早期発見に期待。食道がんの前の病変「バレット食道」とは?

本記事の監修医師

sakumadr

医療法人社団 朋仁会 友田内視鏡クリニック
友田 一宇 院長先生

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今回は『バレット食道について』をご紹介させて頂きます。

サザン・オール・スターズの桑田佳祐さんが発病し、マスコミに大きく取り上げられるようになった食道がん。注目を集めるのは、治療が困難だからだ。食道がんの5年生存率は40%ほど。つまり、患者の6割は5年以内に亡くなっているのだ。

その食道がんの早期発見に、新たな道が開けたことを、2016年1月26日付の産業新聞が報じている。記事の見出しは「食道がんになる前の病変 がんへの進行過程解明」。
国立がん研究センターの山本雄介主任研究員のチームが、「このような状態になっていると、食道がんになる」ということを解明したのだ。

バレット食道

バレット食道とは

「このような状態」とは、食道の粘膜組織が変化した状態のことで、この状態になった食道を「バレット食道」と呼ぶ。逆流性食道炎などの病気が原因とみられている。逆流性食道炎は、胃液が食道まで上ってくることで、食道の粘膜が炎症を起こす病気だ。

これまでも「バレット食道になると、食道がんになりやすい」ということは分かっていた。しかし、「なにが」「どのように」なると食道がんに進行するのか、という「過程」が分かっていなかった。ちなみに「バレット」とは、この症状を発見した研究者の名前である。

国立がん研究センターの研究員は、①バレット食道の人と、②正常な食道の人から、それぞれの食道の幹細胞を採取。その幹細胞に、「c―myc」というがん遺伝子を導入した。「c―myc」を導入した①と②の幹細胞を、それぞれマウスに移植したところ、①バレット食道のマウスは腺がんを発症し、②正常食道のマウスは扁平上皮がんを発症した。
このことから、「バレット食道は、食道腺がんの前の病変である」ことが証明されたのだ。

さらに、バレット食道になっている12人の組織のゲノムを解析したところ、バレット食道が進行していた4分の3の人の組織に変異がみられた。つまり、「ゲノムの変異が蓄積することで、食道がんになる」ことが分かったのだ。12人のうち、残りの4分の1の人には組織の変異はみられなかった。

バレット食道

2種類の食道がん

食道がんには2種類あって、「食道腺がん」と「食道扁平上皮がん」という。日本人の食道がんは、圧倒的に「食道扁平上皮がん」が多い。桑田さんも「食道扁平上皮がん」だった。
ところが、逆流性食道炎の患者が増えたことで、バレット食道も増えているという。バレット食道が増え、そこから進行する食道腺がんの患者が増えれば、食道がんの生存率はさらに低下する可能性がある。

今後、「どの遺伝子が変異すると、バレット食道が食道腺がんになるのか」ということが解明されると、食道腺がんの早期発見、早期治療が可能になる。食道がんの治療成績の向上も期待できる。

バレット食道

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