今注目が集まっている医療や健康情報を病院検索ホスピタが厳選して分かりやすくお届け! 今回は『慢性活動性EBウイルス感染症(CAEBV)』をご紹介させて頂きます。

3倍に拡大された「指定難病」

昨年(2015年)5月、難病患者に対する法律が成立しました。厚生労働省が規定する医療費助成対象疾病の「指定難病」は110疾患から306疾患に増え、約3倍に拡大されています。これにより、約150万人の難病患者が医療費助成を受けられるようになります。

指定難病は、発病の機構が明らかでない、治療方法が確立されていない、患者数が日本の人口の約0.1%に達していないなど6つの条件を満たしたうえで、討議された疾患を厚生科学審議会が「助勢対象」と承認するものです。

306疾患には、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)など一般認知度の高い疾患もありますが、希少疾患と呼ばれる難病も含まれています。

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難病は、世界に7000種類ある

難病の治療は長引く場合がほとんどです。指定難病が受けられると、患者は診療費・入院費・薬代などの医療費が軽減されます。
診療体制のほかに、研究体制が整えられ、将来的には有効な治療薬が開発される期待は大きくなります。

一方、指定のない難病患者は、全国に多く存在し、見えない闘病生活の不安に加え、経済的な負担が重くのしかかっています。現在、難病は世界に7000種類以上あるといわれます。指定を待つ難病患者の生活をその家族や患者団体が支えています。
法改定により、国の難病対策は新たなスタートを迎えたといえるでしょう。そして多くの課題が残っているのも確かなことです。

2015年10月、声優の松来未祐さんが亡くなりました。
後日、遺族により病名が「慢性活動性EBウイルス感染症」であったと公表されたのは「1人でも多くの人が、早期発見により助かって欲しい」との意向によるものです。

慢性活動性EBウイルス感染症」は、指定を待つ難病の1つです。CAEBVともいわれます。CAEBVは、EBウイルスと呼ばれるヘルペスウイルスが、慢性的に体内で活動し増殖を続けるという症例の少ない疾患です。

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原因不明の高熱がつづき、リンパ節・肝臓に腫れがあらわれます。
現在、化学療法などで軽快することはありますが、有効な治療が確立されていません。症状がおさまっては再燃をくり返し、多臓器不全、血球貪食症候群、悪性リンパ腫などの併発により、いぜん高い致死率を示しています。
欧米では症例が少なく、日本をはじめアジア地域で多いこともあり、研究が進んでいません。

EBウィルスは、90%以上の成人が保有

CAEBVをひきおこすEBウイルスは、すでに日本の90%以上の成人に感染し、生涯にわたって潜伏します。
そこからCAEBVに発症するまでのメカニズムは解明されていません。誰が発症してもおかしくない事態ではあります。そのため、CAEBVの患者団体は「認知度を高めて早期発見につなげたい」と難病指定を求めています。

難病治癒の鍵をにぎる「早期発見」対策

難病の治療は「早期発見」が大きな鍵をにぎります。早期発見ができれば「高い確率で治癒に持ち込める」といわれるほどです。

それには、病名の一般認知が進むことは大事ですが、同じことは医師にもいえます。原因が特定できず、診断までに1年以上もかかった例は少なくないようです。

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指定難病であれば検査費用は軽減されます。すると医師は患者に検査をすすめやすくなり、患者は検査を受けやすくなります。そのことで早期発見・早期治療の助けになるでしょう。

風邪にしては「おかしい」と感じたら

高熱がつづき、その他の風邪の症状が弱い、尿から異臭がする、嘔吐や食欲不振がおきる、とCAEBVの初期症状はとらえにくいものです。意識が朦朧とし、歩行困難になるとの報告もあります。
風邪にしてはおかしいと感じたら、すぐに医療機関に受診しましょう。精密検査による早期発見が大事です。早期治療で90%以上治癒できるとうたう医療機関も日本にあります。

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