原発性免疫不全症候群

人間は本来、体内に細菌やウイルスなどの病原体が入ると、防衛反応が生じます。この仕組みが免疫系です。原発性免疫不全症候群は、先天的に免疫系のいずれかの部分に欠陥がある疾患の総称であり、後天的に免疫力が低下するエイズなどの後天性免疫不全症候群と区別されます。


原発性免疫不全症候群の問題となるのは、感染に対する抵抗力の低下です。免疫系がうまく働かないことにより、風邪症状(咳や膿性鼻汁など)が治りづらかったり、何度も発熱したりし、入院治療が必要になります。重症なタイプになると感染症を頻繁に発症したり、繰り返したり、感染症が重症化して長引いたりします。生命に危険を生じさせる場合もあり、重篤な肺炎、中耳炎、膿瘍、髄膜炎などを繰り返します。その他にも、中耳炎の反復による難聴、肺感染の繰り返しによる気管支拡張症などの後遺症を残すこともあります。


この原因として考えられているのは、多くは免疫系に働くタンパクの遺伝子異常です。代表的な原発性免疫不全症候群の原因遺伝子はほとんど解明されていて、確定診断や治療に役立っています。


疾患・重症度により異なりますが、感染症をうまくコントロールすることが治療の主目的になります。軽症の場合は、抗菌薬の予防内服によりかなりの効果がありますし、こういった治療を続けることで通常の日常生活を送れます。


一方で、重症複合免疫不全症などの重症なタイプでは、早期に臍帯血や骨髄による造血幹細胞移植を選択します。造血幹細胞移植をしない場合、多くは2歳以上まで生存できません。ドナーがみつからない場合、海外での研究段階ではありますが、疾患によって遺伝子治療も考慮されます。また、疾患によっては、免疫抑制剤や副腎皮質ホルモン(ステロイド)などの治療が必要になる場合があります。


【参照】
http://www.nanbyou.or.jp/entry/95

https://www.msdmanuals.com/ja-jp/%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%83%A0/15-%E5%85%8D%E7%96%AB%E3%81%AE%E7%97%85%E6%B0%97/%E5%85%8D%E7%96%AB%E4%B8%8D%E5%85%A8%E7%96%BE%E6%82%A3/%E5%85%8D%E7%96%AB%E4%B8%8D%E5%85%A8%E7%96%BE%E6%82%A3%E3%81%AE%E6%A6%82%E8%A6%81