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今回は『保育園や幼稚園での集団感染もある! 「疥癬(かいせん)」について』をご紹介させて頂きます。

小さな「ダニ」から感染する皮膚病

疥癬(かいせん)は、最近、保育園や幼稚園などで流行し、全国的にも集団感染が心配される感染症の一種です。「ヒゼンダニ(疥癬虫:かいせんちゅう)」と呼ばれる小さなダニが、皮膚に寄生して起こる病気です。肌と肌による直接的な接触に加え、衣類・寝具・タオルなどを介して間接的に人から人に感染します。

ヒゼンダニは、約0.4mmと小さいため、私たちが目で確認することはほとんどできません。人間の体温で過ごすことが最も適した環境とされ、皮膚のなかに潜り込んで増殖をくり返します。そうしてやがて、皮膚に
(1)かゆみ
(2)赤みが生じて
「疥癬」が発症します。

激しいかゆみの「通常疥癬」

疥癬には、
(1)通常疥癬
(2)角化型疥癬
の2種類が存在し、感染力や症状などに違いが見られます。どちらも同じ「ヒゼンダニ」から感染します。

「通常疥癬」は、感染力は比較的弱いながらも、数十匹のダニがいるだけで、体が健康な状態でも発症するのが特徴です。しかし、肌と肌が直接触れる時間が短ければ、感染の心配はほとんどありません。潜伏期間は約1〜2ヶ月です。発症すると、顔や頭を除く全身に、「赤いブツブツ(丘疹)」と「強いかゆみ」が起こります。お腹、胸、脇の下、太ももは特に症状がひどくなる可能性があるでしょう。

症状が、湿疹やアトピー性皮膚炎と似ていることから、自己判断で市販薬を試して、症状が悪化するケースがたびたび見られます。症状の程度に関わらず、皮膚に異変を感じたら、「皮膚科」を受診しましょう。

感染力が強い「角化型疥癬」

一方、「角化型疥癬」は、短い時間での接触にも感染する心配があります。約100〜200万匹のヒゼンダニから発症するとされています。感染から発症までの期間は、約4〜5日が目安です。風邪などによって、免疫力が低下した体に感染しやすいのが特徴で、他人への感染力がたいへん強く、保育園・幼稚園・介護施設など、集団生活を送る子どもや高齢者は十分な注意が必要です。

感染した患部は、灰色や黄白色に変化して、角質がポロポロと剥がれ落ちる症状が見られます。症状は全身にあらわれますが、特に手、足、ひじ、ひざ、お尻など、日常生活での皮膚の摩擦が頻繁で、角質の厚いところに多く見られます。剥がれ落ちた角質が、感染経路になることがあります。放置せずに、掃除機などで床をきれいにしておきましょう。

早めに「皮膚科」に相談する!

皮膚に異常が見られたら、早めに「皮膚科」を受診します。疥癬の診断は、「顕微鏡」や「ダーモスコピー」と呼ばれる特殊な拡大鏡を使った検査によって、ヒゼンダニが検出されると病気が確定します。

治療は、ヒゼンダニの死滅を目的とした「飲み薬(イベルメクチンなど)」や「塗り薬(フェノトリンローション、クロタミトンクリームなど)」を使うのが一般的です。かゆみが激しい場合は、「抗ヒスタミン薬」が処方されるでしょう。いずれの薬も、医師の指示にしたがって、完治するまでしっかり使いましょう。

適した治療を行うことで、症状は約2週間で軽快します。完治には、約1〜2ヶ月かかると考えてよいでしょう。ヒゼンダニは、人間から離れると約2〜7日しか生存することはできません。 熱や乾燥に弱く、50℃では約10分で死滅します。日常生活では、
(1)パジャマ、シーツ、タオル類を毎日交換する
(2)衣類やシーツなどは、50℃以上のお湯に10分以上浸けてから洗濯する
(3)毎日入浴して体を清潔にすることが大事です。

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