今注目が集まっている医療や健康情報を病院検索ホスピタが厳選して分かりやすくお届け! 今回は『コーヒーと健康』をご紹介させて頂きます。

「コーヒーと煙草」この組み合わせは、どこか格好いい雰囲気を漂わせている。すぐにジャズバーが思い浮かぶ。映画のワンシーンにも似合う。一方で、頽廃的なムードも感じる。体に悪いモノを楽しむのは、大人の特権だ。――

ところが、こういったイメージが崩れつつある。煙草が健康に甚大な被害を及ぼすことは、変わりない。しかし、ある研究者によって、「コーヒー悪者説」は否定され、悪者どころか「コーヒー善玉説」が主流になりつつあるのだ。

コーヒー

コーヒーは健康飲料だった

コーヒーが健康にいいことを明らかにしたのは、岡希太郎さん。東京薬科大学名誉教授で、日本コーヒー文化学会という団体の常任理事を務めている。コーヒーについての著書も多い。岡さんは、「コーヒーを毎日飲みなさい」と推奨している。

それだけすすめるにはわけがある。東大と国立がん研究センターが2015年5月に、「緑茶とコーヒーを飲む習慣のある人は、心臓病と脳卒中による死亡リスクが低下する」と発表したのだ。お茶が健康にいいことは有名だが、コーヒーは、そのお茶と肩を並べるほどの健康飲料だったのだ。

お茶とコーヒーに共通する「健康成分」は、カフェインとポリフェノール。これらは、炎症予防作用と抗酸化作用がある。どちらの「作用」も、体を守る力といえる。しかも、カフェインとポリフェノールを同時に摂取することで、相乗効果を発揮することが分かった。

驚きの事実はそれだけではない。カフェインとポリフェノールの量は、コーヒー1杯にそれぞれ100㎎、200㎎含まれている。一方、お茶1杯に含まれる量は、50㎎と100㎎と、半分しかない。
「お茶に肩を並べた」どころか、コーヒーはお茶より健康効果が期待できる飲み物だったのだ。

いい話はまだある。コーヒー研究はさらに進み、現在では、血液サラサラ効果まで分かっている。医者も病院もテレビコマーシャルも、盛んに「動脈硬化にならないよう、血液をサラサラにしましょう」と呼びかけているが、おいしいコーヒーに、こんな効果まであったとは。
コーヒーに含まれるポリフェノールが、肝臓でフェルラ酸に変わり、これが、血液が固まるのを防ぐのだそう。

そのほか、がん予防、糖尿病予防、脂肪燃焼効果が期待できるというのだから、コーヒーは、万能健康飲料といえそうだ。

コーヒー

コーヒー悪者説とは

世界で初めて、がんを人工的に作ることに成功したのは、日本人だ。山極勝三郎博士である。人工がんを作るときに使ったのが、コールタールだった。これにより、コールタールは、発がん物質であることが証明されたのだ。

コールタールは真っ黒。そして、コーヒーも黒い。
しかもコーヒーは、白いコーヒー豆に熱を加えて黒く焦がして作る。こうした「見た目が似ている」という理由だけで、「コーヒーは体に悪い」というイメージになってしまったというのだ。

コーヒー党にとっては、地動説と天動説の違いくらい、インパクトがある話だ。