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貨物列車輸送

2月14~15日に降った大雪は関東地方に甚大な被害をもたらした。何百もの世帯が1週間近く孤立状態におかれた。孤立した村落では石油製品をはじめ生活必需品の補給が途絶した。食料は数日間は備蓄があるとしても、厳寒の折、暖房のための灯油の補給が絶たれるということは命に関わる大問題だ。
物流障害はこういった孤立村落の問題だけではなかった。東西を結ぶ輸送の大動脈の一つ、中央自動車道が4日間にわたって不通状態となったために、すべての物流が滞った。サービスエリアで立ち往生のトラックの大群の姿がニュースで映し出された。足止めされたトラックの運転者たちの姿を見て、日頃からの疑問が大きくなった。
その疑問とは、
なぜ、たかだか数トンの荷物に一人の運転手を要するトラック輸送に頼り切っているのだろうか?
どうして、数人の乗員で1000トンを超える物資を輸送できる、省エネで事故の少ない貨物列車輸送が見直されないのだろうか?というもの。

以前のコラムで、幼少の頃、深夜になると白金台町の実家から品川沖を航行する船の汽笛が聞こえた話をしたが、同じように空気の澄んだ冬の深夜には品川駅の操車場を出発する貨物列車の警笛も聞こえた。何十両もの貨物列車が連結されていく雄々しい風景を想像してわくわくしたものだ。
昔の物流の主役は貨物列車によるヤード(操車場)輸送方式の鉄道輸送であった。ヤード輸送とは、品川や田端のような広大な敷地の操車場に各駅から集めた物資を集結させ、多重連結の貨物列車に仕立てて地方の操車場に運び、そこで仕分けして末端の駅まで届ける輸送のこと。明治から大正にかけて日本各地に広大な操車場が建設された。
大量の物流を必要とする大工場は直接、支線を工場まで引き込んで直行輸送をしたが、一般庶民は最寄りの駅まで出向いて荷物の受け渡しをした。これを「チッキ」と呼んだ。母親の手伝いで目黒駅まで大きな箱を運んだり、受け取りに行った思い出がある。「チッキ」という耳慣れない言葉が、実は預かり証を表す英語「check(チェック)」の訛ったものだと知ったのはかなり後のことだ。幼心に「チッキ」は、箱の中から日頃見慣れない宝物が数々出てきたことと相まって、何やら暗号めいた謎の合言葉に聞こえた。
この輸送方式はヤードでの積み替えの手間がかかるために時間を要した。やがて高速道路網や高規格の国道が整備されると、トラックによる輸送時間が飛躍的に短縮した。このために鉄道輸送は経済の高度成長に反比例して一気に衰退した。
こうしてトラック輸送にその座を追い落とされて、貨物輸送は衰退の一途をたどり、当時の日本国有鉄道(国鉄)の巨大赤字の大きな部分を占めるようになった。このために1984年にヤード輸送方式は全廃されて、鉄道輸送はコンテナ貨車、石油・化成品・セメントなどの専用貨車を使った拠点間直行輸送だけになった。その結果、「チッキ」は消失し、多くの貨物専用路線と貨物取扱駅が廃止された。
1987年4月1日に、揉めに揉めた国鉄民営化が果たされて、国鉄は6つの地域別旅客鉄道会社と1つの貨物鉄道会社など12の法人に継承された。その後、かっての広大なヤード跡地は赤字補てんのために売りに出された。地元大塚駅に立っているホテルベルクラシックの敷地も元の貨物操車場の跡地だ。また、東京臨海高速鉄道りんかい線のように、以前の貨物路線を利用した新たな旅客線が新設された。

一度に運べる量が多く、しかも渋滞や事故の危険性が少ない貨物列車輸送は、距離が長くなればなるほどコストパフォーマンスが高くなる。排ガスを出さず環境にも優しい。
国鉄時代、貨物輸送が巨大な赤字を生み出した原因は輸送システムの問題だけではなく、労使紛争の生贄にされたことも大きい。
ドアからドアの運搬が可能なトラック輸送に比べて不利な、積み替え作業も、当時は人手に頼っていたからだ。積み替え作業の機械化、コンピュータ管理化に力を注げば、多くの物資輸送でトラックにひけをとらないシステムが構築できたのではないだろうか。
事実、空港のハブ化によって、外国からの荷物が翌日には配達できるようになっている。
そういった努力をせずに、一気にトラック輸送に切り替わってしまった背景には、日本の原油購入量を倍増させたいという国際石油資本(石油メジャー)の思惑が強く働いたのだと、私は思う。
今回の大雪でも高速道路よりもはるかに早く鉄道は回復した。貨物のためのインフラを売却してしまった現在、鉄道による貨物輸送を往時のように復活させることは不可能だ。だが、化石燃料を垂れ流す、不効率なトラック輸送依存を見直してみる必要があるのではないだろうか。

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