今注目が集まっている医療や健康情報を病院検索ホスピタが厳選して分かりやすくお届け!今回は『なぜ、「ココアが健康によい」といわれるの?』をご紹介させて頂きます。

ココアは、ホットチョコレート?

ココアが「健康や美容によい」という話を、どこかで聞いたことがあるかもしれません。ココアは、アメリカやイギリスでは「ホットチョコレート」、イタリアでは「チョッコラータ」、フランスやベルギーでは「ショコラショー」と呼ばれ、紅茶やコーヒーなどと同じように、世界中で親しまれている飲み物です。

ココアは、「カカオ豆(カカオの木の実)」から作られています。もともと中米が産地のカカオが、はじめてヨーロッパに渡ったのはスペインです。そこで砂糖などが加えられ、新しい飲み物として広まります。

その後、イタリアやイギリスなど上流階級のあいだでココアは評判となり、ベルギー、ドイツ、オランダ、スイスなど、たちまちヨーロッパ全土に広まっていきます。暮らす地域や環境は違っても、多くの人が、温かくてホッとする、あの独特な香りと甘さに魅了されたことでしょう。

原料は「神の食べ物」カカオ豆

人間とカカオの関係はたいへんに古く、いまから3000年以上前には、メソアメリカ(現在のメキシコ南部や中央アメリカ)で食されていた痕跡が残っています。日本でいうと、縄文時代後期から弥生時代にあたります。独自の高度な文化によって栄えた、オルメカ文明の人たちが食べていたとされ、はじめは、カカオ豆をすりつぶして食べていたようです。

そして時代は、マヤ文明、トルテカ文明、アステカ文明と進みながらも、カカオは引き継がれていきます。時には、儀式的な目的に使われたり、上流階級のステイタスシンボルであったり、通貨のように扱われたり、さらに、恋愛感情を高める薬として利用されることもありました。

やがて1753年、カカオは、スウェーデンの科学者であるカルル・フォン・リンネ氏によって、学名を「テオブロマ・カカオ」と名付けられます。これはギリシャ語で「神の食べ物」という意味です。

3つの成分で、アンチエイジング

ココアの原材料である「カカオ豆」には、健康や美容を促進させるさまざまな効能があります。かつてヨーロッパでは、カカオは薬局で薬剤師が扱っていたほどです。ココアが健康によいとされるのは、
(1)カカオ・ポリフェノール
(2)ミネラル
(3)リグニン
といった成分が含まれているからです。

「カカオ・ポリフェノール」は、緑茶に含まれるカテキンや、そばに含まれるルチンと同じくフラボノイドの一種です。強い抗酸化作用があり、体内で増えた活性酸素を除去し、血流の促進に効果があります。ココアは、コーヒーや紅茶にくらべて、ポリフェノールが多く含まれています。カカオ・ポリフェノールを摂取することで、生活習慣病の予防、アンチエイジングなどへの効果が期待できます。

「新陳代謝」を促し、「便秘予防」にも

また、ココアには、カルシウム、マグネシウム、鉄分、亜鉛などが含まれています。これらの「ミネラル」は体内で合成されないため、食べ物などから摂取する必要があります。新陳代謝を促し、体のバランスを整えるミネラルは、現代人が特に不足している栄養素です。厚生労働省が行った「国民健康栄養・調査」によると、日本人はカルシウム、マグネシウム、亜鉛が慢性的に不足している、との報告が挙がっています。ココアは、そういったミネラル不足を解消する助けになるでしょう。

さらに、ココアには不溶性食物繊維(水に溶けない食物繊維)である「リグニン」が含まれています。リグニンは、コレステロールを減らし、動脈硬化、心筋梗塞、脳梗塞などを予防する働きがあります。そして、腸に刺激を与え、便秘の予防や改善にも大きな効果が期待できます。

「集中力」や「記憶」のアップにも

健康に影響を与えるココアは、さらに仕事や勉強の効率アップにも役立ちます。ココア特有の香りや苦味をもたらす成分の「テオブロミン」が含まれているからです。「テオブロミン」は、カフェインに似ているアルカロイド成分で、覚醒効果があります。

しかし、カフェインよりも穏やかに作用し、脳や体の興奮状態が少なくてすむのが特徴です。脳内ホルモンであるセロトニンを増やし、自律神経を整えて、緊張を和らげリラックスさせる働きがあります。さらに、大脳を刺激して
(1)集中力
(2)記憶力
(3)思考力
を高める効果があります。仕事や勉強をしながら、あるいは休憩時間に温かいココアを飲むと、頭や体はリラックスして、作業がはかどることでしょう。