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医療法人社団健永いずみ会
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2011年東北関東大震災、気仙沼日記(8月24日18時00分)③

2011年8月24日18時00分~:
『要介護の避難所生活者』 
避難生活者で介護部屋、見守りが必要な○山○○子様と○辺○子様のことを想う。○山○○子様は90歳、部屋に行くといつも卓袱台の前に背筋をピンと伸ばして座っている。居眠りもせず、昼寝もせず。壁を伝いながら自力で廊下のトイレまで用を足しに行く。私や避難生活者、看護師などが行くと昔のことなどしっかりとした口調で話して下さる。我々同士で話に夢中になっていると、いつの間にか『かっぱえびせん』をお皿に載せて、手際よくお茶を入れてくれる。40~60代くらいの人達の四方山話を普通に聞いて、淡々とした顔で会話に加わる。一瞬同年代の人と話しているような錯覚におちいる。服装もいつもキチッとしており、気品がある。若い頃一度結婚したが3日で厭になり実家に戻って以来、現在まで一人暮らし。自分の意見をしっかり持つ気丈なおばあちゃんで、震災のことも冷静に受け入れているから大物!
○辺○子様はベッド上生活だ。まだ68歳くらいだが被災後、市民会館から出る食事を鱈腹食べて巨漢となってしまい、一日中ベッドで寝ている。私が座敷豚、トドの昼寝などと茶化すと一応怒る。どうも歩行が不自由のようだが、被災前はスナックを経営していたらしい。私は聞いていないので知らないが、看護師さんの話だと被災時かなり辛い事があったそうだ。8月12日の夜気仙沼復興祭の花火大会が催されたので、私は彼女を連れて行くことにした。看護師さんにも話して手伝ってもらう手筈だったが、時間になると誰もいなくなり、トドは例のごとくベッドで寝ていた。「さあ、花火に行こう!」と言うと、「先生一人で行けばいい。」 重い体を起こし、半ば強制的に車椅子に乗せて丘まで坂を押していった。花火が上がり、皆それぞれの想いを感じながら静かに遠くの花火を見ていた。トドは寝ているだろうと顔を覗き込むと、目を潤ませてじっと見ていた。「ああ、無理にでも連れて来てよかった!」 二人とも私の大切な可愛い人だ。

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本日記は下記にて2011年4月2日より随時更新中です。
【記】
1)医療法人社団 健永いずみ会 岩瀬クリニックHP  http://www.hospita.jp/890/ 
2)母校 学校法人 日本医科大学HP http://home.nms.ac.jp/ 
  東日本大震災における本学卒業生の救援活動について 
3)母校 駒場東邦中学校、高等学校HP http://www.komabajh.toho-u.ac.jp