今注目が集まっている医療や健康情報を病院検索ホスピタが厳選して分かりやすくお届け! 今回は『40代女性に急増する「尿失禁」』をご紹介させて頂きます。
かつて、女性の尿漏れの最大の敵は、羞恥心でした。事実を受け止められず、治療が遅れてしまうのです。しかし、製薬会社のテレビコマーシャルや、健康番組で「尿漏れは病気です。病気を治療するのに、恥ずかしがる必要はありません」と啓発するようになり、だいぶ女性の意識も変化してきたといわれています。

尿漏れを引き起こす2大原因は、加齢と、そして出産経験です。しかも最近は、高齢出産の傾向が強まり、これが女性の尿漏れの増加と関係しているのではないか、という説もあります。

「その年代の何%の人が尿漏れに悩んでいるか」を調査したところ、女性では40代が48%で1位でした。そこで、この記事では、40代の尿漏れと、高齢出産との関係についてみてみたいと思います。

尿失禁

尿漏れにはタイプある

尿漏れには、くしゃみや大笑いしたときに漏れる「腹圧性尿失禁」と、尿意を感じてトイレに向かうも、途中で漏れてしまう「切迫性尿失禁」の2タイプがあります。「40代」「出産」に関する尿漏れは、腹圧性尿失禁の方です。

腹圧性尿失禁を起こすのは、骨盤の中の筋肉の衰えだと考えられています。骨盤の中の筋肉のことを、「骨盤底筋(こつばんていきん)」といいます。骨盤底筋は、膀胱や尿道、子宮、腟といった内臓を支えています。なので、骨盤底筋が衰えると、これらの内臓が重力によって落ちてきて、その上の内臓も引っ張られる形で落ちてきます。この現象によって、膀胱や尿道が圧迫され、尿漏れが生じるのです。

また、尿道には2つの括約筋があり、意図に反して尿が出ないように、しっかり口を閉じています。ですので、括約筋が衰えると、口が完全には閉じなくなり、尿が漏れやすくなってしまうのです。

骨盤底筋も、括約筋も、いずれも筋肉です。筋肉は加齢とともに衰えるのが普通です。これが、加齢による尿漏れのメカニズムなのです。


次に、出産が尿漏れを起こすメカニズムを紹介します。まず、妊娠中に尿漏れを起こす人がいます。これは、お腹の中の子供が、お母さんの膀胱と尿道を押し下げてしまうからです。このタイプの尿漏れは、一時的なもので、出産後に解消することが多いです。

しかし、出産後も引き続き尿漏れが起きる場合があります。出産をすると、骨盤底筋の衰えが一気に進む人がいるのです。高齢出産となると、衰えのスピードは加速されます。
筋肉の衰えは、若い人であれば回復が期待できますが、40歳を越えると、回復力も落ちています。それで、近年の高齢出産の傾向が、尿漏れに悩む女性を増やしているのではないか、と考えられるようになったのです。

ちなみに、肥満や便秘の人も、尿漏れを起こしやすいといわれています。もうお分かりですね。肥満体質になると、筋肉が脂肪に置き換わってしまいます。つまり、筋肉が衰えたのと同じ現象が起きます。
しかも内臓にも脂肪が付きますから、重くなった内臓がどんどん落ちてきて、一番下にある尿道や膀胱が逃げ場をなくしてしまうのです。
また、便秘の人は、便のたびにいきむことが多いので、骨盤底筋に負担がかかり、骨盤底筋がゆるんでしまうのです。

筋トレをしましょう!!

しかし、あきらめるのはまだ早いです。筋肉の衰えが問題を起こしているのですから、筋トレをしましょう。

まずは、骨盤底筋の「調子」をセルフチェックしてみましょう。手の人差し指と中指と薬指を、肛門と会陰部の間に軽く押しつけるようにしてみてください。そして、肛門と膣をギュッと閉じてみてください。そのとき、指に、筋(すじ)のようなものがピクピクするのが分かりますでしょうか。
「肛門をギュッ、同時に、筋がピクッ」となれば、骨盤底筋がしっかりしている証拠です。「筋がピクッ」の力強さが、骨盤底筋の筋力と考えてください。

骨盤底筋の筋トレも、これと同じことをします。肛門と膣をギュッとやって、5秒間そのままでにしてください。5秒がつらかったら、3秒でもOKです。3秒も難しければ、最初は一瞬ギュッとやるだけでもいいです。これを頑張って20秒間やってみてください。
そしてしばらくして思い出したら、また20秒やってください。20秒を1セットとして、1日5セットぐらいからスタートするといいでしょう。
1日のセット回数は、あまり増やさなくてもいいです。その代り、長く続けてください。「肛門ギュッ」が癖になるくらい、毎日欠かさず続けてください。

女性の尿道は、直線的で、かつ、男性より短いという特徴があります。元々、尿が漏れやすい構造といえるのです。ですので、尿漏れは、女性に多く発生します。

男性は女性に比べて、泌尿器の病気を自分から明らかにする傾向があります。職場でも「病院に行ったら、前立腺が肥大してるって言われちゃった」と平気に言っている人を見かけませんか。
病気について語ることは、治療への壁を取り除く効果があります。しかし、女性の尿漏れは、そういかないのが現実でしょう。でもせめて、女性の間だけでは、「尿漏れ話タブー」の雰囲気を作らないでください。

40代の女性は、30代の女性が尿漏れに悩んでいることを知ったら、先輩として「尿漏れ? そんなの泌尿器科ですぐに対応してくれるよ。私が通っている病院を紹介してあげようか」と声をかけてあげてください。

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