皮膚カンジダ症 ヒフカンジダショウ

初診に適した診療科目

皮膚カンジダ症はどんな病気?

カンジダ症はカビ(真菌)の一種であるカンジタという真菌が異常に増殖することで性器のかゆみなどを引き起こす疾患です。
カンジダは口の中、消化管、腟に常に生息している常在菌で通常人体に害を及ぼすことはありませんが、特定の条件によって過剰に増殖する特徴があります。
口の中、食道粘膜、陰部の粘膜などの粘膜部分や鼠径部(そけいぶ)、脇の下、女性の乳房の下、腹のたるみなどの皮膚から感染しますが、皮膚の深い部分まで感染するケースは少なく皮膚や粘膜の表面にカンジダが寄生する表在型がほとんどです。

免疫力や常在菌バランスの変化によって発症することが多く、性交が原因となることは少ないとされています。
治療によって治癒した後でもホルモンバランスや免疫の低下などによってカンジダ菌が増え、再発を繰り返すこともあります。

常在菌が原因となる疾患のため誰にでも発症するリスクがあります。女性性器の感染症としては比較的多く見られる疾患です。カテーテル挿入中にカンジダが血液に入り込むカンジダ血症は特に重篤な疾患です。

主な症状

カンジダ症における症状は感染部位によっても異なりますが、特に腟カンジダ症では外陰部のかゆみやおりものの増加が典型的な症状と言えます。
激しいかゆみ、ときには痛みを伴い、ヨーグルトや酒かすのような白濁したおりものが現れます。
また、感染が進行すると膣内だけでなく外陰部にも炎症を起こし、熱をおびたり性交時に痛みを感じることもあります。
その他にも腟がヒリヒリするなど刺激を感じたり、排尿時の痛みも腟カンジダ症の症状のひとつと言えます。

陰茎カンジダ症は無症状の場合も多いですが、亀頭や陰嚢に発疹が現れたりかゆみやほてり、時には痛みを伴います。

鵞口瘡と呼ばれる口の中に発症するカンジダ症は、舌や頬の内側にクリーム状の白斑が付着する点が特徴です。口角炎では口角のひび割れ、裂傷が起きます。カンジダ性爪炎では指先のやわらかい部分が赤く腫れる、痛みを感じるなどの症状が現れます。カンジダ菌血症では炎症を起こしている部位によって心雑音があったり、目が見えなくなるなどの重篤な症状を引き起こすこともあります。

主な原因

カンジダ症は免疫力が落ちている状態で常在菌のバランスが崩れることで発症するケースや、薬剤の投与がきっかけとなるケースがあります。
口の中や食道粘膜に現れるカンジタ症の場合、副腎皮質ステロイド薬投与や免疫力の低下が原因となることが多く、糖尿病患者に特に多いとされています。
喘息の治療で使用されるコルチコステロイドと呼ばれる吸入薬の使用も発症のけっかけとなる場合があります。
男性器や女性器のカンジダ症も抗菌薬やステロイド剤の投与、糖尿病の合併症として発症するケースが多いです。

カンジダ症の中でも広く知られている膣カンジダ症は、妊娠中や風邪、寝不足などの免疫力の低下によるところが大きく、膣内の過剰な洗浄や性交渉の刺激などでも発症します。
高温多湿の状態が続くことが発症につながるため、ナプキンの長期使用や下着の締め付けなども一因となります。

何らかの理由で口から食事を摂取することができない場合、中心静脈カテーテルによって栄養を投与する手段がありますが、抗菌薬や点滴を投与することがカンジダ血症を引き起こすことがあります。

主な検査と診断

カンジダ症は問診によって自覚症状などを確認し、基本的には現れている症状を確認することで診断されることが多いです。
特に発疹と、その発疹から出る濃く粘り気のある白いかす、炎症の有無などを診断の助けとします。

また、症状が現れている皮膚や白いかすをこすり取り顕微鏡で確認したり培養することで原因となる真菌を調べることができます。
膣カンジダの場合は内診でおりものを採取し、カンジダ菌血症では血液を採取して同様の検査が行われます。
これらの検査でカンジタ菌の胞子や菌糸が検出されればカンジダ症と確定診断されます。検査結果は1週間程度で判明することが多いです。

検査自体は患者の負担も少なく、カンジダ症であることが明らかな場合には結果が出る前に治療が開始される場合もあります。かゆみやおりものの異変など、症状を自覚しやすい点もカンジダ症の特徴です。気になる点がある場合には早期に医療機関を受診するようにしましょう。

主な治療方法

カンジダ症は様々な部位で起こりますが、部位に関わらず治療において重要とされているのが患部の清潔を保つことと安静です。
抗真菌薬クリームが処方され、1週間~10日程度継続して様子を見る治療が一般的です。
多くの場合はこの治療で症状が改善しますが、真菌薬クリームや抗真菌薬で効果が見られない場合には紫色の染料を感染部位に塗って原因となる真菌を殺菌する方法も用いられます。

口腔カンジダ症の場合には口の清掃、うがい薬、塗り薬、内服薬などが用いられます。
膣カンジダ症では内服薬、軟膏、膣錠などが用いられるだけでなく、刺激の強いせっけんを避ける、性交渉を避ける、通気性の良い下着にするなど再発を防ぐようにします。必要に応じて膣坐剤の投与、洗浄なども行われます。爪カンジダ症は治癒に時間がかかるのが特徴で、完治までに1年以上かかるケースも珍しくありません。

また、全身状態に関わるカンジダ菌血症では、抗真菌薬の全身投与が行われ、場合によっては外科的な処置も必要です。