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三権分立(司法は行政の暴走を止められるか?)

グウー(石)はチョキ(鋏)の刃を壊してしまい、チョキ(鋏)はパー(紙)を切り刻み、パー(紙)はグー(石)を包み込む。3つの物が互いに得意な相手と苦手な相手を1つずつ持ち、その関係から身動きが取れない状態のことを「三すくみ」とか「三つ巴」という。
グー・チョキ・パーだけでなく、蛇・蛙・ナメクジ、狐・猟師・庄屋、歩兵・騎兵・大砲、象・人・蟻などにも比喩される「三すくみ」の関係は、一つの物が突出して暴走することを防ぐシステムとも言える。
このシステムを政治に応用したのが三権分立だ。立法、行政、司法がお互いをけん制することによっていずれかの暴走を予防しようとするものであり、近代民主国家のもっとも基本的要件だ。したがって、三権分立は是が非でも守られなければならない。

去る5月21日福井地方裁判所において大飯原発再稼働の差し止めを求める住民訴訟に対して差し止めを命じる画期的な判決が下された。
樋口英明裁判長の判決骨子は①大飯原発は地震の際の原子炉冷却機能、放射性物質を閉じ込める構造に欠陥がある。②1260ガルを超える地震が来ないとの確たる根拠がなく、また、700ガルを下回る地震でも外部電源と主給水が絶たれる恐れがある。③使用済み核燃料を置く施設から放射性物質が漏れ出すことのない堅固な設備は存在しない。④大飯原発の運転はその周囲250kmに住む人の人格権を侵害する具体的な危険がある。というものであった。
この判決が画期的だという理由は、①原発事故の危険性が憲法25条、生存権に関わる重要課題であるという点を論拠としていること。②自然の力は現代の科学がはるかに及ばないほど強大だと論じていること。③原発問題に関して科学者と政治家だけで議論している現状を批判して、この問題を裁判所が避けてはいけない最重要課題であるとしたこと。さらに④目先の利益を追求する議論に以下の一文で釘を刺したことである。
その一文とは、「コストの問題に関連して、国富の流出や喪失の議論があるが、たとえ運転停止によって多額の貿易赤字が出るとしても、豊かな国土とそこに国民が根を下ろして生活していることが国富であり、これを取り戻すことができなくなることが国富の喪失であると裁判所は考える。」である。
読み返せば読み返すほど格調の高さに感銘する判決文だが、関西電力は翌日、控訴した。おそらく、高等裁判所では住民側の逆転敗訴となるだろう。運よく高裁で勝利したとしても最高裁の上告審ではほぼ確実に差し止め無効となる。なぜそのような予想が立つのかと言えば、高裁、最高裁と登っていくにしたがって行政寄りの判断が出るような仕組みになっているからだ。

裁判官は厳正中立の立場から、その良心に従って判断を下せるよう、憲法第76条によって独立性が保証されている。その職権は憲法と法律のみに拘束されているのだ。これを受けて民事訴訟法第247条及び刑事訴訟法第76条によって裁判官は事実認定・証拠評価について自由な判断を保証されている。これを自由心象主義という。したがって、裁判官はその判断のいかんによって罷免されることはない。
しかしながら、最高裁判所の長官は内閣によって指名されるし、長官以外の裁判官も内閣によって任命される。また、下級裁判所の裁判官については最高裁判所の名簿に基づいて内閣が任命する。つまり、人事権の上で内閣は裁判所に対して強い影響力を持っている。
また、司法行政権は事実上、最高裁判所の事務職員に握られている。司法行政権とは司法権を行使する機関の設営・管理などの行政作用を行う権限のことだ。行政作用を具体的に言うと、裁判官やその他の裁判所職員の任免、配置、監督、庁舎の管理、会計経理など。
形式上は司法の独立性を担保するために。司法行政は裁判所内の裁判官会議によって決定さえるとされている。そして裁判官会議による運営を補佐する目的で最高裁判所に事務総局が、下級裁判所には事務局が置かれている。ところが実際には、日本の裁判官は仕事量の多さに比べてあまりにも人数が少ない(簡易裁判所の判事補まで含めて3718名)ために、裁判官会議に割く時間がない。このために裁判官会議は完全に形骸化して、実質的には最高裁判所の事務総局が司法行政のすべてを掌握している。そしてこの最高裁判所事務総局は、戦前の司法省官僚の流れを汲んでいて内閣の意向が強く働く。
こうして、いくら裁判官は独立機関だとは言っても、生活を左右する人事権と司法行政権という首根っこを行政に抑えられているために、本当に自由な判断は難しい。初めから昇進を諦めている判事や退任間近でこれ以上昇進の可能性がない判事でないと、時の権力に逆らった判決は出てこないのが実情だ。
言い換えれば高等裁判所や最高裁判所へと昇進していくためには、優秀なだけではだめで、世渡りが上手でなければならないと言える。だから、地方裁判所で出された行政の違憲判決は高裁、最高裁と進めばひっくり返されることになる。
政府の方針に真っ向から対立する判決を書いた樋口判事が罷免されることはない。しかし、現在61歳の樋口裁判官はあと4年、出世しないで首都から遠く離れた地の一地方裁判官としてその任を終えるだろう。
すでに原子力村の政治家たちは、「あんな偏屈な裁判官の判決など無視すればよい。どうせ高裁で逆転判決になるんだから、これまで通り、原子力規制委員会での手続きを粛々と進めて早期に原発再開だ。」とうそぶいているようだ。
高等裁判所の裁判官たちよ、どうか自由な判断をしてほしい。もしも原発問題で行政や原子力村からの圧力に屈したならば、それは司法の自殺を意味する。
この国はもともと行政優位の状況が続いている。もし、国民の存亡に関わる原発問題で、これ以上行政の暴走を許すならば、三権分立の形骸化が決定的となり、近い将来、この国家は崩壊するだろう。

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