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産む装置、産ませる装置(1)

Y厚生労働大臣が女性のことを「産む装置」と発言してこてんぱんにやっつけられたのは記憶に新しいところです。たしかに不用意な発言であったように思います。

一連のテレビの報道を観ていても、ご本人自身「こんなこと言っちゃ適当じゃないかもしれないけれど」なんて、くどくど前置きしながら、ぽろっと言っちゃったんですよね。あんなに逡巡するくらいであれば、やっぱり言わなきゃよかったのだろうと思います。

しかし、政治的にニュートラルな立場で、しかも普通の感覚を持っている人ならば、あの発言が女性を蔑視して述べられたものでないことは、充分に察することができるはずです。一連の大騒動が、揚げ足とりのいちゃもんにしか見えなかったのは私だけでしょうか。

私は、稚拙な国会のやり取りを観ていて、小学校のホームルームで子供たちが「○○くんが××って言った」、「ぼくは××なんて言わないもん」と大騒ぎしている姿が連想されて、日本の政治にますます希望がもてなくなってしまいました。

この「装置」問題を自然科学者の端くれとして言わせてもらえれば、Yさんはまちがったことは言っていらっしゃらないと思います。私は女性(雌)は産む装置であり、男性(雄)は産ませる装置だと思うのです。

しかし、装置とはいっても量販店で29,800円なんかで売っているようなちゃちな装置ではありません。これといった信仰を持たない私であるにもかかわらず、「神様が気の遠くなるような長い時間をかけてお作りになった巧妙・精緻な装置」としか言いようのないすばらしい装置だと思うのです。

「自分は何のために生まれてきたのか」という疑問はきわめて重要な大問題で、この問いに対して正しい解答を見つけようと多くの偉大な哲学者たちが挑戦してきました。難問題でありながら、日常的にみんなが考える機会の多い問題でもあります。

私の診療の場面でも、不幸な体験に次々と見舞われ続けてきた方に、しばしば「どうして私なんか生まれてきたの?」とたずねられます。何とか気のきいたことばをかけてあげたいと思いますが、私ごとき一介の精神科医に答えられる問題ではありません。

しかし、個人個人が生きていく際に背負っていく、さまざまな苦難や、重い荷物なんかの側面をすっぱりと切り捨てて、単純に生物学的に考えれば、生物の宿命としての「種の保存」の結果生まれてきたと言えます。

生物の最大の使命は自分の遺伝情報を次代に伝えていくことです。言い方をかえれば、自分の遺伝情報をつぎつぎと伝えていく能力を身につけてこの世に存在しているものを生物と言うのかもしれません。

「俺はミジンコなんかとは違う」と怒る方がいても当然ですが、私たちが所属する宇宙の150億年以上といわれている、気の遠くなるような空間と時間のレベルで考えれば、人間だって、いろいろな偶然が重なりあって、地球と言う辺鄙な星に一時的に発生した生物のひとつにしか過ぎません。

こういう考え方にたてば、人間にとっての最大の使命は、やはりほかの生物と同じように「ヒト」と言う種を絶やさないように、繁殖していくことと言えます。そのために、最重要なのが「産む装置」「産ませる装置」なのです。

進化論にそって言いますと、いわゆる下等生物と呼ばれる、単純な仕組みの生物はこの装置なしに種を保存していきます。つまり、こども(?)を作ろうと思っ たら、自分が分裂して増えていけばいいのです。自分と同じ遺伝情報を持った個体がどんどんできていきます。無性生殖といいます。すべての単細胞生物(ひと つの細胞そのものがひとつの生き物)がこの方法で子孫を増やしています。細菌なんかがよい例です。下等な多細胞生物(いくつかの細胞が集まってひとつの生 き物になっている)でもこの方法がとられます。イソギンチャクなどがその例です。

この方法でふえた固体は厳密には子孫とはいえません。元の固体とまったくおなじ遺伝情報を持っているのですから、クローンといえます。この方法は手っ取り早く、自分と同じものを倍増させていく点でとっても効率がいいのです。

人間のように美味しいレストランに誘ったり、高価なプレゼントで気を引いたりする手間はいっさい要りません。ただ、おのれが分裂しておのれを増やしていけばよいのです。自己完結です。

ただし、自分の遺伝情報を保存していくという点ではきわめて効率がよいのですが、遺伝情報が均一なので個性が なく、全員同じ能力しかありません。環境の変化や外敵からの攻撃に弱いのです。それまではその生物にとって最適であった気温などがちょっと変化したり、天 敵が現れるとなんらなす術もなく、いっせいに滅んでしまいます。

この欠点を補って、めまぐるしく環境が変化して、次から次へと敵が出現する地球上でしぶとく生き残るために、神様が考案されたのが「産む装置」「産ませる装置」の生殖システム、つまり有性生殖なのです。

ひとつの生物に二つの別の役割を分担させて、両方の遺伝情報が交じり合った子孫を残すことによって、同じ生き物でありながら、その子孫にさまざまな個性をもたせているのです。

平和な環境で優雅な生活をするラッキーな者もいれば、普段はパットしないが、いざという時にとんでもない能力を発揮して周囲をびっくりさせるやつもいるのは、みなこのすばらしい「装置」のおかげなのです。

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