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今回は『「土用」ってなあに? 健康との関わりは?』をご紹介させて頂きます。

土用は「季節ごと」にある

うなぎを食べることで知られる「土用」は、夏の風物詩と思われている人が大勢いるようですが、土用は1年に4回、春夏秋冬ごとに存在しています(4回以上存在する年もあります)。2017年で言えば、冬(1月26日)、春(4月20日、5月2日)、夏(7月25日、8月6日)、秋(10月29日)、が土用の丑の日です。

そもそも、土用とは何でしょうか。大安や仏滅などの歴注と関係しているのでしょうか。そして、「なぜ、うなぎを食べるのか」「暮らしや健康とどう関係しているのか」など、ママやパパが知っておくと「土用の丑の日」には、お子さんにしっかり伝えられるでしょう。

土用は「季節の変わり目」

土用とは、古代中国で生まれた自然哲学である「五行思想(五行説という呼び方もします)」を元にしています。五行思想とは、万物(すべてのもの)は、木行・火行・土行・金行・水行の5種類の元素からなるという考え方です。 

そして、5元素は互いに影響をし、その相互作用によって天地万物が変化し循環する、という考えにつながります。それは後に「陰陽五行説」として発展し、さらには風水や四柱推命につながる考えです。現代でも、さまざまな形で生活に影響を与えているでしょう。

五行思想では、春・夏・秋・冬をそれぞれ木・火・金・水に割り当て、さらにそれぞれの季節の終わりの約18日間を「土」としました。つまり、土用は「季節の変わり目」をあらわし、四立(立春、立夏、立秋、立冬)の前の約18日間のことをいいます。

「うなぎが2回」食べられる?

さて、「丑の日」とは何でしょうか。「丑」は、十二支のひとつで、子・丑・寅・卯・辰・巳・午・未・申・酉・戌・亥のなかの「丑」のことをあらわしています。

十二支は、古くから方角や月日や時間を数えるにも使用されてきました。「丑三つ時」などの言い方がいまでも残っています。月日は十二支なので、12日周期で数えます。つまり12日に一度「丑の日」はやってきます。

土用の丑の日とは、季節の変わり目である約18日間にある「丑」にあたる日ということです。2017年でいえば、7月19日~8月6日の19日間が夏土用です。そして、そのあいだの丑の日は、7月25日と8月6日になり、その年はうなぎが2回食べられるかもしれません。ちなみに、2回目の丑の日は「二の丑」という呼び方をします。

土用は「体」と「暮らし」を整える期間

土用は季節の変わり目なので、昔は次の季節に備えて、体や暮らしを整えて準備する期間と考えていたようです。土用といえば、全国的に「夏土用」が有名です。

夏の土用は、1年のなかでもっとも暑さが厳しい時期にあたるため、昔は柿の葉などの薬草を入れたお風呂に入ったり、体にお灸をすえたりして、夏バテ防止などの対策を行っていたといいます。そのほかにも、暑い季節を多くの人々が安全に乗り切るための工夫が、次のような習慣として現在まで続いています。

・暑中見舞いを書いてだす
・衣類や書物の虫干し(陰干し)をする
・田んぼに水を入れず、根を丈夫にさせる
・梅干しの天日干しをする
・薬草などを入れたお風呂につかる

なぜ、「うなぎ」を食べるのか?

古くから、土用の丑の日には「う」のつく食べ物を食べると縁起がいいとされてきました。梅干し、瓜、うどんなどが人気だったようです。いずれも、食が細くなる夏に食べやすいものです。

そして、夏土用の丑の日にうなぎを食べると夏バテをしないという習慣は、江戸時代から始まったようです。始まりにはいくつかの説がありますが、有名なものは、学者であり発明家でもあった「平賀源内」が関わったお話です。

粋な「江戸っ子の気持ち」を考えた商法

ある日、知り合いのうなぎ屋さんが相談に来たことから始まります。夏はうなぎの旬ではなく(旬は10~12月)、また蒲焼の味が濃くて、夏にはどうも商売がうまくいっていませんでした。もともと、うなぎは夏痩せに効果のある食べ物とされていましたが、「旬でもないし、それにこう暑くてどうもなあ」という江戸っ子が大勢いたようです。

そこで、「何とか売り上げを伸ばしたい」といううなぎ屋さんに、平賀源内がアイデアを授けます。店のまえに「本日土用の丑の日」と書いた貼り紙をしたのです。これが大当たりでした。縁起を担ぐのが好きな粋な江戸っ子の気持ちをくすぐったのでしょう。「う」のつく「うなぎ」は、土用の丑の日の定番になったというわけです。

うなぎには、体の抵抗力を高めるビタミンAが含まれています。人々がその効果が実感できたことで、「土用の丑の日=うなぎ」が定着したのでしょう。