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熱中症が増加して日射病を聞かなくなったのはなぜ?

暑い。ともかく暑い。大気中の二酸化炭素濃度上昇による地球温暖化の結果なのか否かは早計に結論付けてはいけないとは思うが、ともかくこの夏の暑さは常軌を逸している。
私が小学生の頃には、夏休み中の出来事を記録する絵日記を提出させられた。その絵日記には毎日のお天気を記入する欄があったが、あの当時の夏は、暑いとは言っても大抵は29℃止まりで、30℃を超えた時には猛烈な暑さだと言って大騒ぎであったように記憶している。ところが今や30℃超えは当たり前、35℃を超えるか超えないかに注目が集まる始末だ。館林や多治見などの高温地に至っては連日40℃近い気温を記録する。
しかも気象庁の発表する気温は土の表面から高さ1.5mに設置された風通しの良い百葉箱内の温度計の示す温度だ。照り返しの強いコンクリートやアスファルト上の温度はそれよりも数度は高いはずだ。すなわち、気象庁発表が35℃ならばコンクリートで固められた市街地の気温は38℃くらいになっているはずなのである。
体温を超えた環境温はもはや生存にとって危機的状況だ。この非常事態を裏付けるように熱中症患者が急増している。7月27日から8月2日までの1週間で1万人を超える人が熱中症で救急搬送されたと聞く。
特に夜間自宅での発症が多くなっており、消防庁は夜間もエアコンを切らずに使用するように指導している。私が数年前の本コラムで指摘したが、いまだに「エアコンは身体に悪い」という迷信を信じている人がいるようだ。

ところで、連日報道される熱中症だが、昔はあまり耳にしない病名だった。私が幼少時に暑い夏の日に注意されたのは「日射病」であったように思う。なぜ最近は熱中症ばかりなのだろう。日射病はなくなってしまったのだろうか。

日射病とは正式な医学用語ではなく炎天下に屋外で激しいスポーツをしたりした時に起こる障害を指す。視床下部の温熱中枢が障害されて体温調節機能が失われることにより起きる熱射病の一種なのだ。
熱射病は高度の意識障害を示し体温が40℃以上まで上昇しているにもかかわらず発汗は見られず皮膚は乾燥する。死に直結する緊急事態で直ちに入院治療しなければならない。この熱射病のうち熱源が太陽光の場合を俗に日射病と言う。
これに対して熱中症とは環境温の上昇によっておこる障害に対する包括的な病名なのだ。上述の熱射病のほかに熱失神、熱痙攣、熱疲労の4つの熱性疾患をまとめて熱中症と呼ぶ。
熱失神は直射日光の下で長時間運動したり高温多湿の室内で起きる。発汗による脱水と末梢血管の拡張によって脳循環量が減少した時に発生する。突然意識が消失する。体温は正常である事が多く発汗過多が見られ脈拍は遅くなる。
熱痙攣は大量発汗後に水分だけを補給して電解質が不足した時に発生するもので、突然に痙攣と硬直が起きる。体温は正常であることが多く発汗過多が見られる。
熱疲労は大量の発汗で水分や電解質を失った脱水症状のことで、深部体温は39度程度まで発熱して発汗も見られるが、皮膚表面は冷たくなっている。
以前の地球環境や日本の住環境では、夏の盛りでも直接長時間夏の太陽光を被爆して動き回った時以外では高温による障害がおきにくかったので、日射病と言う言葉が使われていたのだと思う。
ところが近年の地球温暖化に加えて、都市化によって我々を取り巻く地域や住宅の環境が大きく変化した。広範囲の土地がアスファルトやコンクリートで塗り固められ、風通しの良い木造住宅が機密性の高いコンクリートや鉄骨造に代わった。
熱を吸収する土と違ってコンクリートやアスファルトは熱を跳ね返し、足元から街を温める。コンクリートの家は熱伝導率が低いのでなかなか温まりにくいが、いったん温まってしまうと今度は冷えにくくなってしまう。このために太陽が沈んだ後も室内を高温状態に保ってしまうのだ。
さらには、高温の排気ガスを吐き出す車が道路を埋め尽くし、ほとんどの家に設置されたエアコンが街に熱風を補給する。つまり、コンクリートジャングルの都市生活ではいくら頭に直射日光を浴びることを防いでも、あらゆる場所、あらゆる時間帯でいろいろなタイプの高温環境による健康被害から逃れることができなくなった。実際にひとくくりに熱中症とした病態が激増したのだ。

体温調節機能が未発達あるいは機能低下した5歳以下の幼児、」や65歳以上の高齢者は特に熱中症をおこしやすい。だからこういったハイリスクの人たちは街を温めてしまうという悪循環を生むが、この異常な暑さに対してはともかくエアコンを活用して部屋を冷やし、水と電界質の補給に努めて自己防衛するしかない。また睡眠不足も熱中症の危険因子なので、夜間もエアコンを切らずに快眠することが肝心だ。

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