今注目が集まっている医療や健康情報を病院検索ホスピタが厳選して分かりやすくお届け! 今回は『肺炎』をご紹介させて頂きます。

肺炎

テレビコマーシャルで最近、俳優、西田敏行さんの顔をよく見かけませんか。それは薬品会社のCMで、西田さんは私たちに「肺炎はもう、他人事じゃない!」と訴えています。でも、「肺炎」ぐらい誰でも知っています。それをなぜ、こんなにも強調するのでしょうか。西田さんが心配する「肺炎球菌」について知ると、西田さんの心配がよく理解できます。

肺炎の誤解ベスト3

まず、「肺炎の誤解ベスト3」を紹介しましょう。
誤解その1は、「風邪をこじらせると肺炎になる」です。これは間違いです。肺炎は、細菌やウイルスや食べ物などが、肺炎に入って起きる肺の炎症です。

ではなぜ、多くの人が「肺炎は風邪の発展形」という間違った理解をしているのでしょうか。それは、細菌などが肺に入っても、必ずしも肺炎を起こさないからです。肺炎は、細菌が肺に入り、なおかつ、体の抵抗力や免疫力が落ちているときに発症するのです。
風邪を引くと、抵抗力も免疫力も落ちます。なので、風邪を引くと、肺炎を合併しやすいのです。

誤解その2は、「肺炎より、がんの方が恐い」です。確かに、がんはとても恐い病気です。しかし、高齢者を多く診る医師に、「肺炎は、がんよりは恐くない病気でしょうか?」と尋ねたら、きっと「比べられないでしょう」と答えると思います。高齢のがん患者の中には、がんの治療が順調に進んでいたのに、肺炎を起こして亡くなってしまうことも多いのです。

日本人の死因のトップは、1位「がん」、2位「心臓の病気」、3位「肺炎」です。そして、肺炎で亡くなる人の97%は、65歳以上なのです。これらの数字が示すことは、「肺炎は、高齢者にとっては、がんと同じくらいの、死の病である」ということです。

誤解その3は、肺炎のことを知っている人が勘違いしていることです。「肺炎は、抵抗力が落ちた人がかかりやすい」ということを知っている人は、「肺炎は弱った人がかかる」と考えてしまいがちです。しかしそれは間違いです。肺炎は、元気な高齢者も発症します。

特に気を付けたいのが、インフルエンザと糖尿病です。昨日まで元気だった人が、朝起きたら高熱を出しているのがインフルエンザです。糖尿病を抱える高齢者でも、毎日、ウォーキングに精を出している方がいます。インフルエンザにかかったり、糖尿病を患ったりしている人は、免疫力が落ちているのです。元気に見えても、体の中は攻撃に弱い状態にあるのです。

肺炎

さて、テレビコマーシャルで西田さんは、もうひとつ大切なことを言っています。それは、「肺炎の予防接種を受けましょう」「お住まいの自治体によっては、予防接種の費用を助成しているので、問い合わせてみましょう」ということです。

予防接種で防げる肺炎とは・・

予防接種で防げる肺炎は、「肺炎球菌による肺炎」です。肺炎球菌は、多くの人が持っています。喉や鼻の奥に住んでいて、大抵は大人しくしています。免疫の力が、肺炎球菌を抑え込んでいる、というイメージです。年を取ると、抑え込む力が弱くなり、肺炎球菌が猛威を振るうのです。

予防接種の費用助成は、自治体によってばらばらです。目安は、定価8千円が、4千円の自己負担で済むというイメージです。費用助成を受けられるのは、65歳以上の方です。

次に、「肺炎球菌が原因でない肺炎」をみてみます。そのひとつは、誤嚥性肺炎です。「ごえんせいはいえん」と読みます。
「嚥」は、「燕(つばめ)」ではありません(笑)。「嚥下(えんげ)」の「嚥」です。嚥下とは、「飲み込むこと」です。つまり、「誤嚥」とは「誤って飲み込んでしまうこと」です。

肺炎

食べ物を誤って飲み込むと、胃ではなくて、肺に入ってしまうのです。肺は「超精密機器」といってくらい、「ものすごく重要な仕事を」「ものすごく細かい作業で」「ものすごく丁寧に」行っています。肺は、口と鼻から取り入れた酸素を、血管内の血液に溶け込ませます。肺はさらに、血液が全身からかき集めた二酸化炭素を受け取り、口と鼻から体の外に出すのです。
そんな「超精密機器」に、食べかすが入ってくるのですから、炎症、つまり肺炎が簡単に起きるのです。

肺炎の予防!

最後に、肺炎の予防を紹介します。
肺炎球菌による肺炎の予防には、うがい、手洗い、マスク、そして予防接種です。誤嚥性肺炎の予防は、むせこみに注意することです。介護施設で、お年寄りの食事にドロドロの「ミキサー食」を出すのは、誤嚥を防ぐためです。

そして、肺炎の予防で最も効果的なのは、免疫力を高めることです。
一:規則正しい生活
二:禁煙
三:病気をしっかり治す
この3つをしっかり行ってください。

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