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後期高齢者医療制度新設の余波(いつものご都合主義)

厚労省は診療報酬の請求を近い将来インターネットを使ったオンライン方式に切り替えようとしています。現在はレセプト用紙という紙を使っている医療機関と フロッピーディスクやCDなどで提出している医療機関があります。私のクリニックではフロッピーディスクで請求しています。
このオンライン請求にする目的は経費削減と省力化ということになっています。確かに膨大な紙を使用することは資源保護の観点から考えてみるともっともと思 われるかもしれませんが、果たしてなんでもかんでもインターネットを利用することがよいのでしょうか。私はそうは思いません。
診療に関する諸情報は、各患者さんたちのもっとも大切な個人情報です。医師法で厳しく規定されている守秘義務に関する個人情報が山盛りです。このような重要な情報を、機密漏洩する危険の高いオンライン化してよいものなのでしょうか。
そもそも省資源という謳い文句には嘘があります。私が一生懸命フロッピーディスクで提出したレセプトは、社会保険診療報酬支払基金や国民健康保険連合会で紙にプリントアウトして審査しているのです。実際にはペーパーレスにはなっていないのです。
国の本当の狙いは別のところにあると私は考えています。第1は審査の省力化です。適当なソフトを考えれば、機械的に審査できるということです。単純事務上のミスでもソフトによる審査ではうむを言わせず査定してくることになると思います。
第2の目的は上記第1の審査の強化によって支払うべき医療費の削減ができて総医療費抑制の一助になることです。このことがいかに無茶なことであるかは以前のコラムでお話しました。
第3の目的は医師の定年制の事実上の施行です。厚労省はだいぶ以前から医師の定年制の実施を企てていました。高齢の医師には医療の現場から去ってもらおう と考えているのです。若くてもどうしようもない医師もいれば、後期高齢者になっても毅然とした医療をされている医師もいらっしゃいます。
年齢で医師の適、不適を線引きしようなんて無茶な話で、医師会からの反対などもあってなかなか実現できないでいました。しかしながら、レセプト請求のオンライン化が義務付けられれば、多くの高齢の開業医は半強制的に引退せざるを得ません。
医学や医療に関しては高いレベルの学識と技術を持っていても、コンピュータの知識はお持ちでない先生が少なくありませんし、そう長くない将来のことを考えるとオンライン化に伴ってパソコンの設備投資を逡巡される方が多いと考えられるからです。

ところで、悪評の嵐が巻き起こっている後期高齢者医療制度(長寿医療制度)がなりふり構わず強引に4月1日からスタートしました。
保険料の天引きに関する不都合が4万件以上に上ったことは新聞で報道されました。将来の医療の質が保証されていないことに対する不安の声も上がってきました。私が以前にコラムで書いたことが今になってやっと騒がれ始めました。
遅きに失した感はありますが、今からでも問題点について議論されることは結構なことです。ところが、医療機関が被っている損害についてはあまり取り上げてくれません。医療者は数の上から言って圧倒的な少数派だからでしょうか。
3年前に国会で決定した制度であるにもかかわらず、対象者である高齢者の方々への周知がほとんどなされてなかったことは既に野党やメディアだけにとどまらず、与党の一部からも批判・指摘されています。
後期高齢者を受け入れる医療者に対しても十分な説明はまったくなされてきませんでした。どういう保険証でいつどういう形で配布されるのか。どういう診療体 系になっているのか。70歳から74歳までの前期高齢者の方の扱いはどうなるのか。こういったことを私たち医療者が知ったのは制度開始のおよそ1ヶ月前3 月に入ってからのことです。詳しい内容が各都道府県医師会を通じて教えられたのは3月下旬、制度開始の10日ほど前でした。
4月1日新制度開始から今日までの病院窓口での混乱状況は報道されている通りですが、私たちはもっと別の深刻な問題について詳細を知らされずにやきもきして過ごしていたのです。
それは4月診療分のレセプトをどこに、どのような形で(お役所仕事の通例だが、ひどく細かいことまでうるさい)請求すればよいのかが正確に通知されないままに月末を迎えてしまったのです。
月末ぎりぎりになっておおまかなことと、つまらない枝葉のことだけが通知されました。しかし、各都道府県共通の書式が決められなかったためにレセプトコンピュータ会社の対応が間に合いませんでした。
このために、コンピュータでレセプト管理をしているにもかかわらず、4月診療分はコンピュータからプリントアウトしたデータを紙に手書きで書き写さなけれ ばならないという、馬鹿げた事態になってしまいました。世はゴールデンウィークであるというのに私たち医療機関は黙々と数字を書き写す作業を夜遅くまでや らなければならないのです。

ゴールデンウィークなんか無縁で働いている方は大勢いらっしゃるのは充分に承知しています。それなのになんでこんなぼやきを書くのかというと、少数派である医療者の声も少しは知ってほしいからです。
私たちはこれまで数え切れないくらい何回も、国のご都合主義に振り回されてきました。しかし、「国策に失敗なし」とか「官僚に間違いなし」と皮肉って言われるほど、国家権力は己の非を認めはしません。
いつもとばっちりを喰うのは国民と末端の役人と我々のような実務担当者です。こういった被害者の中でも少数派は特に置き去りにされてきました。医療に関す ることだけに限って言えば、これまでメディアは多数派である受療者の立場からの報道には力を知れても、少数派である医療者の立場からの意見はほとんど取り 上げてくれなかったのです。
私がコラムを書き続けている動機のひとつが医療者の声があまりにも世間に伝わっていないということです。これは日本医師会をはじめ医療者側の怠慢であると の謗りは甘んじて受けなければならないと思います。そこで「ごまめの歯軋り」。私などがささやかなこのコラムを通じて少しでも声を上げようと思っているの です。

私たち医療機関のことも少しは知っていただきたい。機密漏洩の点からも不安が大きい、信頼できる昔からのかかりつけ医師はずしが狙いの、レセプトのオンライン化に反対する私たちの立場にもご理解をいただきたいものです。

今回の後期高齢者医療制度の導入がレセプトオンライン請求義務化の後であったとしたら、いったいどうやって手書きの請求書を光ファイバーに押し込めばよかったのでしょう??

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