口唇がん

初診に適した診療科目

口唇がんはどんな病気?

口唇がんとは唇にできるがんを指します。口唇がんの多くは下唇に発症すると言われています。
唇の内側を覆っている薄く扁平な形をした細胞を扁平上皮細胞と呼びます。
口唇がんのほとんどはこの扁平上皮細胞ががん化した扁平上皮がんです。腫瘍の成長に伴って深部の組織へ広がっていく特徴があります。
口唇がんを発症すると口唇上にただれ、しこり、腫れ、出血、しびれなどが生じます。ただ初期の段階では目立った症状がない場合や軽度である場合も多いです。

口唇がんへ進行するリスクが高い症状として白板症が挙げられます。白板症は粘膜部分が白くなる疾患ですが、白板症から扁平上皮がんを発症するリスクがあります。また、疾患を発生させるリスク因子となるものには喫煙、飲酒、日光や人口の太陽光を長時間浴びるなどが挙げられます。

口唇がんを発症した場合の予後はがんの病期、腫瘍の位置、血管までがんが広がっているかなどによっても大きく左右されます。

主な症状

口唇がんの初期段階の症状としては、上唇や下唇にしこりやただれのようなものができたり、表面が荒れるといった症状が挙げられます。
さらに進行すると、口唇にしこり、潰瘍、びらん、カリフラワー状の腫瘤なども生じます。
この時点では症状がかなり進行していると言えます。
また腫瘍が大きくなると首のリンパ節に転移する可能性があり、伴ってしこりを生じる場合もあります。
一方で口唇がんは口腔がん全体の中では発症頻度が最も低いがんとされています。また男女で比較した場合には、やや男性に発症が多い傾向があります。

唇の外側の見やすい場所だけでなく内側の粘膜に生じるケースもあります。
特に唇と皮膚の境目の粘膜部分に生じることが多いとされており、セルフチェックを行う際には唇の内側と下あごの歯肉に注意が必要です。
また短期間で病変の大きさや形に変化がある場合にも注意が必要です。口唇がんは自身で病変を確認できるがんです。
早期発見には口の中に違和感を感じたり見た目の変化を感じたら早めに受診することが重要です。

主な原因

口唇がんを発症する原因は、さまざまな要因が関連して発症すると考えられています。
特定の疾患のリスクを高める要因をリスク因子と呼びます。口唇がんのリスク因子としては喫煙、飲酒、長時間日光や人工の太陽光を浴びるなどが挙げられます。
また男性であることもリスク因子とすることができます。

口唇がんはこれらの要因によって長期間慢性的な刺激を受けることで発症しやすい状態が作られます。
過度のアルコールや紫外線などが細胞を傷つけ、その細胞ががん化して口唇がんを発症するケースが多いです。
口唇がん以外の口腔がんでは、合わない入れ歯や歯の被せものの破損などもリスク要因として挙げられています。

これらの口唇がんのリスク因子は生活環境を整えたり口内環境を清潔に保つことでリスクを低下できるものも多いです。
まずは喫煙や飲酒などの生活習慣を見直し、定期的な歯科検診や歯磨き習慣、適切な歯科治療なども重要です。
予後を良好に過ごすためにも初期の段階での発見が重要であるため、鏡を見ながらセルフチェックを行うことも効果的です。

主な検査と診断

口唇がんの診断には問診、触診、生検、内視鏡検査、MRI検査、CT検査、PETスキャン、骨スキャンなどが行われます。
問診では自覚症状だけでなく健康習慣や過去の病歴、歯科などの治療歴を確認します。同時に触診によって実際に腫瘍部分を確認し、リンパ節の腫れの有無なども確認します。
確定診断には生検が行われます。細胞や組織を採取して顕微鏡で詳しく確認する方法で、病変部の細胞にがんの徴候がないかを確認します。
同様の検査に剥離細胞診と呼ばれる検査もあります。口唇から組織を採取します。

口唇がんと判断されれば、内視鏡検査、MRI検査、CT検査などによってさらに詳しく全身の検査が行われます。
造影剤などを用いてより鮮明に病変部などを映し出す方法もあります。

PETスキャンでは体内の悪性の腫瘍細胞を検出することが可能です。骨スキャンはがん細胞など、活発に分裂している細胞が骨の中に無いかを確認することができる検査です。

主な治療方法

口唇がんの治療は手術による切除、放射線治療、化学療法などが選択肢として挙げられます。
口唇がんの場合、手術による口唇の部分切除によって根治的な治療を行うことが第一選択肢になります。
放射線治療、化学療法は手術療法と組み合わせて行われる場合がまれにありますが、口唇がんの場合単独で行われるケースは少ないと言えます。
口唇は審美的な面でも目立つ場所にあり、治療後の傷は生活の質にも関わります。
可能な限り傷口が目立たないよう手術方法も検討され、手術によって欠損した部分には再建手術も同時に行われることが多いです。
また、手術を行った後に嚥下障害や摂食障害などの機能障害を生じた場合、リハビリテーションによるフォローも重要です。

化学療法は手術を行うことができない場合や手術後の再発や転移のリスクが高いと判断された場合に、主に抗がん剤によって行われます。
この際放射線治療を併用することもあります。化学療法は悪心や嘔吐、下痢など副作用を伴うため、副作用が軽減されるよう配慮しながら治療が進められます。