今注目が集まっている医療や健康情報を病院検索ホスピタが厳選して分かりやすくお届け! 今回は『血管力』をご紹介させて頂きます。
これまで血管は「加齢とともにボコボコになり、カッチカチになる」と考えられていました。そこで、同じ年齢の健康な人の血管より「ボコボコ」だったり「カッチカチ」だった場合、「血管年齢が老いている」と表現されていました。「年齢」に基準を置き、血管の状態を表現してきたわけです。

血管

ところがいまは、「血管年齢」ではなく、「血管力」という言葉が使われ始めています。それは、血液をスムーズに流す力と、血管の弾力性は、年齢を重ねても、改善できることが分かってきたからです。
血管力を高めることは、そのまま、心筋梗塞脳梗塞の予防になります。そこで、循環器の医師がすすめる、血管力を高める4つの方法を紹介します。

①ふくらはぎを鍛えよう

血液を多く流す方法はいくつかあります。血管を増やすこともそのひとつです。つまり、道路が渋滞したとき、道路を増やせば渋滞が緩和しますよね。
でも、「血管の数って増やせるの?」って思いませんか? 実は、増やすことができるのです。筋肉を鍛えると、血管は自然に増えるのです。

増やすといっても、目に見える太い血管を増やすことはできません。増えるのは、直径は、8~20マイクロメートルの毛細血管です。1マイクロメートルは、0.001ミリメートルですので、相当細い血管です。毛細血管を肉眼で確認することは不可能です。赤血球がようやく通過できるぐらいの細さです。なぜそんなに細いのかというと、細胞と血液の間で、「酸素と二酸化炭素」の交換と「栄養と老廃物」の交換を行うためです。

毛細血管は、「もっと血液が必要だ」と判断すると、自分で「毛細血管の枝」を延長させたり、新たな「毛細血管の枝」を増やしたりするのです。

さて、話を戻します。毛細血管は筋肉を鍛えることで、延長されたり「枝」が増えたりしますが、全身の筋肉を鍛えることは難しいですよね。そこで、「第2の心臓」と呼ばれているふくらはぎを鍛えることが、最も効果的なのです。

鍛え方はいたって簡単です。立ち上がり、姿勢を正して、両足のかかとを上げるだけです。ふくらはぎに力が入っていることが意識できます。かかとの上げ下げを10回やってください。10秒で済みます。これを1日3回やってください。

血管

かかと上げ運動だけでも、長年続けることで効果が期待できますが、「物足りない」という方には、ウォーキングをおすすめします。ウォーキングは、有酸素運動であり、有酸素運動は毛細血管を増やす作用もあるのです。
目安は時速6kmで20分です。通勤でバスや地下鉄を使っている方であれば、ひと駅手前で降りて歩けばそれで十分です。自家用車通勤の方は、歩かないことが多いので、昼休みに必ず近所のコンビニで、コーヒーまたはガムを買いに行ってはいかがでしょうか。

②青魚を食べよう

血管力を向上させる方法その2は、青魚を食べることです。青魚に含まれる「エイコサペンタエン酸」、略称「EPA」は、一酸化窒素を増やします。一酸化窒素は、血管の弾力性を高め、血管を拡張させる力があります。「血管を拡張させる」ということは、「トンネルの穴を大きくする」ことですから、これも血液の渋滞を緩和する効果があるというわけです。

ブルーチーズも、血管力を高めます。ラクトトリペプチドという成分が、やはり一酸化窒素を増やすのです。

血管

一酸化窒素の増加が血管を拡張させるのと同時に、血管が拡張すると一酸化窒素が増えることも分かっています。血管を広げる食材は、ショウガ、アルコール、唐辛子です。アルコールはもちろん適度でなければなりません。飲み過ぎれば、効果よりも悪影響の方が大きくなります。

③禁煙

血管

血管力を低める最大の原因は、喫煙です。ニコチンは血管を収縮させます。せっかく青魚やブルーチーズ、ショウガなどで血管を拡張させても、タバコを吸ったら元も子もありません。
またニコチンは、血管の細胞を傷つけ、さらに、一酸化窒素の量を減らすのです。

④眠ろう

血管の修復は、睡眠時間に行われます。眠るだけで、血管にいいことをしているのです。また良質な睡眠は、やはり一酸化窒素の量を増やします。

血管力の維持の重要性は、ご理解いただけたかと思います。でも人は、頭で理解していても、なかなか実行に移せないものですよね。
しかも血管力の衰えは、徐々にやってきます。何年も何十年もかけて、「ボロボロ、カッチカチ」になっていくのです。この間、痛みはまったくありません。静かに忍び寄って命を奪うことから、血管の病気は「サイレントキラー」と呼ばれているくらいです。

ですので、血管力を高める行動は、思い立ったときにやらないとならないのです。血管力を高める4つの方法は、この記事を読み終わったいまから始めてください。

▶︎医師が薦める「血管疾患」の名医情報なら【名医ログ】

▶︎医師が薦める「血管外科(下肢静脈瘤など)」の名医情報なら【名医ログ】