今注目が集まっている医療や健康情報を病院検索ホスピタが厳選して分かりやすくお届け! 今回は『ジカ熱について』をご紹介させて頂きます。

エボラ出血熱、マーズ、新型インフルエンザ…。ここ10年ほど、新しくて恐ろしい病気が次々発生している。そしていま、これまでほとんど聞いたことがなかった病名がニュースを賑わせている。「ジカ熱」だ。
朝日新聞は2016年1月、「中南米渡航、妊婦はご注意 ジカ熱流行、小頭症と関連か」という記事を発表した。厚生労働省も、ホームページで注意喚起している。
国内での感染者は少なく、また、死に至る病気ではないが、基本情報をおさえておこう。

ジカ熱

ジカ熱とは

ジカ熱とは、ジカウイルスに感染すると発症する。症状は、発熱、発疹、結膜炎、筋肉痛などだ。ジカ熱の治療薬は現在のところなく、根本的な治療はできない。発症した場合、対処療法となる。
また、発症しても症状が軽いため、病気に気付かず治癒することもある。発熱などが2~7日続いて治ることが多い。死亡することはまれだ。

ただ、妊娠中の女性が感染すると、胎児に感染し、小頭症という重大な障害が残る可能性がある。これについては後述する。

感染を広げているのは、蚊だ。ジカウイルスに感染した人の血を吸った蚊は、体内でジカウイルスを増やしてしまう。その蚊が、感染していない人を刺すと、蚊の体内のウイルスがその人の体内に入り、感染してしまう。ただ、人から人への感染は否定されている。

現在流行しているのは、アフリカ、中央アメリカ、南アメリカ、アジアの太平洋地域だ。特に中南米で拡大しているといい、具体的な国名は次の通り。
ブラジル、コロンビア、エルサルバドル、仏領ギアナ、グアテマラ、ハイチ、ホンジュラス、マルティニーク、メキシコ、パナマ、パラグアイ、プエルトリコ、スリナム、ベネズエラ

国内で感染者数は、2013年以降で3名。いずれも、海外で感染し、国内で発症し、感染が分かった事例だ。ただ、今後、日本国内の人から日本国内の人に感染する可能性は否定できない。というのも、ジカ熱を広めている蚊は、日本にも生息しているからだ。

ジカ熱を運んでいる蚊は、ネッタイシマカと、ヒトスジシマカで、前者は日本に生息していない。しかし後者のヒトスジシマカは、北海道と青森県を除くすべての都府県で生息が確認されている。

ヒトスジシマカは、水たまりに卵を産みつける。身近なところでは、植木鉢の受け皿や、空き缶などにたまった水にも、ヒトスジシマカの幼虫は発生する。また、墓地や竹林、公園の茂みにも生息している。

ジカ熱が流行しているブラジルの保健省は、妊婦に感染すると胎児にも感染すると発表した。胎児がジカ熱に感染すると、小頭症という病気を負ってしまう危険があるという。

小頭症とは、頭の上部の周囲径が、平均より3%以上小さくなってしまう病気である。「周囲径」は「帽子の大きさ」と表現すると分かりやすいだろうか。脳の発達が遅れたり、知的な障害を負ったりすることがある。
このことを受け、アメリカ政府は、妊婦はジカ熱の流行国に行かない方がいいと警告している。

もしジカ熱の流行国に行かなければならない場合、蚊に刺されない対策が必要だ。予防法としては、長袖長ズボンを着用したり、防虫剤を使うことだ。もし該当国から日本に戻ってきたときに、ジカ熱の兆候が気になったら、最寄りの保健所に相談した方がよい。

ジカ熱