高血圧 手術で治る型も
高血圧は遺伝的な要因や生活習慣などで起こるのが一般的ですが、慢性の腎臓病やホルモンの分泌異常なども原因になる場合があります。
高血圧の治療は通常、医師から処方された薬剤を服用して治療しますが、薬剤を服用しても血圧が下がらない「治療抵抗性」と呼ばれるタイプの患者が国内に約100万人いると推定されており、「原発性アルドステロン症」はその中の一つです。
- 血圧数値が最高血圧140mmHg1以上または最低血圧90mmHg以上。
- 筋力が低下したと感じる。
- 手足がしびれる。
- 尿の量が多くなった。
- 薬を服用しても血圧が高い。
原因と病態
腎臓の上にある臓器「副腎」に小さな腫瘍ができると、血圧のバランスを保つホルモン、アルドステロンが過剰に作られてしまい、高血圧を招く。
診断
血液検査でホルモン濃度を測定し、コンピューター断層撮影装置(CT)などで調べるだけでは不十分で、血管からカテーテル(細い管)を入れて副腎の静脈の血液を直接採り、アルドステロン量を調べる検査が必要。 この検査ができる医療機関はあまり多くなく、専門医でなければ病気の特定も難しい。
治療
手術で腫瘍を取り除けば、異常なホルモン分泌がなくなり、血圧も正常値に戻る。手術方法は、腹部に小さな穴を開ける腹腔鏡手術などで腫瘍を摘出する。 ただし、手術対象になるのは片方の副腎に腫瘍があるケースで、両方の副腎に腫瘍がある患者は、手術ではなくアルドステロンの分泌を抑える薬やカルシウム拮抗薬などを組み合わせて治療する。
厚生労働省の調査によると、約4000万人が高血圧と推定されており、このうち治療を受けているのは約半数にとどまっています。高血圧の治療はまず医療機関を受診し、処方された薬をきちんと服用しましょう。
<2012年5月18日 日本経済新聞夕刊記事参照>