血精液症(精液の中に血が混入!)
血精液症(精液の中に血が混入!)
精液の中に血液がまじる状態を血精液症といいます。原因はまだ、はっきり究明されていません。前立腺や精嚢などの炎症が原因とされているのは約40%をしめていて、精嚢の粘膜からの出血が多いと考えられています。その他、前立腺結石、前立腺腫瘍、尿道腫瘍、精嚢腫瘍などの射精に関係する部位の病気や全身的に出血しやすい病気があると血精液症になることあります。
超音波検査、MRI検査、内視鏡など検査で異常がなければ、何も心配することはありません。出血で貧血になる事もないので、性生活をふくめて普通の生活を送ってください。
急性精巣上体炎(急性副睾丸炎)AcuteEpididymitis
どんな病気か精巣に付属する精巣上体に細菌が感染しておこる病気です。陰嚢が急に腫れて発赤し痛みがあり、高熱がでます。細菌が血流にのって精巣上体に付着して感染をおこすこともありますが、細菌が尿道から入って前立腺、精嚢、精管を通って、精巣上体に逆行して感染起こるのが大半です。大腸菌、緑膿菌、変形菌、ぶどう球菌などの化膿菌が多いのですが、性感染症の淋菌、クラミジアが感染しておこることもあります。
たいてい片側の精巣上体におこりますが、両側におこると男性不妊症になることがあるので要注意です。適切な治療を早くすれば、苦痛が少なくて、短期間で治すことができます。

症 状
陰嚢部を触っただけでも痛い、精巣周囲の腫れ、しこりが特徴です。悪寒、38~40℃の発熱があり、ひどくなると陰嚢は腫れあがって、皮膚は発赤し熱をもった感じもあります。精巣上体だけでなくて精巣までひとかたまりとなり、こぶし大以上に腫脹し、歩行が困難になることがあります。
原 因
尿道炎、前立腺炎、精嚢炎、膀胱炎などをおこした菌が精巣上体に感染してきたものが多いのですが、尿道カテーテルの挿入、留置などでおこることもあります。
検査と診断
陰嚢の腫れ、痛みがあり、尿検査で尿混濁、白血球、細菌がみられ、悪寒、発熱などがあれば、診断できますが、発熱前は、同じように急激に陰嚢の痛み、腫脹を呈す精巣捻転症、精巣垂捻転症、精巣上体垂捻転症などとの鑑別が難しいことがまれにあります。この場合は、手術をして診断します。
治 療
まず、原因となっている細菌に有効な抗生剤を投与して、症状に応じた治療を行います。
陰嚢部に冷湿布(冷やしたアイスノンなどをタオルでくるんで当てる)によって痛みはだいぶ楽になります。
朝は微熱でも夕方に高熱になるので、入院して治療をした方が良いこともあります。熱は5~7日でとれますが、精巣上体のしこりがとれるのは2~3ヶ月かかることもあります。治療は2週間くらいですが、しこりがとれるまで、無理はしないほうがよいでしょう。
怖くなった性病の話
私は去年の7月に泌尿器科を北浦和(西口)駅前で開業しましたが、開業早々、19歳と20歳の若者が連れ立って神妙な顔をして受診して来ました。「尿道から分泌物が出ているみたいで、下着が汚れるし、尿を出す時、痛みがある」とのこと。「変なとこに遊びにいったのではないの?」とよく話を聞くと、「2日前にファッション・マッサージに遊びに行ってきましたが、オーラルセックスだけで、性行為まではしてないのに、変な病気がうつされたのかな?クラミジアかな?心配だから先生検査してください」という。「これは、淋病だろうから、飲み薬じゃなくて、注射が必要なので打とう」とロセフィンを静脈注射しました。(2日目には症状が消失したそうです)。さっそく、検査をしてみると、淋菌が検出されました。検査した薬剤の感受性試験では、ニューキノロン系、ペニシリン系、セフェム系の経口抗菌剤には全て耐性を示しました。
注射薬のロセフィンは感受性がありました。
今や、淋病は経口薬では治すことができにくい難治性の疾患になってきたことは、意外と知られていません。淋菌は15年前までは、ほとんどの抗菌剤が有効でどの薬剤でも治すことができました。しかし、日本では最近の10年で、ペニシリンは100%効かなくなっていますし、ニューキノロン系は80%が耐性で、セフェム系もこの2年で50%以上が耐性な淋菌になってしまいました。有効な薬剤はロセフィン(セフトリアキソンナトリウム)など2つの注射剤しか、確実に有効な治療薬がありません。
日本性感染症学会では従来の経口薬に代わり、注射薬を中心にした治療法のガイドラインに改正する方針とのことです。性生活が乱れてきた昨今、正しい治療法が普及しないと、大流行を起こす可能性があり、危惧されています。
また、性風俗も性交でなく、オーラルセックス中心のファッション・マッサージが盛んなようです。淋菌感染は女性の咽頭に感染巣があり、オーラルセックスにより男性の性器に感染します。神奈川県のあるファッション・マッサージの一番人気の売れっ子のヘルス嬢は1日で50人のお客さんの相手をするそうです。彼女が喉に耐性淋菌をもっていたら、あっという間に広がってしまいます。当クリニックでの男性の若者の淋菌感染はほとんど経口感染です。経口感染は経膣感染より行為が簡単で、危機意識を持っている人が少ないので、われわれは、もっと経口感染による耐性淋菌感染の恐怖について声を大きくして啓蒙する必要があると思います。
