慢性膀胱炎 マンセイボウコウエン

初診に適した診療科目

慢性膀胱炎はどんな病気?

慢性膀胱炎とは一般的な細菌感染による膀胱炎の炎症が持続している状態を指します。
これは膀胱の防御能を低下させる基礎疾患が原因となっているケースが多いです。
その多くは泌尿器疾患と考えられており、前立腺肥大症、神経因性膀胱、尿路結石、尿路腫瘍などが挙げられます。発症リスクを高める疾患としては糖尿病も含まれます。
繰り返し発症する反復性膀胱炎、なかなか治癒しない難治性膀胱炎などに分類されます。

症状は急性の膀胱炎と同じく排尿痛、頻尿、残尿感の3つの症状が典型的です。
特に排尿痛は終わりの方に痛みを生じます。腎盂腎炎や前立腺炎、精巣上体炎などを併発している場合には発熱が見られたり、切迫性尿失禁、血尿なども見られる場合があります。

あまりに再発が多い場合には、他の疾患が原因となっている可能性を含めて検査を行うことが重要です。
慢性膀胱炎に対する治療には低用量の抗菌薬を持続的に使用する方法や、症状発現時に自己判断で内服を開始する方法があります。

主な症状

慢性膀胱炎を発症すると現れる症状は膀胱炎の三大症状と呼ばれる症状が現れます。
排尿した時に痛みを感じ排尿痛、日夜を問わず排尿の回数が増える頻尿、排尿を終えても尿が残っているように感じる残尿感です。
その他にも尿意切迫感、尿失禁、血尿なども見られる場合があります。

慢性膀胱炎の場合、急性膀胱炎と比較して症状は比較的軽度である場合が多いです。特に自覚症状がない場合もあります。
慢性膀胱炎の特徴としてはこれらの症状が長期に渡って持続したり、何度も再発を繰り返す点が挙げられます。

慢性膀胱炎は細菌性と非細菌性に分類でき、細菌性のものは慢性複雑性膀胱炎と呼ばれます。
急性膀胱炎を発症した際に、適切な治療が行われずに放置されると慢性複雑性膀胱炎へ移行する場合があります。
他の疾患を原因として慢性複雑性膀胱炎を発症することもあります。非細菌性とは、慢性膀胱炎の症状がみられるものの病原菌が特定できないものを指します。

主な原因

慢性膀胱炎を発症する原因としては細菌感染によって生じた急性膀胱炎が移行したもの、膀胱の防御能を低下させる基礎疾患を原因とするものなどがあります。
急性膀胱炎は膀胱内に細菌が入り込むことで発症します。

通常膀胱内に細菌が入った場合、排尿によって細菌は体の外へ排出されます。
しかし抵抗力が低下していたり、排尿を我慢していると膀胱の機能が正常に働かず、細菌が侵入して増殖します。
これによって急性膀胱炎を発症します。多くの膀胱炎は抗菌薬による適切な治療を行うことで回復が期待できますが、放置したり適切な治療が行われずにいるうちに症状が持続して慢性化します。
また回復してもすぐに再発を繰り返す場合もあり、このような状態になると慢性膀胱炎と呼ばれます。

また膀胱の防御能を低下させる基礎疾患を原因とする場合、その多くは泌尿器疾患です。
具体的には前立腺肥大症、神経因性膀胱、尿路結石、尿路腫瘍、尿道狭窄、骨盤内臓器脱、尿路カテーテル留置状態などが挙げられます。
エストロゲンの減少、糖尿病もリスク要因になる可能性があります。

主な検査と診断

慢性膀胱炎の診断には問診、尿検査によって行われます。
問診では自覚症状や基礎疾患、治療中の疾患の有無などについて確認します。慢性膀胱炎の中でも何度も発症と治癒を繰り返す反復性膀胱炎の場合、細菌残存タイプと再感染タイプとがあります。
細菌残存タイプの場合はCT検査や膀胱鏡検査によって尿路に原因がないかと確認する必要があります。
再感染タイプの場合、原因となる細菌も前回発症時とは異なる場合があり、原因の特定が難しいことも多いです。
また、治療によって再発をコントロールすることも困難と言えます。

抗菌薬を使用しても効果が見られず膿尿が持続する場合、難治性膀胱炎と呼びます。
この場合、神経因性膀胱、間質性膀胱炎、尿路結石、尿路腫瘍などの他の疾患の可能性を排除した上で下部尿路の炎症について確認します。

膿尿が認められる場合、膣分泌物が尿へ混入している可能性があるためカテーテル導尿法によって検尿を行うこともあります。

主な治療方法

慢性膀胱炎の治療は急性膀胱炎と同様に抗菌薬による治療が中心となります。
原因となる細菌が特定できればそれにあった抗菌薬が用いられます。
服用の方法は急性膀胱炎とやや異なり、低用量の抗菌薬を持続的に服用するか、症状発現時に自己判断で抗菌薬を内服するかの2パターンの方法があります。
近年では抗菌薬に抵抗する力を持つ耐性菌と呼ばれる菌が増加傾向にあります。
耐性菌の場合、従来効果を示していた抗菌薬でも効果が見られないことがあります。その場合には抗菌薬を変更するなどして治療を継続します。
この時注意が必要な点が、途中で抗菌薬の使用を止めてしまうと耐性菌を作ってしまう可能性があるということです。
医師によって指示された内服期間は必ず守るようにしましょう。これら薬による治療の他、こまめな水分補給も重要です。

非細菌性の慢性膀胱炎の場合は何らかの疾患が原因となっている可能性があるため、疾患の治療と併行して治療が行われます。