「ガンマナイフ」利用で三叉神経痛治療とは?

今注目が集まっている医療や健康情報を病院検索ホスピタが厳選して分かりやすくお届け! 今回は『「ガンマナイフ」利用で三叉神経痛治療とは?』をご紹介させて頂きます。

病気や健康に関する記事やテレビ番組で、頻繁に登場する「ある言葉」にとまどうことがある。「QOL」である。生活の質、という意味で使われている。
「治癒したか、しないか」は、血液検査の数値や見た目で、客観的に判断できるので、フェアな評価方法といえる。しかし「QOLが向上したか、しないか」はあいまいだ。なのに多くの医師や看護師は「患者のQOL向上を目指す」と言う。それは、QOLが、医療サービスを評価するときの重要な基準になっているからだ。

産経ニュース(2016年1月19日付)の「ガンマナイフ利用で三叉(さんさ)神経痛治療」の記事で、「痛み消え高齢者のQOL改善へ」という副題に目がとまった。なるほど、神経痛は生死を分ける病気ではない。なので、「痛みに耐えながら生活するのか、痛みから解放されるのか」というQOLが焦点になる。
ガンマナイフ

ガンマナイフ治療において

ガンマナイフは、ガンマ線という放射線を「悪いところ」に当てて、切り取る治療器具。「ガンマ線でナイフのように切る」が名称の由来だ。ガンマナイフ自体は最新技術ではない。「三叉神経痛の治療が、ガンマナイフで簡単に行えるようになったこと」が、画期的なのである。

三叉神経は「頭の中」にある神経だ。三叉神経の「神経の糸」は、脳から顔面に伸びていて、顔面が受ける刺激を感知している。頭は「人間の急所」なので、神経が発達している。「頭の中」にはさらに、血管も張り巡らされている。その血管が三叉神経を圧迫すると、強い痛みを生じる。

これが三叉神経痛である。生死を分ける病気ではないとはいえ、記事で紹介されていた、90歳の女性患者の様子を知ると、「ひどい病気だ」と痛切に感じる。女性が痛みを感じたのは、右頬。頻繁に強い痛みが走るという。その痛みにより、食事もままならなくなったそうだ。年配者にとって、食事は最上級の娯楽なはずだ。それが、食事をとれないどころか、苦痛の時間になってしまう。

これまで三叉神経痛の治療法は3つしかなかった。そのうち①投薬と②神経ブロック注射は、対処療法であり、根治は期待できない。一方、③三叉神経と血管を切り離す手術は、根治が期待できるが、全身麻酔の上に開頭までするので、体への負担が極端に大きい。開頭手術とは、頭がい骨を開き、脳をさらけ出す大きな手術だ。
高齢者だと①や②が効かないことがあるそうだ。さらに90歳では、全身麻酔だけで死のリスク高まってしまうので、③のような大手術はそもそも選択肢に入らない可能性がある。
そこに「第4の治療法」であるガンマナイフが登場したのである。ガンマナイフを使った三叉神経痛の治療は、2015年夏に、医療保険の対象になったばかりだ。ガンマナイフは、これまでも脳腫瘍の治療などに使われてきた。ではなぜ、最近まで三叉神経痛の治療には使われなかったのか。そこには技術的な問題があった。

ガンマナイフ

三叉神経痛の治療

ガンマナイフの治療は、ガンマ線で病巣を焼き切るイメージだ。なのでガンマ線を当てる場所がずれれば、正常な細胞を殺してしまうことになる。従来のガンマナイフの精度は「0.5ミリ」だった。つまり「最大0.5ミリは、ずれるリスクがある」ということである。これでは、神経と血管を、傷つけずに切り離すことは難しかった。
それを新型装置では、自動制御にすることで「0.1ミリ」まで精度を上げた。この技術革新により、三叉神経痛の治療に使えるようになったのである。この治療を行っている医師によると、顔の軽いしびれといった副作用はあるが、治療を受けた8~9割は痛みがなくなるという。
90歳の女性は、約50分間、ガンマ線の照射を受けた。翌日には既に頬の痛みは取れ、退院時には食事も問題なくとれるようになったという。
治療を受けたときの年齢は90歳だが、女性は50代に三叉神経痛を発症した。実に30年以上も痛みとともに生活してきたことになる。

ガンマナイフ
 
ガンマナイフは、確実に女性のQOLを向上させたといえるのではないだろうか。

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