精液の中に血液がまじる状態を血精液症といいます。原因はまだ、はっきり究明されていません。前立腺や精嚢などの炎症が原因とされているのは約40%をしめていて、精嚢の粘膜からの出血が多いと考えられています。その他、前立腺結石、前立腺腫瘍、尿道腫瘍、精嚢腫瘍などの射精に関係する部位の病気や全身的に出血しやすい病気があると血精液症になることあります。
超音波検査、MRI検査、内視鏡など検査で異常がなければ、何も心配することはありません。出血で貧血になる事もないので、性生活をふくめて普通の生活を送ってください。
急性精巣上体炎(急性副睾丸炎)AcuteEpididymitis
どんな病気か精巣に付属する精巣上体に細菌が感染しておこる病気です。陰嚢が急に腫れて発赤し痛みがあり、高熱がでます。細菌が血流にのって精巣上体に付着して感染をおこすこともありますが、細菌が尿道から入って前立腺、精嚢、精管を通って、精巣上体に逆行して感染起こるのが大半です。大腸菌、緑膿菌、変形菌、ぶどう球菌などの化膿菌が多いのですが、性感染症の淋菌、クラミジアが感染しておこることもあります。
たいてい片側の精巣上体におこりますが、両側におこると男性不妊症になることがあるので要注意です。適切な治療を早くすれば、苦痛が少なくて、短期間で治すことができます。
症 状
陰嚢部を触っただけでも痛い、精巣周囲の腫れ、しこりが特徴です。悪寒、38~40℃の発熱があり、ひどくなると陰嚢は腫れあがって、皮膚は発赤し熱をもった感じもあります。精巣上体だけでなくて精巣までひとかたまりとなり、こぶし大以上に腫脹し、歩行が困難になることがあります。
原 因
尿道炎、前立腺炎、精嚢炎、膀胱炎などをおこした菌が精巣上体に感染してきたものが多いのですが、尿道カテーテルの挿入、留置などでおこることもあります。
検査と診断
陰嚢の腫れ、痛みがあり、尿検査で尿混濁、白血球、細菌がみられ、悪寒、発熱などがあれば、診断できますが、発熱前は、同じように急激に陰嚢の痛み、腫脹を呈す精巣捻転症、精巣垂捻転症、精巣上体垂捻転症などとの鑑別が難しいことがまれにあります。この場合は、手術をして診断します。
治 療
まず、原因となっている細菌に有効な抗生剤を投与して、症状に応じた治療を行います。
陰嚢部に冷湿布(冷やしたアイスノンなどをタオルでくるんで当てる)によって痛みはだいぶ楽になります。
朝は微熱でも夕方に高熱になるので、入院して治療をした方が良いこともあります。熱は5~7日でとれますが、精巣上体のしこりがとれるのは2~3ヶ月かかることもあります。治療は2週間くらいですが、しこりがとれるまで、無理はしないほうがよいでしょう。
怖くなった性病の話
私は去年の7月に泌尿器科を北浦和(西口)駅前で開業しましたが、開業早々、19歳と20歳の若者が連れ立って神妙な顔をして受診して来ました。「尿道から分泌物が出ているみたいで、下着が汚れるし、尿を出す時、痛みがある」とのこと。「変なとこに遊びにいったのではないの?」とよく話を聞くと、「2日前にファッション・マッサージに遊びに行ってきましたが、オーラルセックスだけで、性行為まではしてないのに、変な病気がうつされたのかな?クラミジアかな?心配だから先生検査してください」という。「これは、淋病だろうから、飲み薬じゃなくて、注射が必要なので打とう」とロセフィンを静脈注射しました。(2日目には症状が消失したそうです)。さっそく、検査をしてみると、淋菌が検出されました。検査した薬剤の感受性試験では、ニューキノロン系、ペニシリン系、セフェム系の経口抗菌剤には全て耐性を示しました。
注射薬のロセフィンは感受性がありました。
今や、淋病は経口薬では治すことができにくい難治性の疾患になってきたことは、意外と知られていません。淋菌は15年前までは、ほとんどの抗菌剤が有効でどの薬剤でも治すことができました。しかし、日本では最近の10年で、ペニシリンは100%効かなくなっていますし、ニューキノロン系は80%が耐性で、セフェム系もこの2年で50%以上が耐性な淋菌になってしまいました。有効な薬剤はロセフィン(セフトリアキソンナトリウム)など2つの注射剤しか、確実に有効な治療薬がありません。
日本性感染症学会では従来の経口薬に代わり、注射薬を中心にした治療法のガイドラインに改正する方針とのことです。性生活が乱れてきた昨今、正しい治療法が普及しないと、大流行を起こす可能性があり、危惧されています。
また、性風俗も性交でなく、オーラルセックス中心のファッション・マッサージが盛んなようです。淋菌感染は女性の咽頭に感染巣があり、オーラルセックスにより男性の性器に感染します。神奈川県のあるファッション・マッサージの一番人気の売れっ子のヘルス嬢は1日で50人のお客さんの相手をするそうです。彼女が喉に耐性淋菌をもっていたら、あっという間に広がってしまいます。当クリニックでの男性の若者の淋菌感染はほとんど経口感染です。経口感染は経膣感染より行為が簡単で、危機意識を持っている人が少ないので、われわれは、もっと経口感染による耐性淋菌感染の恐怖について声を大きくして啓蒙する必要があると思います。