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医療法人社団健永いずみ会
岩瀬クリニック

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2011年東北関東大震災、気仙沼日記(6月29日17時50分)

5)やはりひとり
気仙沼出向2回目まではチーム構成だったが、3回目以降はひとり旅だ。実は他人から知識を得ること、例えば医学の学会や講演会を聞きに行くのは大好きである。だが最近とみに思うのは、人の考えや意見を聞くこと、ましてやアドバイスや命令を聞くなどの類いはうんざり。同伴者がいるとそのひとに対する気遣いをし、そのひとの意見を聞く、毎日それに終始していた気がする。自分が何をしに行ったのかわからなくなることすらある。ひとりはいい。日頃、自問自答を繰り返すことが至福の喜びである私にとって、3回目以降の出向は特に有意義であった。行きの新幹線の中で自問自答し、気仙沼で見るもの聞くもの、人々の言葉を聞いてないふりをして聞き、それらのことに自分の思いを巡らせ、自問自答する。アイデアが泉のように湧いてくる。幸せで朝まで眠れないこともあった。やはりひとり。人は連れがいるとその人に声を掛けないことが常識とされており、私も同感である。それゆえ同伴者がいると被災地で決して友達はできない。

6)医学論文と手紙
頭脳が理系である私は幼少時より全く本を読まず、特に小説などのフィクションには目もくれなかった。実は日記も大嫌いで、何日もまとめ書きして厳しい母によく叱られた。以前本日記を読んだひとは、その文章構成をほめたり意外だと言ったりしていたが、実は私もそう思っていた。しかし最近は手紙を書くのが好きになり、本日記でも記述しているように、患者さんの紹介状を書くことが大好きな自分に気付く。なぜだろう。それがわかるのにさしたる時間はかからなかった。医学論文である。18年間在籍した大学病院においては、医師はメスを握り患者さんと話していればいいわけではない。学生の教育もそのひとつであるが、最も大切なことは研究論文を書くことである。小さな症例報告の文章化から始まり、長年集めた症例や動物実験のデータを整理して長文の医学論文を執筆しなければならない。自分も例外でなく学位論文をはじめとして、この作業をいやいや長年続けてきた。医学論文には序文(abstract)、方法(technique)、結果(result)、考察(consideration)、結語(conclusion)と実に理路整然とした書き方が決められている。私の日記は雑然と書いているように思われるが、気付いたら論文執筆の方法を無意識のうちに頭の中に叩き込まれていることが確認できた。

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本日記は下記にて2011年4月2日より随時更新中です。
【記】
1)医療法人社団 健永いずみ会 岩瀬クリニックHP  http://www.hospita.jp/890/ 
2)母校 学校法人 日本医科大学HP http://home.nms.ac.jp/ 
  東日本大震災における本学卒業生の救援活動について 
3)母校 駒場東邦中学校、高等学校HP http://www.komabajh.toho-u.ac.jp/