大学生時代にある教授が「歯科治療の多くのケースの最終処置は補綴治療です」と講義した言葉に引かれて、大学院ではこの教授のもとで補綴歯科を専攻しました。補綴とは歯を失った部分を人工物で補なうことで、噛む、発音する、飲み込むなどの機能と体裁を回復するのが補綴歯科治療です。歯を失った部分の状態に応じて、クラウン(冠、かぶせ物、さし歯)、失った歯の両側の歯を削ってかぶせ物をするブリッジ、部分入れ歯や総入れ歯など様々な方法があって、インプラント、顎関節症や歯軋りの治療も補綴治療に含まれます。私はこの分野で歯学博士号を得た後に非常勤講師として学生を指導し、その後、補綴歯科専門医と指導医の資格を取得しました。
教授の言葉のとおり補綴治療は歯科治療の「仕上げ」です。これに対して、歯周治療と歯内治療が基礎工事的な重要な役割を担ってます。この2つの分野のうち歯周処置については、日本ヘルスケア歯科研究会に所属して当院の歯科衛生士とともに研鑚をつみました。また、歯内治療については、早くからNi-Tiファイルと超音波チップ(ともにアメリカでの普及率は90%以上ですが日本では20%程度)を導入しました。歯周・歯内治療ともに術後の経過を長期に渡って追跡しており、多くの症例で良好な結果を確認してます。このほかにも、日常診療の傍らに歯科の様々な項目を研修してきましたが、今、歯科で何よりも重要なのは「予防」と「メインテンス」と考えています。