コリコリ」するぐらい硬くなることもあります。
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なぜ手首に液体がたまるのか?

なぜ手首に液体がたまるのかというと、手首の関節は「袋」に包まれているからです。
関節は、骨と骨が結合している場所です。関節を動かすたびに、骨と骨がもろにぶつかっては、骨が摩耗してしまいます。しかし関節を包む袋には「液体」が含まれていて、この液体が、関節の動きを滑らかにする潤滑油の働きをしています。
関節を包む袋は「関節包(かんせつほう)」といいます。

ガングリオンは、この液体が異常に多くなり、関節包が膨らんでしまった状態です。
ではなぜ、関節包の中の液体が増えてしまうのでしょうか。原因は分かっていません。関節の使い過ぎという説もありますが、ガングリオンを発症した関節よりも酷使している関節でガングリオンが起きないことがあります。娘のガングリオンが、母親と同じ場所にできることもありますが、遺伝と証明されたわけではありません。

ガングリオンは手首にできることが多いのですが、足などそのほかの関節にできることもあります。この現象も、ガングリオンの謎を深めています。つまり「なぜ手首に頻繁に生じるのか」「手首の関節とほかの関節の違いはなんなのか」いずれも謎のままです。

ガングリオンは自然治癒することもあり、医者にかかっても「様子を見ましょう」と言われるだけのこともあります。しかし、これが大切です。つまり「本物のガングリオンである」と確定することが、医者にかかる意義なのです。

ガングリオンと似た症状を起こす病気に「滑液包炎(かつえきほうえん)」があります。こちらも関節にグニュグニュができます。滑液包炎は早めに治療する必要があります。「ガングリオンの確定診断」は「滑液包炎ではないという診断」でもあるのです。
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ガングリオンの不快感が大きかったり、美容的に見苦しかったりした場合、整形外科で除去してくれます。ガングリオンに注射針を指して、中のゼリー状の液体を抜きます。手術で切り取ることもあります。ただ手術で除去しても、10%程度の人は再発してしまうそうです。

最後に医療用語の豆知識を紹介します!!

ガングリオンのような「できもの」のことを「腫瘤(しゅりゅう)」といいます。この言葉、「腫瘍(しゅよう)」と似ていますよね。「悪性腫瘍」といえば、がんのことです。
しかも、「同じできもの」のことを「腫瘤」と呼んだり「腫瘍」と呼んだりするのです。この2つの言葉は次のような違いがあります。

腫瘤」は状態のことをいいます。「できものができた状態」のことを「腫瘤」といいます。
「腫瘍」は、腫瘤を検査した「結果」のことをいいます。
つまり「腫瘤を検査した結果、腫瘍であることが分かった」のように使います。ガングリオンの場合は、「ガングリオンが疑われる腫瘤を検査した結果、ただのできものでした。ガングリオンですので、ご安心ください」となります。

「腫瘍」には「良性腫瘍」と「悪性腫瘍」の2つがあります。「良性腫瘍」は「良性」と付いていますが、「良いモノ」では決してなく、「悪性ではない」という意味です。ガングリオンは「良性腫瘍」ですらありません。なので医師は「放置しましょう」と提案するのです。

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