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混合診療解禁(SiCKOの世界が現実となる)

政府はアベノミクスの第3の矢の経済再建策の一つとして、混合診療の解禁を実施するようだ。混合診療とは保険診療と自由診療(患者さんの自費による診療)とを同時に行うことを言う。
これまでは、混合診療は差額ベッド代などを除いて原則禁止とされていた。保険で認められていない医療行為を行う際には、その病気にまつわる診療費のすべてを自己負担としなければならなかった。たとえば、まだ保険診療で認可されていない抗癌剤治療をする場合、その抗癌剤の薬代だけでなく、診察料、治療にまつわる検査料などすべてが自費診療として扱われる。そのために、患者の経済的負担が大きい。
混合診療が解禁となると、患者が100%自己負担するのはあくまでその抗癌剤に対する代金だけとなり、診察料やもろもろの検査料などは保険診療扱いでできるようになる。政府は今回の改正の狙いについて、患者の経済的負担を軽減して先進医療を受けやすくすることとしている。
確かに、こういった高度医療を受けたいと思う人たちにとっては、医療機関の窓口で支払う金額がこれまでよりも減るので、敷居が低くなることは間違いない。しかし、いくら本体だけ限定の自費払いだとは言っても、本当に自前で先進医療を受けられる人がどれだけいるのだろう。多くの先進医療の費用はとても高価だからだ。癌に対する重粒子線治療などは300万円近くかかる。
安倍内閣もこの点については、先進医療に対する敷居が低くなることによって、治療実績の収集が加速されて、確立された医療として認知されるまでの期間が短縮するとして、混合診療を解禁することによって高額の保険外医療が早期に保険診療に組み込まれるかのような、甘い夢を描いて見せる。
しかし、こういった高額な先進医療が保険適用になる可能性は極めて少ない。まずないと言っていいだろう。保険診療の支払い削減に躍起になっている国が、1例で数百万円もする治療を保険適用にするわけがないのだ。
むしろ、保険適用の診療は高血圧や風邪程度の廉価な支払いで済む疾患の診療に限定して、高価な治療は混合診療の名のもとにどんどんと自費扱いにしていくことが予想される。そうなれば、健康保険料を支払っているにも関わらず、その健康保険でカバーしてくれる診療はごく限定的なものになってしまい、命に関わる重大な病気の治療には必ず高額な自己負担分が生じるようになるだろう。
こうして、国は自分たちの長年の無駄遣いによって失われた社会保障費に対して何ら責任を負わず、国の支出を削減しようとしている。その削減分は「患者自身による治療の選択」などと言を弄して、国民に背負わせる腹なのだ。そして、この機に乗じて莫大な利益見込んでいるのが民間の保険会社だ。
今までは、健康保険料を支払っていれば、どんな病気に罹っても低額の負担で一定水準以上の治療を受けることができた。だが、混合診療が拡大すればいざという時のためには健康保険だけでは何の役にも立たなくなる。民間保険会社(アメリカ資本の保険会社の独壇場)の「医療保険」に加入を余儀なくされる。
そうなれば医療保険市場はこれまでの何倍もの需要が見込まれる。かくして、本来市場経済理論には適さない医療の世界も利益追求のための場になる。つまり、人の命が金儲けの道具となる。その証拠として、現在進行中のTPP交渉において、アメリカが強く要求している重要項目の一つが混合診療の解禁であることを指摘しておく。
アメリカからの圧力に屈した小泉・竹中内閣によって導入された民間の医療保険は今やテレビコマーシャルの常連だ。「がん保険」、「持病を持っていても入れる保険」、「先進医療もOK」などなど。
近い将来我々は健康保険のほかに、どのような民間医療保険に入っているかで、受けることができる医療の範囲が決められてしまう。言い換えれば金持ちは高度医療を受けることができるが、貧乏人は最低限の医療しか受けられないことになる。地獄の沙汰も金次第の、映画「SiCKO」* で描かれた世界になってしまうのだ。自国であらかた金をむさぼりつくしたアメリカのハゲタカ保険会社は、さらなる市場拡大を狙って虎視眈々と日本人の生命を人質に金儲けを目論んでいる。
世界に誇った日本の皆保険制度は小泉・竹中売国奴内閣の一撃に始まり、安倍の浮かれバカボン内閣の蛮行によってもはや風前の灯火の状態にある。
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* 2007年上映されたマイケル・ムーア監督のドキュメンタリー映画。アメリカの健康保険制度のない悲惨な医療事情を描いている。詳しくは2007年のコラム「他人事ではないシッコ(SiCKO)」、2011年のコラム「TPP-対岸の火事ではなくなったSiCKO(シッコ)」を参照。

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