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裁判員裁判の鼎の軽重-千葉女子大生殺人・放火事件-

我が国の裁判員裁判は小泉純一郎元総理の司法制度改革政策に基づいて2009年5月21日から施行された司法裁判制度である。刑事裁判の第1審のうち、殺人罪、傷害致死罪、強盗致死傷罪、現住建造物放火罪、身代金目的誘拐罪など罪刑が死刑または無期懲役・禁錮にあたる重大事件について、国民から選ばれた6名の裁判員が参加して評決するもの。
 この司法制度改革の目的は司法を国民の身近な存在にして、法治国家の一員としての自覚を高める。そのことによって、治安の向上を図る。といったことも挙げられるが、もっとも期待される点は市民の持つ日常感覚や常識を司法に反映させることだ。

 さる10月8日東京高等裁判所で2011年6月に千葉地方裁判所における裁判員裁判で死刑判決が出た殺人・放火事件に対する控訴審判決が出た。判決は1審判決を破棄し、無期懲役に減ずるというもの。
 本件は2009年10月千葉県松戸市のマンション火災現場から当時21歳の女子大生の全裸の死体が発見されたことに端を発する。司法解剖の結果、死因が刃物による殺人と判定された。捜査の結果、翌年1月に別の強盗・強姦事件で逮捕されていた竪山辰美(当時48歳)が逮捕された。
 犯行の内容は強姦目的で被害者宅に押し入り、猿轡をかませぐるぐる巻きにした状態で強姦。その後現金とキャッシュカードをとった後、包丁で刺殺。さらに証拠隠滅のために部屋に火を放った。傍証から、強姦目的であることは明白なのだが、肝心の下半身が焼けてしまったために強姦は立証できなかった。
 実はこの竪山は過去7回にわたって女性を襲う事件を起こし、1984年と2002年にそれぞれ懲役7年の判決を受け服役している。松戸の事件は2回目の服役から出所してわずか1か月後の出来事だった。しかも、この1ヶ月の間に松戸事件以外に11件もの強盗、強姦を繰り返していた。
逮捕のきっかけも30歳代の女性を強姦し、一緒にいた60歳代の母親にも暴行を加えて、強奪したキャッシュカードで現金を引き出した事件だ。また、二人の子供の目前で母親を凌辱した事件もある。まさに鬼畜としか言いようがない男。逮捕後も、謝罪するどころか、嘘と言い訳を繰り返して悔悛の様子はかけらも見られなかった。
2011年6月、千葉地方裁判所における裁判員裁判で死刑の判決が下された。浪床裁判長は判決理由として「犯行形態は執拗で冷酷、非情、結果も重大である。出所後も数多くの犯罪を重ねており、被告人の更生の可能性は著しく低い。死亡した被害者が1人であっても、極刑を回避する決定的な理由にはならない。また、証言と証拠が食い違い、真実が述べられておらず反省が認められない。」とした。
まさに、市民感覚を反映した適切な判決と私は考える。これに対して東京高等裁判所の村瀬均裁判長が1審を破棄した理由は「計画性がなく、1人殺害の強盗殺人事件で死刑となった前例がない」というものだった。社会の著しい変化に対応すべく、司法制度を変えようと言っておきながら、われわれ市民の代表が出した結論を30年も前の永山基準を持ち出して、いとも簡単に覆したのだ。
永山基準とは1968年から69年にかけて4名を射殺した連続射殺事件の犯人、永山則夫に対する第1次上告審判決(1983年)で示された最高裁判所の死刑判決のガイドラインのことである。
具体的には①犯罪の性質、②犯行の動機、③犯行の態様、特に殺害の執拗性、残虐性、④結果の重大性、特に殺害された被害者の人数、⑤遺族の被害感情、⑥社会的影響、⑦犯人の年齢、⑧前科、⑨犯行後の情状の9項目。中でも1番の拠り所となってきたのが被害者の人数。客観的数字として表されるために、より深く掘り下げて考えなくても、容易に結論を出せるからだろう。永山基準では1人の殺人では死刑は適用されない。永山基準を金科玉条としてきた前例至上主義の結果、我が国では複数名を殺さなければどんなに凶悪な殺人犯であろうと死刑にはならないのだ。

刑事司法とは、社会の治安と秩序を維持することと、犯罪者の再犯予防・矯正・更生が主な目的であるとされている。しかし、その根底には、法治国家が私的報復・制裁(リンチ)を禁ずる代わりに、国家が被害者に成り代わって行う制裁の意味があると考える。だから、国が適正な刑罰を科さないならば、被害者や被害者家族によるリンチを制することができなくなる。そうなっては法治国家の根幹を揺るがしかねない。
報復という観点から考えると永山基準では、被害者の人命は加害者の1/2以下の価値しかないことになる。さらに被害者が1人ならばオートマチックに無期懲役という前例至上主義がこれまで通りまかり通るのならば、裁判官の存在意義はない。コンピュータに判定させれば、より厳格に過去の判例に則った判決を導けるというものだ。ましてや、市民代表の裁判員など導入する意味は全くなくなる。大事な日常生活を犠牲にして人の命について考え抜いた、裁判員たちの努力を徒労に貶める。
今回の控訴審判決は裁判員裁判制度の意義そのものが問われる出来事であった。

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