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語るに落ちる

 最近の日本語は本音を見透かされることを誤解されると言うらしい。松本龍前復興担当大臣の失言事件はまだ記憶に新しい。被災県の首長を捉まえて、「知恵を出したところは助けるけど、知恵を出さない奴は助けない。」、「九州の人間だから、何市がどこの県だか分からん。」、「お客さんが来る時は、自分が入ってから呼べ。長幼の序が分かっている自衛隊ならそんなことはやるぞ。」
「県でコンセンサスを得ろよ。そうしないと、我々は何もしないぞ。」続いて、同席していたマスコミに対して、「今の最後の言葉はオフレコです。みなさん、いいですか、絶対『書いたらその社はもう終わり』だから」。
 さらに、こういった発言が報道されて大騒ぎになった際の釈明では、「私は九州の人間ですけん、ちょっと語気が荒かったりして、結果として被災者の皆さんを傷つけたということであればお詫び申し上げたい。」、「ちょっと私はB型で短絡的なところがあって、私の本意が伝わらないという部分があるということは、反省しなければならない。」
 結局は就任後9日目にして復興・防災大臣を辞任した。辞任会見では「言葉が足りなかった」、「誤解を招くような発言をしたことをお詫びする」と頭を下げた。
 政治家のこういう釈明場面を何回見たことだろう。しかも、その場で語る言い訳の言葉も判で押したように同じである。きっと、陳謝のためのマニュアルがあるに違いない。
 しかしこの男は別に言葉が足らなかったわけでも、誤解を招いたわけでもない。むしろ彼の一連の言動は非常に正しく彼の真意、人間性を会話の相手にも国民にも正確に伝達できている。その表現能力は秀逸と言える。
 
 人間の会話による意思伝達において言語そのものが占める意義はそれほど大きくはなく、言語そのもの以外のパラコミュニケーション(語尾、イントネーション、表情、身振り手振りなど)の方がはるかに多くの意味を伝達していることについては小欄で説明した。
 ところが政治家にしろ官僚にしろ、言語そのものをうまく使いこなせれば民衆を欺くことができると信じているふしがある。ところが私たちはそれほど馬鹿ではない。ことにパラコミュニケーション能力は学校での教育とは別であり、相当に語彙が乏しい人でも、いや語彙が豊富でない人ほど、パラコミュニケーションからの情報読み取り能力が研ぎ澄まされる。いくら格好良い慣用句や四文字熟語を並べ立てても、陰に隠された真意、相手の価値観や人格は察知される。政治家たるもの磨くべきは舌先の話術ではなく、基盤となる人格であろう。
 
さて、今回の一連の言動が不愉快極まりないのは、「国は地方より偉い」、「国民に対してやってやる」という上から目線のお上意識と自分より下と見做した人間へは露骨に恫喝をするという醜悪な人間性がむき出しだからである。
しかもその下品な人間が自分の立場についておおいなる勘違いをしている。被災地復興大臣が被災地に赴くのはごく当たり前の役務のはずだ。そんな反来の業務に対して、被災者たちがいちいち三顧の礼を尽くしてお迎えをしなければならないのならば、復興特命大臣など必要ない。それなのに、口をついてでた言葉が「客」であった。勘違いも甚だしい。語るに落ちる*とはこういうことを言う。
 その後、国民が許してくれるのではないかと思って言った「自分は九州の人間じゃけん」、「B型だから」という弁解が、多めに見てもらえるどころか、かえって九州やB型の人たちをも侮辱する結果を招いた。当然非難の輪が広がった。どこまでも感性の鈍い人である。

辞任会見では己のことを「粗にして野だが卑ではない」とどこまでも粋がって見せたつもりが、最後まで自己洞察が欠落していることを露呈することになった。粗と野は品行の問題であり、細やかさがなく、洗練されていないことを言う。この点については本人の自覚通りである。
一方、卑は品性の問題である。本人は粗野にして卑でない人間像をB型九州男児の理想像としているようだ。そして己を不器用な高潔の士と自任しているのだろう。しかし、主人が使用人をいびるような言葉を被災民の長に連発した姿を卑と言わずして何を卑というのであろう。
 彼の功績を上げるとすれば、こういう人間にだけはなってはいけないという反面教師像を示したこと以外にない。
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*語るに落ちる:うっかり本当のことを言ってしまうこと。

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