尿道カルンクラ

初診に適した診療科目

尿道カルンクラはどんな病気?

尿道カルンクラとは、特に中年以降の女性の尿道の入り口から尿道にできる良性腫瘍の一種です。
女性の尿道腫瘍で最も多い病気とされています。外尿道口付近の後壁にできる暗赤色の腫瘍で、血豆のような見た目をしています。
数mm程度~大豆以上の大きさまで、腫瘍の大きさはさまざまです。この腫瘍は尿道に付着し、外尿道口からはみ出した状態となります。
中年以降の女性の中でも特に閉経後の経産婦に多くみられます。

腫瘍が著しく大きくならない限り、無症状であることも多いです。腫瘍が大きくなると排尿時に出血が見られたり、排尿時の痛みや違和感を生じます。
これは主に大きくなった腫瘍が排尿経路を塞ぐことが影響しています。排尿後にティッシュでふき取るような軽度の刺激によって出血することもあります。

腫瘍が小さく症状が無ければ積極的な治療は行わずに経過観察となることも多いです。排尿に影響が出る、細菌感染を起こしていると言った場合には手術による治療が行われます。

主な症状

尿道カルンクラは、腫瘍が大きくならない限りは痛みの症状が現れることは少ないと言えます。
しかし軽い刺激で出血をすることが多く、排尿時に出血に気がつき、検査を受けて発見されるケースが多いです。
腫瘍が大きくなると排尿時に痛みや違和感を感じたり、尿道からの不正出血、接触による痛みなどが現れます。
また高齢女性の場合、これらのような排尿障害特有の症状は尿道カルンクラによるものだけでなく正常な場合にも認められます。
そのため尿道カルンクラは早期の発見が難しいとも言われています。また、排尿経路が尿道カルンクラで塞がれると細菌感染を起こしやすくなるという特徴もあります。
これによって膀胱炎を発症するケースも多く見られます。膀胱炎を発症すると頻尿、残尿感、排尿痛、尿の混濁、血尿などの症状が現れます。

一方尿道にできる悪性腫瘍の場合は尿道がん呼ばれます。尿道がんの場合でも、初期に現れる症状は尿道カルンクラとほぼ同じです。

主な原因

尿道カルンクラを発症する原因は現在のところ明らかになっていません。
一説には尿道に負担がかかる便秘や出産回数と関連しているのではないかと言われています。
高齢であることや、脂肪や糖分の多い食生活なども発症のリスクを高める要因として考えられています。

外尿道口の炎症の多発も尿道カルンクラを発症するリスクを高める場合があると考えられています。
主に尿道が短い女性に多い傾向があります。排尿を我慢したことで外尿道口が刺激され、細菌が感染しやすい状態になります。
そこから細菌が入り込んで外尿道口付近に炎症を生じます。このような炎症を何度も繰り返すことがあります。

また腫瘍から出血を生じる原因は、排尿後にティッシュでふき取ったり、外部からの軽い刺激によって起こります。出血の有無は重症度とは比例しないことも多いです。

尿道カルンクラは良性腫瘍の一種ですが、その他にも嚢胞、ポリープ、尖圭などが良性腫瘍の種類として挙げられます。

主な検査と診断

尿道カルンクラの診断には問診、視診、尿検査が行われます。
問診では自覚症状の有無や出産回数、食生活についてなど発症のリスクを高めると考えられる項目について丁寧に確認していきます。
視診では尿道から発生する赤色の小腫瘍の有無を確認します。


尿検査では血尿がある場合、尿細胞診検査を行うことで尿中のがん細胞の有無を確認できます。
外尿道口からカメラを挿入し、尿道や膀胱を観察する膀胱鏡尿道鏡検査やMRI検査、CT検査などの画像検査も必要に応じて行われます。
これらの検査では腫瘍の位置や大きさなどを確かめることができ、進行度を確認することにも有効です。
その他の疾患が隠れていないかを調べるために超音波エコー検査など必要に応じて追加の検査が行われます。
膀胱炎や腎盂腎炎などは特に尿道カルンクラと症状が類似しており、治療が必要な疾患です。

がんが疑われる場合は、その腫瘍部分に針を刺して組織を採取し、顕微鏡で詳しく観察する方法があります。

主な治療方法

尿道カルンクラの治療は、自覚症状が無かったり出血や痛みが認められない場合には積極的な治療は行われず経過観察となります。
比較的症状が軽度で、痛みや腫れ、出血が少量みられるような場合にはステロイドの軟膏で様子をみるのが一般的です。
多くは塗り薬の治療によって症状が改善し、腫れがひいて腫瘍も小さくなります。痛みがある場合は鎮痛剤を用いることもあります。

この治療で効果が認められない場合や、腫瘍が大きくなった場合、出血を繰り返したり排尿障害を来している場合には手術が行われます。
手術は局所麻酔や下半身麻酔を用いて行われ、腫瘍を電気メスで切除します。
切除部位の出家るを電気で固め、縫い合わせます。
手術後は一時的に尿が出にくくなる場合がありますが、ほとんどは一過性のもので自然に回復します。
経過観察も含めて数日の入院で行われる場合が多いです。

基本的に細菌感染を起こさない限り尿道カルンクラの予後は良好ですが、膀胱炎や腎盂腎炎など尿道カルンクラと類似した症状が現れる別の疾患が隠れているケースには注意が必要です。