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寝耳に水の豚インフルエンザ流行

灯台下暗しと言いますが、遠い敵にばかり気を取られているとついつい身近な危険を忘れがちになって、不意に意外な者に足元を掬われることになります。
さて、4月25日午後、WHOが緊急会議を開きました。メキシコとアメリカで急速に感染者、死者を増している、鳥類にではなく私たちと同じ哺乳類である豚 に感染するインフルエンザ、所謂「豚インフルエンザ」についての対策を協議するための会議です。このように感染症の専門家が大慌てしている間にもメキシコ では、22日には20名であったインフルエンザによる死者数が25日には81名に膨れ上がりました。
WHOを中心に世界各国はここ数年、東南アジアを中心に広まっている鳥インフルエンザ由来の新型インフルエンザがパンデミック(大流行)することを警戒して、さまざまな対応策を検討し、準備してきました。詳細については以前のコラムでお話しました。
我が国においてもベトナムで発生したヒトーヒト感染例から入手したH5N1株のウィルスに対するワクチンを製造して備蓄を始めています。また、現在のとこ ろ有効と考えられている抗ウィルス薬のタミフルとリレンザの国家備蓄も進めています。そして、パンデミックの発信地となることが予想されていたインドネシ アにおける感染情報に聞き耳を立てていました。
ところが豈図らんや、なんとこれまで予想もしていなかった中米を発信地として鳥ではなく、豚由来の新型インフルエンザのパンデミックが現実性を帯びてきたのです。関係者にとってはまさに寝耳に水の凶報です。
これまでは鳥由来の新型インフルエンザ対策ばかりに力を注いできていて、豚由来のインフルエンザ対策は全くなされてきませんでした。千慮の一失です。これ からメキシコで入手するウィルスを元にワクチン製造に精を出したとしても、製造には少なくとも半年はかかりますし、日本国民全員分のワクチンを完成させる には1年半はかかる見通しです。
またこの半年というワクチン製造期間は、従来型のインフルエンザワクチンを中止して全製造ラインを新型インフルエンザに充てた場合のスケジュールです。新 型インフルエンザと並行して従来のAソ連、A香港、B型インフルエンザも流行するわけですから、そちらの方に対する防衛はできなくなります。
さらに悪いことには、遺伝学的に見て、哺乳類である豚が鳥と比べてはるかにヒトに近いことは言うまでもありません。だから、臓器移植の際に豚の臓器が用い られることがあるのです。姿、形は似ていないように思うかもしれませんが、生物として考えた場合にはかなり近しい関係にあるのです。したがって、豚に対し て感染性、病原性を持っているウィルスが鳥の間で流行しているウィルスよりもヒト―ヒト感染性や病原性を獲得しやすいことは容易に想像できると思います。
鳥由来のインフルエンザに比較してより早期にパンデミック段階への進化を遂げる可能性が高いのです。つまり、現在フェーズ3で止まっている新型インフルエ ンザに対する警戒レベルが数日を待たないでフェーズ4、フェーズ5に上昇する恐れがあります。国際レベルでの迅速な対応が求められます。
しかし、悲観的な話ばかりではありません。メキシコとアメリカで確認された豚インフルエンザはH1N1型だということです。この抗原型は従来からヒトの社 会に広く出回っているAソ連型インフルエンザと同じです。となると、ヒトはこのタイプにかなり慣れているので、ヒトに対して、それほど強い病原性を発揮し ない可能性があります。事実、アメリカでの感染者の多くは軽症の経過を辿っています。逆に言えば、メキシコではなぜ高い致死率を示すのかという疑問が生じ ます。
豚インフルエンザがH1N1型ウィルスであるということはまた、H5N1型である鳥由来のウィルスに対するよりも私たちの身体の免疫機構の反応性がよく、容易に抗体を獲得する可能性もあります。ですからパニックに陥らずに今後の情報を待って冷静に対処する必要があります。
今度はあまりに豚インフルエンザにばかり力点を置いて、従来の季節性のインフルエンザ対策を怠ってしまうと、こちらの方で犠牲者が累々という恐れもあります。
最悪の事態としては、豚由来の新型インフルエンザと相呼応して鳥由来ウィルスまでもが一斉蜂起することです。こうなると現在の防疫能力ではお手上げの状態になってしまいます。
政府はWHOと連携をとって新型インフルエンザの感染拡大スピードとその病原性の高さを見極めた上で適切な対策を講じるものと思います。ここで心配なのが、我が国のトップが判断に暗く、行動力に欠けることです。
ただ、敵が豚に代わっても、マスクの着用、外出禁止の事態に対する水、食料の備蓄などの準備は鳥由来の新型インフルエンザに対するのとまったく同様です。 タミフルやリレンザが有効という点も変わりがありません。ですから鳥から豚に変わったからと言っていたずらに取り乱す必要はありません。
言うまでもないことだとは思いますが付け加えておきます。インフルエンザは飛沫を介した空気感染ですから、鳥だろうが豚だろうが、その肉を食べてうつることはあり得ません。むしろ美味しくて栄養価の高い豚肉や鶏肉を食べて体力をつけておきましょう。
最後に頼るのは己の体力です。

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