国立がん研究センター『がん10年生存率』発表!

今注目が集まっている医療や健康情報を病院検索ホスピタが厳選して分かりやすくお届け! 今回は『がん10年生存率、初集計について』をご紹介させて頂きます。

国立がん研究センターが2016年1月、がんに関する画期的なデータを公表した。「がんの10年生存率」である。「医療介護CBニュース」といったネットニュースもこのことを報じた。
これまで公表されてきたのは「5年生存率」である。しかし、がんは発症から5年以上経過しても、治療を続けることがある。医師や患者からすると、「5年では足りない」となる。
しかし10年のデータを集めることは容易なことではなかった。5年生存率のデータ集めは、患者を5年間追跡すればいいのだが、10年生存率は、10年間追跡しなければならない。単純に2倍の労力がかかる。
また「日本人のがん観」も障害になっていた。いまでこそ「がん告知」は当たり前になっているが、かつては、本人はもちろん、家族にも伝えないことも、この国では普通だった。それでもなお、がんを公表することに抵抗を感じる人は多いはずである。「生存率」を集計するには、患者や家族の協力が欠かせない。「がん治療の一助になれば」という気持ちを多くの日本人が持つようになると、こうした統計数値はより精度が増すのだ。

がん

生存率について

さて、今回公表されたデータによると、すべての部位のがんの「5年生存率」を平均した数値は63%だった。「10年生存率」の平均は58%。イメージとしては、100人のがん患者のうち、5年後に生存していた方は63人で、その後の5年の間に5人が亡くなった、ということになる。
医師によっては「5年間、がんの再発がないので、完治したと考えていいでしょう」と患者に伝えることがある。このデータによって「5年生存=完治」とは言い難くなった、といえるかもしれない。

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臓器別のがん発症率について

次に、がんが発症した臓器別の数字を見てみる。甲状腺がんは、最も数値が高く、10年生存率は91%。その次に前立腺がん84%、子宮体がん83%、乳がん80%と続く。
逆に10年生存率が最も悪かったのは、膵がんの5%だった。100人のすい臓がん患者のうち、10年後も生存しているのはわずか5人ということだ。
膵がんの治療は難しい」という認識は、アップル社の創業者、スティーブ・ジョブズがこの病気で亡くなったことで広く認識されるようになった。数値として、その認識が裏付けられた結果といえる。肝がん15%、胆のう胆道がん20%も、治療の難しさを物語る数値となっている。

「初期で発見されれば完治が見込まれる」との期待が高いがんのうち、胃がんの10年生存率は69%、大腸がんは70%だった。ただ、がんの進行が「ステージⅠ」の段階で治療を受けた患者の10年生存率は、胃がん95%、大腸がん94%と高率であった。胃がん大腸がんも、内視鏡検査で「かなり確実に」発見できる。この検査を受ける価値は十分あるといえそうだ。

ガンマナイフ

いろいろな苦労を重ねて、10年生存率のデータを作ることに、どんなメリットがあるのだろう。まず考えられるのが、患者のメリットだ。現代では、がん治療にはさまざまな選択肢があり、医師もその選択を患者に委ねるようになってきた。「残りの人生の過ごし方」を考えながら、複数の治療のメリットとデメリットを量ることができそうだ。
また、医師にとっては「再発にどれくらいの注意が必要か」という情報になりうる。再発の多い時期を乗り切った患者がいたら、励ますこともできる。「数値の説得力」は相当なものだろう。

この記事では「生存率」という言葉を用いたが、正確には「相対生存率」という。がん患者が、がん以外の原因、例えば交通事故や老衰などで亡くなった場合でも「がん死」にカウントしてしまうと、「がんを克服して生存した率」という意味が薄れてしまう。そこで、がん以外の原因で亡くなった人を除外したのが「相対生存率」である。

参考:国立がん研究センター10年生存率初集計

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