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23年目の移転に想うこと(レセプトの変遷)

今日から新しいクリニックでの診療が始まる。開業してまる23年目の移転だ。新しい診療所はJR大塚駅南口ロータリーに面した一階で、移転とはいっても旧診療所から200mほどしか離れていない場所なので、それほど混乱はないと思う。
私が大塚の地に開業した平成3年3月は日本のバブル経済破たんの始まりと一致する。この1991年3月から2002年1月までを「バブル崩壊」とか「失われた10年」とか呼ばれる。この年、巷では雲仙普賢岳で大火砕流や秋篠宮眞子様のお誕生があった年だ。

当時のレセプト(保険機構に診療費を請求するために一か月分の診療結果を患者ごとにまとめた請求書)作成は、まだ手書きで行っている医療機関が多かった。どの医院でも頻用する病名や薬剤、処置名のゴム印を作っていた。月初めの数日間、開業医の家では、家族総出でゴム印をペタペタ押す風景が見られたものだ。保険点数の計算ももちろん算盤や電卓を使っての手計算。
私の開業直前に、開業医向けのレセプトコンピュータ(レセコン)が普及し始めたので開業時から導入した。だが、ようやく32ビットが登場したばかりのパソコンがハードウェアであったので、作業能力は今のレセコンに比べると極めて低い。個々の患者の1か月分の診療行為を集計はしてくれるが、保険の種類ごとの集計などは相変わらず手計算。また、プリンタの性能もパソコンと同様にまだまだ未熟だった。
さらに、保険の種類ごとに用紙の色が指定されていたために、レセコンを使っても月初めのレセプト請求作業は陰気くさい夜なべ仕事であることに変わりはなかった。
何より苦労したのがプリントアウト。それぞれ指定された色で、あらかじめ枠が印刷されてある連続紙にドットインパクトプリンタでカリカリと印刷していく。最初の設定がいい加減だと所定の枠内に印字されないので、用紙のセットに細心の注意を払わなければならない。また、最初にきちんと設定してあっても、ちょっと気を許すと紙送りがずれてしまうことが少なくなかった。だから、せっかくの機械印刷なのに片時も目を離すことができなかったのだ。
印刷が終わってからもまだ大変な作業が残っている。保険の種類ごとに請求点数を集計しなければならない。本来パソコンが得意とするはずの計算業務なのだが、保険の仕組みが複雑なために手計算を要求される。
最後は、保険の種類ごとに、こより紐でレセプト紙の束を閉じる作業だ。千枚通しで所定の位置に穴をあけて、こよりで閉じる。さらに決められた順に各保険のレセプト紙の束を重ねて、さらに全体を綴じる。
簡単な作業に聞こえるかもしれないが、1000枚近い紙の束との格闘作業は結構しんどいものがある。通常この作業は診療が終わって、夕食を食べた後に行う。数日間、深夜一人でこの紐通し作業をしていると、だんだん陰鬱な気分になってくる。時代劇で見た、傘張り内職をする浪人の気持ちはこんなものだったのだろうかと思ったものだ。
出来上がった紙の束を医師会事務所に運搬してやっと診療報酬請求業務の終了。医師会に所属していない医療機関は社会保険支払基金と国民健康保険連合会、それぞれの事務所に自分で運び込まなければならなかった。

Windows95の登場以来、レセコンも急速に進歩し、ページプリンタが普及し、さらには保険の種類も簡素化された。おかげで、最近のレセプト請求業務はとても簡単になった。さらに、数年前からレセプト紙に印刷しないで、電子化された情報を直接オンラインで請求できるようになったため、レセプト請求作業はすべて合わせても1時間かからなくなった。隔世の感がある。
さらに、カルテそのものも紙ではなく電子情報化した電子カルテシステムが普及してきている。
カルテの保存はどの医療機関でも頭痛の種であった。カルテは経ることなく日々増え続ける。いくらカルテ庫を増設してもやがては満杯になってしまう。5年通院しない方のカルテは廃棄してよいことになっているが、6年くらいして現れる方も少なくない。ましてや長期間のお付き合いが普通の精神科医療では5年来られないからと言って、機械的に廃棄することはなかなかできない。
増え続けるカルテ対策の切り札が電子カルテだ。電子化情報の記録も無限とはいかないが、紙媒体に比べれば桁違いに小さな容積に記録を収納できる。

今回の移転では、駅前という立地と引き換えに極めて狭くなった。だからこれ以上紙カルテを続けることができなくなったので、移転を機に電子カルテを導入した。
同じ理由から、院内にたくさんの薬を保管、調剤することができなくなり、院外処方箋を発行して薬局で調剤をしていただくことになる。
このように、場所だけでなく、システムを変更するので、しばらくは不慣れで戸惑うと思う。ご迷惑をおかけすることが多々あろうかと思いますが、なにとぞご容赦ください。
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ドットインパクトプリンタ:ピンを縦横に並べた印字ヘッドをインクリボンに叩きつけ、圧力で紙に文字の形の「跡」をつけることにより印刷を行うプリンタ。動作音が大きく、解像度も低いために、現在は特殊な用途以外ほとんど使われない。

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