腋が(腋臭症) ワキガ エキシュウシュウ

初診に適した診療科目

腋が(腋臭症)はどんな病気?

腋がとは腋わきの下から独特な悪臭を放つもので、腋臭症やアポクリン臭汗症などとも呼ばれます。
汗を分泌する汗腺にはエクリン汗腺、アポクリン汗腺という2種類が存在しており、腋がは主にアポクリン汗腺から分泌される汗が原因とされてます。
このアポクリン汗腺が多い人は腋がになりやすいとも言えます。

独特なニオイは鼻にツンとくるニオイ、硫黄のようなニオイなどと言われることが多いです。
汗に含まれるタンパク質や脂質等の有機酸が、肌にもともと存在する菌によって分解される際に独特のニオイを生じます。

アポクリン汗腺は腋、乳首、陰部など体の中でも限られた部位にしか存在しません。
アポクリン汗腺は毛包内にあるため、腋がの人には腋毛の量が多いという傾向があります。

遺伝や性ホルモン、生活習慣の乱れなどが腋がを発症するリスク要因として考えられています。
日本人では男女を問わずおよそ10人に1人が発症するという報告もあります。

主な症状

腋がを発症すると腋に強いニオイを生じます。
クミンなどのスパイスやドリアン、納豆、ゴボウなどさまざまなニオイに例えらる場合がありますが、不快感を感じることもあるニオイとされています。
運動時などにかく汗はエクリン腺と呼ばれる汗腺から分泌されており、酸っぱいニオイなどが主です。
腋がはこのような他の汗のニオイとはまったく異なるニオイを生じます。デオドラント製品などを使用しても完全には防ぐことができない場合が多いです。

基本的に症状はニオイのみであり、積極的な治療を行わなくても体調が悪化することはありません。
しかし腋がのニオイに対して周囲の目線が気になるなど日常生活に影響を及ぼすことも多いです。仕事などをする上でストレスの原因になるリスクもあります。

腋がの症状は自身で自覚するのが難しいケースも多く、家族など周囲の人から腋のニオイを指摘されてはじめて気が付くケースもあります。腋のニオイが気になっている人はセルフチェックの項目などを用いて確認してみるのもよいでしょう。

主な原因

腋がは、主にアポクリン汗腺から分泌される汗が原因となってニオイを生じます。
アポクリン汗腺は性ホルモンの影響を受けているため、思春期になると分泌が活発になる特徴があり、分泌される汗には蛋白成分を多く含まれています。
アポクリン汗腺から分泌された直後の汗にはニオイはありませんが、細菌によって分解されることによりニオイを発するようになります。
アポクリン汗腺の汗がにおう体質は遺伝します。両親が腋がである場合、子どもも発症する可能性が高いです。
両親とも腋がである場合は片方の親のみ腋がである場合よりも確率は高くなります。

アポクリン汗腺の働きを活発にする作用がある性ホルモンの影響によるものもあります。
アポクリン汗腺が活発に働きだす思春期以前には腋がはあまり見られません。
女性に限ると妊娠、出産、月経など特に性ホルモンが強く影響する時期に一時的に腋がを発症することがあります。

飲酒や喫煙、食生活の乱れ、ストレスなどの生活習慣も腋がの発症する原因の一部に挙げられます。

主な検査と診断

腋がを診断する場合、血液検査や画像検査などの特別な検査は行われず腋の下の汗をガーゼなどでぬぐい、においを嗅ぐ方法によって診断ができます。
これをガーゼ判定と呼びます。このほかに、患者が訴える症状、他人に臭いを指摘されたことがあるかなど問診の結果も含めて総合的に判断されます。

また腋がには診断を確定するために明確な基準はありません。
そのため医療機関を受診する前にセルフチェックを行う人も多いです。チェック項目には、耳垢が湿っているか、耳毛が多いかなどのアポクリン汗腺の有無を確認する項目や、腋に触れる衣類に色がつくかなど、アポクリン汗の特徴について確認する項目、食生活に関する項目などが挙げられます。
身内に腋がの人がいるかや、自身の体毛が濃いかなども診断の助けとなる情報です。

女性の腋がは特に性ホルモンの影響を受けている場合が多いですが、女性ホルモンの分泌量が減る更年期以降に腋がのニオイが気にならなくなる場合も多いです。

主な治療方法

腋がの治療法としては制汗剤による外用治療、手術によるアポクリン汗腺の切除などが行われます。
制汗剤としては塩化ベンザルコニウム液や塩化アルミニウム液が用いられます。軟膏やスプレー、ローション、パウダーなどの種類があります。
またこまめに汗を拭き、腋毛を処理をすることなどもニオイを抑えるために効果的です。腋に毛が生えていると細菌の繁殖が活発になるケースが多いためです。

においが強い場合は、手術で腋の下のアポクリン汗腺を取り除く手術を行う場合もあります。
皮弁剪除法と呼ばれる方法は一度でニオイが無くなるもので、腋窩を1〜2カ所切開して皮膚の裏側にあるアポクリン腺を切除する方法です。
また、マイクロ波や超音波による治療もまれに行われます。

予防のためには汗のたまりやすい局所をつねに清潔にすることが重要です。
風通しが良く衣服や、天然素材の衣服を選んだり、食生活の改善や適度な運動なども予防に効果が期待できます。