医療法人社団求林会 クリニック西川 のブログ

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便利さと引き換えに失ったもの

最近、長らく購読していた読売新聞を東京新聞に変えた。読売新聞を止めた理由は報道の姿勢に政権に対するおもねりが目に余ったからだ。
安保関連法案然り、沖縄普天間基地移設問題然りだ。何よりも依然として解決の目途が立たない福島第1原子力発電所事故についてほとんど報道がない。
これに対して、東京新聞は4年半近くたった今でも福島原発の現状リポートを継続している。読売新聞では全く無視している小泉元総理の反原発講演の案内も載 せている。ともすれば風化して身に迫った脅威としての認識が薄れがちなこの原発事故処理問題を地道に報道することはまさに報道の使命ではないだろうか。
さて9月10日の東京新聞の第1面は「汚染水6回目外洋流出」だった。
記事によると、台風18号に起因するこのところの大雨で9日、福島第1原発の原子炉建屋周辺の雨水を集める排水溝の水が堰を越えて外洋に流出した。
東電では汚染水減らしのための地下水放出に際しては、放射性セシウム137で1リットル当たり1ベクレル未満という基準を設けてはいるが、今回の流出では11ロットル当たり数百ベクレルの高濃度の汚染水が大量に海に流出したと考えられる。
しかも、汚染水の流出事故は今年の4月以降に確認されただけでも6回目だと言う。東京オリンピック招致セレモニーで「福島原発は完全にコントロールされている」と見栄を切った安倍の発言が世界に対する大嘘であったことは明らかだ。
メルトダウンした原子炉の廃炉工程はかなり甘く見積もってもあと40年はかかるとされている。年々気象が荒々しくなっている現在、40年もの間には今回程 度の大雨は何十回、いや何百回も起こる可能性がある。すでに、栃木県、茨城県で大災害を引き起こした記録的な大雨でもさらに大量の汚染水を外洋に流出し続けた。
また、東日本大震災ほどではないにしても巨大地震にも襲われるに違いない。政府も電力業界も本当に自分たちがこういった自然の猛威に立ち向かえる能力を持っていると考えているのだろうか。
自然現象のエネルギーの試算表なるものをネットで発見した。これを見ると大型台風の持つエネルギーは1.8×1020J(ジュール)*、近い将来起こるとされている東海・東南海・南海同時発生地震が7.1×1017J、富士山の噴火で1.2×1018Jとあった。さらにこのエネルギーを15キロトンの原子爆弾のエネルギーに換算すると東海・東南海・南海同時発生大地震は原子爆弾10,000発に相当する。富士山噴火は20,000発分、そして台風のエネルギーに至ってはなんと原爆300万発分にもなるという。
因みに原子力発電の原子炉1基は年間3.15×1016Jのエネルギーを生む。つまり原子炉は毎日原子爆弾1.4発分のエネルギーを作ることになる。
もちろん一言で大型台風や、富士山噴火といっても、個々の台風や噴火の仕方によってそのエネルギーは大きく異なるから、この試算は極めて大雑把なものだ。だが、自然のエネルギーが我々の身の丈からかけ離れた想像を絶するエネルギーを持っていることがよく分かる。
原爆300万発のエネルギーを持つ台風だが、地球的視点で見れば、大気のちょっとした渦でしかない。東日本大震災であっても地殻ほんのわずかなひび割れにしか過ぎない。
この自然のスケールをあるがままに受け止めれば、世界で一番厳しい基準をパスしたのだから稼働しても大丈夫とか、深い地下に埋めてしまえば何万年も安全に保管できるなどという台詞を吐けるはずがない。
昔まだ狩猟を主な糧としていた時代、人類は自然現象を神として畏れ、その偉大な力となんとか折り合いをつけて生きていこうとしてきた。だが農耕技術 を身に着けた後は、森林を焼き、川から水を引き、自然を人為的に改造することを覚えた。自分たちが自然を支配できるという錯覚をもった初めかもしれない。
それでも、数年に一度の天災でこっぴどくやっつけられて、思い上がりであったことを知らされてきたので自然への畏敬はさほど失われなかった。
だが産業革命以降、工場での大量生産業が主流になると、素手で自然と立ち向かうことをしなくなり、生活の場も都市になり、人々は自然に対する正しい認識をできなくなってしまった。自然に対する謙虚な畏敬の念を失ったと言ってもよい。
科学者は自分の専門分野が宇宙現象の中でどのような立ち位置にいるのかという視点を常に持ち続けなければいけない。そうであれば科学が進歩すればするほど自然に対する謙虚さが増すはずである。
ところが、昨今の学者は自分の専門のことだけしか見ようとしない。これでは木を見て森を見ずだ。
もし原子力規制委員会のメンバーが俯瞰的な視野を持っていたならば、電力関係者や安倍に対して「自然の力に対して安全と言える基準などありません」と明言できたはずだ。
私たちは文明と称する便利さを獲得する代償に、自然に対する謙虚さを失ってしまったようだ。このまま便利さだけを追求して浮かれていると、私たちは早晩とてつもないつけを支払わされるに違いない。
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*J(ジュール)はエネルギーの単位。1Jは102gの物体を地球重力下で1m引き上げるのに必要なエネルギー。1m降下した時に発生するエネルギーとも言える。

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