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脳ドックについて

画像診断法の進歩により、少ない侵襲で脳の形態が診断できるようになり、磁気共鳴画像(MRI)を主な検査として脳検査を行う「脳ドック」が1988 年ごろから我が国で始まりました。脳卒中、痴呆の予防を中心として脳ドックは、1990年代初めごろから磁気共鳴血管撮影(MRA)が実用化され脳の血管像が診断できるよになるとともに、わが国の多くの施設で実施されるようになり、脳卒中、痴呆の予防という点で大きな期待がかけられています。

脳ドックとは 脳ドックは、脳の病気を症状が出る前に見つけて、予防や進行を防ぐことが目的です。脳ドックには当初、さまざまな形のものがありましたが、1977年、日本脳ドック学会から「脳ドックのガイドライン」が発表された後はある程度形が定まっています。2003年度には改定版の「脳ドックガイドライン2003」が発表されています。

近年受診者は年間10万人近いと推定されるまでに普及しました。これは脳卒中や痴呆などの予防に対する国民の高い関心の表れで、脳ドックに、今まで職場の健康診断や人間ドックにはなかった、効果的な早期発見や予防への期待が寄せられた結果と思われます。脳ドックの特徴は検査項目に脳や脳血管の画像検査(MRI・MRA)が含まれていることです。これはMRIの検査機器が人口当たり世界一の数で普及しているわが国でのみできることです。


北神経内科平山記念クリニックの各種ドックの特徴としまして、専門医による診断と、放射線技師による焦点の合った撮影の後、速やかに治療がはじまります。
(即日結果説明を行っております。)
又、頚椎ドック、腰椎ドックにおいて手術が必要なケースは、直ちに治療がはじまるよう専門病院にご紹介しております。


脳ドックの検査の種類
脳ドックを受診する主な理由は何といっても脳卒中と痴呆でしょう。

必須の検査項目として、問診および診察、血液、尿・血液生化学検査など、心電図、頚部超音波検査、MRI診断、MRA診断があげられています。

現在の脳ドックでは高血圧、高脂血症、糖尿病、不整脈などのいわゆる脳卒中の危険因子を見つけることと、それに加えて画像検査としてMRI検査、MRA検査、頚部超音波検査が行われます。この部分が人間ドックとの違いで、いいかえればこれらの画像検査でどのような異常個所がみつかるのか、それがどのような意味を持っていて、どうすれば脳卒中の予防につながるのか、を知らせることが脳ドックの特徴であると言えます。

MRI検査
これは脳の形を見る検査で、最大の目的の無症候性(症状のない)脳梗塞の発見です。脳梗塞とは血流が途絶えて脳の一部が死んだ状態です。原因となる血管の部位や太さによって症状が出たり出なかったりし、大きな脳梗塞では死亡することもあります。血流が途絶える原因もさまざまですが、脳ドックで見つかる無症候性脳梗塞の多くは、細かい血管が詰まって起こる小さな脳梗塞でラクナ梗塞と呼ばれるタイプです。無症候性脳梗塞の脳ドックでは発見率は60歳台の人で約10~15%程度といわれています。これがあると将来、脳梗塞の症状を出す危険が3~4倍で、また、脳出血が起こる割合も高いと言われていますので、脳卒中の高危険群です。このような場合には高血圧、高脂血症、糖尿病、不整脈など、脳卒中の危険因子があればそれを治療して排除しなければなりません。ことに高血圧は脳卒中の最大の危険因子ですのでコントロールが大切です。

MRI所見で最近注目されているのは、特殊な撮影法で発見できる脳の微小出血です。おそらく脳ドック受信者の5%程度に見つかると推定されていますが、まだどの脳ドックでもこの撮影法が実施されているわけではありません。これが発見された場合は将来の脳出血の危険が高いといわれているので、高血圧の治療が欠かせません。

MRA検査
脳の血管を見る検査で、最大の目的はくも膜下出血の原因となる脳動脈瘤の発見です。我が国のくも膜下出血の発生率は成人人口10万人あたり年間40~50人程度ですが、死亡率が50%もある危険な病気です。脳神経外科医が一生懸命に治療しても生き残った人の約半数には何らかの後遺症が残ります。もし脳動脈瘤が破裂する前に見つかり処理することが出来ればどんなに良いか、ということは悲惨なくも膜下出血の治療に長年苦労してきた脳神経外科医の夢でした。この夢が脳ドックで実現するかもしれない、という思いが多くの脳神経外科施設で脳ドックが普及した知立の一つでもあったと思います。