膵ガン スイガン

初診に適した診療科目

膵ガンはどんな病気?

膵ガンとは膵臓から発生したがんのことをいいます。膵ガン(すい臓ガン)は、すい頭部に多く見られ、そのほとんどの場合すい管から発症する膵管癌で、全体の80~90%以上を占めています。そのため一般的に膵ガンは膵管癌を示していると言えるでしょう。

膵臓は胃の後ろあたりに位置する臓器で、横長の形をしています。右端を膵頭部(すいとうぶ)、左側を膵尾部(すいびぶ)と呼びます。周囲を他の臓器や血管で囲まれているのが特徴で、腫瘍が見つかりにくい臓器として知られています。同じ理由で組織の採取も簡単ではありません。

膵ガンは他の臓器に転移しやすく、早期から血管やリンパ管へ広がります。手術での治療が難しいケースが多く、手術後の再発の可能性が高いのも特徴です。死因となるがんの統計では肺がん、胃がん、大腸がん、肝臓がんに続く5位で、60歳代以上の人が発症する確率が高いです。日本では近年膵がんが増加傾向で、膵がんの死亡数はこの30年の間に8倍近くに増加したというデータもあります。

主な症状

膵ガンの特に早期のものは特徴的な症状がなく、自覚症状による受診が難しい点が特徴です。初期症状は上腹部の不定愁訴(ふていしゅうそ)で、膵ガンを第一に疑うことは困難です。ほとんどの場合、症状に気が付いてガンが発見される頃にはかなり進行してしまっています。

ガンの進行とともに、胃のあたりや背中が重苦しい、上腹部痛(背部痛)、腹部腫瘤(しゅりゅう)、体重減少などが出現します。身体がかゆくなったり、尿の色が濃くなったりする症状も多く見られます。

黄疸は、膵臓の頭部にガンができ胆管がつまってしまった時におこる代表的な症状です。ただこれは胆石や肝炎などが原因となっている場合もあります。その他にも膵がんができると血糖のコントロールが急に悪くなったり、糖尿病を発症することも多いです。これは膵臓がインスリンなど血糖値をコントロールするホルモンを分泌す役割を担っているためです。糖尿病の治療中で、数値のコントロールが悪いと感じた際などには注意が必要です。

主な原因

膵ガンの原因は正確には確認できていません。膵ガンになる要因としては喫煙、血縁に膵ガンになった人がいる場合や、糖尿病、慢性膵炎すいえん、膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)などがあげられます。これらがリスクを高める要素のひとつと言われています。

中でも家族歴は、血縁関係者の中に膵臓がんの患者が2人以上いる場合には家族性膵臓がんとみなされます。血縁関係者の中に膵臓がんの患者が3人以上いる場合には、若くして膵ガンを発症するリスクが高くなるとされています。

その他にも強いストレス、脂肪分の取りすぎ、多量のアルコール摂取なども要因のひとつとされており、近年膵ガン患者は増加傾向にあります。糖尿病にかかっている場合には膵ガンの発症リスクも高いというデータがあり、糖尿病の診断を受けた際は膵ガンの検査を進められることも多いです。膵ガンと糖尿病の関わりは深く、膵ガンと診断された人の約4人に1人が糖尿病を発症しているというデータもあります。

主な検査と診断

膵ガンの検査はまず超音波検査やCT検査で腫瘍の有無を調べます。膵ガンの場合血液検査のみで膵ガンを早期発見することは難しく、画像診断を組み合わせるのが一般的です。超音波内視鏡検査は小さな腫瘍を発見するのに適しており、CT検査では膵ガン以外の臓器に転移がないかも併せて調べることができます。

しかし膵ガンは胃カメラなどのように腫瘍を直接見ることはできないため、超音波検査、CT検査だけでは早期の膵ガンを発見するのが難しいケースが多いです。より詳しく調べる精密検査としてはMRI、内視鏡的膵管造影、腫瘍マーカー、PET検査なども行い総合的に診断を行います。

MRI検査では膵ガンによって胆管や膵管が圧迫されているかどうか、内視鏡的膵管造影では直接膵管を描出することで膵管が圧迫されていないかなどを確認できます。また、腫瘍マーカーで血液中の成分の数値を調べたり、PET検査は全身へのがん細胞の拡がりを調べることもあります。さらに詳しい検査となると、腫瘍の一部を採取して顕微鏡で見る生検と呼ばれる検査を行う場合もあります。

主な治療方法

膵ガンの治療方法は大きく分けて手術、抗がん剤による化学療法、放射線治療の3つの選択肢があります。患者の年齢や健康状態、どの程度ガンが進行しているかなどを考慮していずれかを選択します。他の臓器への転移が認められない場合には多くの場合、手術と化学療法を組み合わせた治療を行う場合が多いです。

手術を行う前に化学療法や放射線治療でガン細胞を小さくする方法も一般的です。近年腹腔鏡での手術も増えており、開腹手術と比較して患者の負担が少ないというメリットがあります。

他の臓器への転移が認められるなどがんが進行している場合には手術で治療するのは難しく、化学療法、放射線治療が行わます。膵がんは早期発見の難しいガンのため、ほとんどの場合は受診したときにはガンが進行しており、手術ができる状態の患者は2~3割程しかいないのが現状です。

例え手術で切除できても膵ガンは再発や転移のリスクが高いため、再発予防のために化学療法を継続することもあります。