ペルテス病

初診に適した診療科目

ペルテス病はどんな病気?

ペルテス病とは、主に小児期によく見られ、大腿骨頭に血行障害が起こることで股関節が破壊される疾患です。
特に股関節に近い大腿骨上部の成長板に血液が不足することで発症します。小児期は骨が急速に成長しており、それに伴う骨の疾患も多く見られます。
ペルテス病も骨の成長板の疾患の一種であり、骨軟骨症に含まれるものにはペルテス病以外にもオスグッド・シュラッター病、ケーラー病、ショイエルマン病などが挙げられます。
5~10歳頃の男児に発症が多い傾向があり、多くは左右どちらか一方の脚に発症します。症状としては強い股関節の痛みを伴い、歩行困難になるケースもあります。

大腿骨上部の成長板に対し血液供給が不十分になる原因は明らかにされていません。一部には遺伝的な要因も関連していると言われています。

5歳未満の小児では自然に治癒するケースも多く見られます。治療方法としては装具を用いる方法や、手術などが選択肢として挙げられます。

主な症状

ペルテス病を発症すると、多くは股関節の痛みが初期症状として現れますが、まれに膝の痛みが初期症状となるケースもあります。
特に股関節には関節炎が生じ、それが生涯続く慢性的なものとなる可能性もあります。
痛みはゆっくりと強くなっていく傾向があり、数ヵ月かけて痛みが強まっていくケースも多いです。
また進行すると太股にも痛みを生じたり、症状が悪化すると歩行困難の状態に陥ります。
まれに痛みなどの自覚症状もなく、突然足を引きずるようになる場合もあります。同様に初期段階には特に重い症状が現れないままに股関節に重度の損傷を来すケースもあります。

大腿骨頭や大腿骨頚部に変形を来し、健康な側の足と比べて足が短くなるのも特徴的な症状と言えます。
この症状が現れると、多くの場合は短くなっている足をかばって歩行するため、足が細くなる傾向があります。
これは関節の動きが制限されて、使用されなくなった大腿筋が萎縮するためです。

症状が現れ始めたのが5歳未満かそれ以降かによって選択される治療も異なります。

主な原因

ペルテス病の原因は現在のところ明らかにされていませんが、いくつか発症のリスク要因となるものが挙げられます。
具体的には外傷による血行障害、阻血になりやすいという解剖学的な特性、関節液貯留による関節内圧上昇、血管内因子などがあります。

日々小さな外傷を繰り返すことで、成長段階にある脆弱な骨頭に影響が及びペルテス病を発症する可能性があると考えられています。
また、子どもの大腿骨頭はもともと3本の血管から血液が供給されていますが、6~7歳頃の小児は血行路は1本であるケースがよく見られ、これによって血液の供給量が不足する場合があると考えられています。これは特に男児に多い傾向があります。

また単純性股関節炎など、関節に液体が溜まることで生じる関節内圧上昇によって十分な血流が阻害される原因も考えられます。
繰り返し関節内圧が高くなると発症につながるという説があります。
その他にも血液が固まりやすい体質などの血管内因子なども要因として挙げられます。ペルテス病はこれらのリスク要因や環境など、さまざまな要因が組み合わさることで発症すると考えられています。

主な検査と診断

ペルテス病は主に臨床症状、レントゲン検査、X線写真検査、超音波検査、MRI検査などの結果から診断されます。
ペルテス病は自然治癒し後遺症が残らないケースも多く存在しますが、早期に発見して治療を開始することが特に重要な疾患です。

股関節、大腿部、膝関節痛の痛みや小児の跛行は特に注意すべき臨床症状です。
レントゲン検査による診断は、症状が現れてから3~4週間ほど経過しないと判断できないケースが多いです。
確定診断にはMRI検査が有効で、血流が途絶えて骨の壊死した部位が見つかれば比較的容易に診断が可能です。
壊死の範囲なども特定することができ、治療方針の決定にも欠かせない検査と言えます。以前は骨シンチグラフィーによって壊死した部位を確認していましたが、MRI検査の精度が向上し、現在ではあまり行われていません。

ペルテス病の診断には、その他の類似した症状を持つ股関節疾患との鑑別が重要になります。単純性股関節炎、リウマチ熱、溶連菌感染後の反応性股関節炎などが例として挙げられます。

主な治療方法

ペルテス病は特に5歳未満の小児では自然治癒が多く見られます。
そのため症状の程度によっては経過観察となるケースも多くあります。
治療にあたっては松葉杖や装具の使用、手術などの選択肢が挙げられます。

ペルテス病は早期に発見された場合、大腿骨頭への血流を改善させる治療が行われます。これによって将来起こりうる大腿骨頭の変形、股関節の変形を予防することに繋がります。
主に装具を用いて大腿骨頭を骨盤側の受け皿に包み込ませる位置を保つ方法が一般的です。
位置関係が正常に保てる状態であれば、運動が可能なケースもあり、症状の程度や年齢によっても運動に対する条件はさまざまです。
装具の使用は長期間に渡る場合もあり、その場合には小児のストレスなどにも注意が必要です。

発見や診断が遅れ、症状が進行している場合や9歳以上で典型的な症状が現れている場合には手術による治療が検討されます。
骨切り術と呼ばれる方法で、骨の一部を切除して股関節の位置関係を矯正する目的で行われます。