睫毛乱世はどんな病気?

睫毛乱世は一般的にさかさまつげという呼び方で知られており、毛根からのまつ毛の生え方が一定でないためにまつ毛が角膜に当たり傷ついてしまう状態を指します。
さかさまつげには睫毛乱世以外にも、まぶたが内向きにまくれることによって角膜や結膜にまつげが当たり傷ついてしまう睫毛内反と呼ばれる種類も存在します。

睫毛乱生はまつ毛1本のみで起こることもあれば多数のまつ毛で起こることもありさまざまです。
主にまつ毛の毛根部の炎症である眼瞼縁炎を原因としている場合が多くあります。
乳幼児~成人まで性別や年齢を問わず幅広く発症がみられ、乳幼児の場合には過剰なまばたき、光を異常にまぶしがる羞明、結膜充血、目やに、流涙などの症状が現れます。
小児や成人ではこれらの症状に加えて目に異物感や痛みを生じます。

成長とともに自然に治癒するケースが多く、抗生剤などによって経過観察となることも多いです。
痛みなどの症状が強く現れている場合には手術による治療も検討されます。

睫毛乱世の主な症状は?

睫毛乱世を発症すると、まつげが眼球に触れ黒目部分である角膜に傷がつくことで目に様々な症状が現れます。
具体的にはまばたきが異常に多い、光を異常にまぶしがる、眼が赤くなる、目やに、流涙、目の異物感、痛みなどが典型的な症状として挙げられます。
特に乳児や小児の場合、自覚症状を言葉で明確に伝えることができないことも多いため、光をまぶしがったり、めやにの増加などから親が異変に気が付くケースも多いです。

また睫毛乱世の場合、まつ毛の生え方によって常にまつ毛が角膜と接触してしまうものと、眼球運動やまばたきの強さによって角膜と接触してしまうものとがあります。
持続的に傷つけられることで角膜混濁に至るケースもあり、これは本来透明である角膜が濁った状態になるものです。
ただ本来子供のまつ毛は成人のものと比較すると柔らかく、角膜への傷はつきにくいとされています。
そのため3歳ごろまでは経過を観察し、自然治癒を待つケースも多いです。まれに症状が特に重い場合としては、角膜に潰瘍を生じるケースなどがあります。

睫毛乱世の主な原因は?

睫毛乱世は眼瞼縁炎と呼ばれるまつ毛の毛根部の炎症を原因として発症するケースが多いです。
炎症が起きた毛穴が傷跡となり、まつ毛の生え方に影響を及ぼします。まつ毛の生えている方向や配列が乱れ、眼球に向かって生えてしまうものです。

睫毛乱世以外のさかさまつげには眼瞼内反と呼ばれる種類があります。
これはまぶたの縁が眼球側へ向いていることによって起こります。皮下脂肪でまぶたが膨らんでいる乳幼児にもよく見られるもので、その場合は先天性のものです。
後天性の場合、老化でまぶたの皮膚がたるむことによって生じ、特に高齢者に多く見られます。

まつ毛は本来汗や雨水の進入を防いだり、眼球の表面に異物が付着するのを防ぐ役割を果たしています。
さかさまつ毛はこれらの役割を障害するものです。
自身でまつ毛を抜いた場合、一時的な改善がみられる可能性がありますが、再度生えてきたまつ毛は同様の状態であるため根本的な解決にはなりません。

睫毛乱世の主な検査と診断方法は?

睫毛乱世はまぶたの形状やまつ毛の生え方、角膜への接触の程度、傷の程度などを診察で確認したうえで診断されます。
常にまつ毛が接触している状態か、眼球の動きなどに応じて接触しているかも同時に確認します。眼科を受診することで診察を行ってくれます。

睫毛乱世は一般的にもよく知られている疾患と言うこともでき、自覚症状があっても医療機関を受診していない人が多く存在します。
しかし小児の場合は特に、自然に治癒するとしてもその経過で角膜を傷つけることが無いように定期的に検査を行って状態を確認することが重要です。
また、自身でまつ毛を抜いたりした場合には、感染症などの恐れもあるためまずは正しい診断を受けることが重要と言えます。
乳児においては目やにや光をまぶしがるなどの症状に注意する必要があります。

また、一度治療を行った後に再発を繰り返すことも珍しくありません。その場合繰り返し治療を行うことが不可欠で、そのためにも定期的な検査に通うようにしましょう。

睫毛乱世の主な治療方法は?

睫毛乱世の治療には点眼薬や、まつ毛の毛根を焼却する方法があります。
角膜に触れているまつ毛をぬいてもほとんどの場合は同じ場所に同じ生え方で再びまつ毛が生えてきます。
約1~2ヵ月ほどで再生すると言われており、以前よりも太いまつ毛が生えてくるケースもあります。
そのため多くの場合、まずは角膜保護剤や抗生物質の点眼薬によって経過を観察します。痛みなどの症状はこれによって改善する場合がほとんどです。
1歳前後までを一旦の期間として自然に治癒するのか点眼薬での治療を行いながら観察を続けます。
さらに2歳以上でも症状が軽ければ経過観察となりますが、症状が重い場合には手術による治療が選択されます。

まつ毛が再び生えてこないようにする方法としては電気分解やレーザーを用いてまつ毛の毛根を償却する治療が挙げられます。
また冷凍凝固、まぶたの中に糸を縫いこむ埋没法、皮膚と皮下組織を切除して縫い付ける切開法などもあります。高齢者の場合は眼輪筋短縮術と呼ばれる方法が一般的です。

睫毛乱世(さかさまつげ)の初診に適した診療科目