今注目が集まっている医療や健康情報を病院検索ホスピタが厳選して分かりやすくお届け! 今回は『発熱の重要性』をご紹介させて頂きます。

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私たちは風邪など体に異常があると発熱を起こします。
体が発熱すると体がだるくなったり、頭がぼんやりしたりするなど、私たちが日常生活を送るのに支障が出ます。
そもそも私たちは、変温動物ほどではないですが、環境に適する形で体温を一定に保つため、ある程度体温を上げ下げし、体温を調節します。
これは平常時では、ふるえなどによる熱生産と発汗などによる熱放散によって、体温を調節しています。この体温調節は、私たちの身体の環境を整える正常な働きであり、病気とは直接的には関係ありません。

しかし、上記の通り、風邪をひいたときは自然と発熱し、環境に適さない形で体温が上昇します。そして、私たちはこの症状を避ける傾向にあり、病院やドラッグストアで解熱薬を手に入れて服用される方も多いと思います。
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発熱はどのように起こるの?

ではこの発熱はなぜ起こり、私たちの身体にどう働いているのでしょうか。

結論から言うと、この発熱は私たちのもつ免疫機構がウイルスに勝つように適した環境づくりをしているのです。これについて詳しく説明します。

まず始めに発熱そのものが起きる仕組みについて説明します。

◆私たちの身体には体温を調節するために、一定体温の指標となるセットポイントと呼ばれる温度が存在します。
◆これを基準として正常時は、セットポイントより現在の体温が高い場合は、セットポイントの温度になるように体温を下げる熱放散機構が働きます。
◆セットポイントより現在の体温が低い場合は、セットポイントの温度になるように体温を上げる発熱機構が働きます。

一方、風邪をひいたときは
◆セットポイントの温度を自ら上昇させ、体温の上昇を導きます。
◆風邪の症状が終わると自然とセットポイントの温度が下がり、体温も下がっていきます。

したがって風邪による発熱は体が自ら引き起こしているのです。
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発熱は免疫に有利!?

また私たちの身体にはウイルスとたたかう免疫機構が存在します。体内に入ったウイルスを発見すること、ウイルスを直接攻撃すること、ほかの細胞にウイルスの存在を報告することなど様々な働きを免疫機構は担っています。

免疫機構は体温が高い方がよく働きます。
この免疫力は体温が1度下がると37%低下し、体温が1度上がると60%上がると考えられています。よって体温上昇が免疫機構の活性化のカギであり、ウイルスをやっつけるのに必要なのです。
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ウイルス撃退にも好影響!!!

さらにウイルスは低温・低湿の環境を好む傾向があることも発熱には関係してきます。マスクによる風邪の予防は、口腔や口周りを常時湿らせることでウイルスの好まない環境を作ることが目的であるのもそのためです。

したがって、風邪をひいたとき体温を自ら上昇させることでウイルスの好まない環境を作るとともに、ウイルスの増殖を防ぐ役割も果たしています。

これらの発熱の仕組み、免疫機構、ウイルスの増殖抑制を考慮すると、私たちの身体はウイルスと闘うためにわざと発熱をしていることが分かります。
発熱は生体にとって有利に働くのです。
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発熱は利用すべし

これに対して私たちは風邪をひいて熱がでてしまうと、解熱薬を使ってこの熱を下げようとしてしまいます。これは私たちの身体にとってはかえって不利な環境づくりをしてしまっているのです。
熱を下げただけでは、病気が完治したとは言えません。数ある病気の症状の中から、熱を下げているだけにすぎず、ほかの症状の治癒にはなっていません。完全に症状を改善するには、やはり発熱による効率的な治癒が必要となってきます。

確かに発熱は仕事をはじめとする日常生活に支障が出るほどの症状を伴ってしまいますが、これは体が風邪を効率よく治すためには欠かせないものなのです。

したがって緊急を要する場合以外は、薬を使って無理に熱を下げようとせず、体が本来持つ自然治癒力を信じて、早期治癒を心がけてみることも大切だと考えられます。

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