脳梗塞・心筋梗塞予防と水分摂取について
脳梗塞・心筋梗塞予防と水分摂取について
夜間頻尿の原因になるほどの過剰な水分摂取は有害です
「脳梗塞や心筋梗塞の予防のために水分をたくさんとりなさい」と指導を受けている患者さんが多く受診されます。テレビなどでも水分をたくさん飲むことを薦めていますが、どの程度の水分量が適切なのかについての報道はあまり見かけません。
私の水分摂取量と排尿回数と排尿量の関係、尿の濃度を2日間患者さんに記録して頂いた排尿記録の結果でも、水分をとりすぎる患者さんでは夜間にうすい尿がたくさん排泄され頻尿がみられることがわかりました。また日本や欧米で1日の水分摂取量と血液の濃さを調べた最近の研究の結果でも、1日尿量が1400ml以上になっても血液の濃度は薄くならず、排尿回数が増加しただけ、とくに高齢者では夜間頻尿が増えただけと結論されています。高齢者では加齢により膀胱容量が若年者より少なくなり正常の人でも頻尿となります。水分のとりすぎはQOL(生活の質)を悪くし、夜間頻尿を増やしその結果、何回も起きるため転倒の危険性が増加し、骨折などのケガが増えます。さらに水分のとりすぎは心臓への水分負荷も増え死亡率が上昇すると報告されております。これから暑くなる時期には介護を必要な人や認知症の患者さんでは水分摂取に気を遣う必要がありますが、健康な人では水分の過量接種は控えましょう。適切な水分摂取は1日の尿量の合計が「体重×20~30ml」程度を目標に水分摂取量を調節しましょう。