成人スティル病 セイジンスティルビョウ

初診に適した診療科目

成人スティル病はどんな病気?

成人スティル病とは発熱や発疹、関節症状などを伴う疾患です。
もともと小児において、スティル病と呼ばれる関節症状のほかに発熱や、皮膚の発疹、リンパ節の腫脹などの全身症状を示す疾患が存在し、のちに成人でも同様の症状を示す疾患が見られるようになったことから成人スティル病と呼ばれるようになりました。
比較的新しい疾患で、難病にも指定されています。
膠原病の一種と言えますが、自己抗体は陰性であるため自己炎症性疾患の一種とも言われています。

症状としては複数の関節が痛み熱を帯びる慢性関節炎、ピンク色の皮疹、40℃に達する高熱などが代表的な症状と言えます。
分類基準が定められており、条件を満たしている場合に成人スティル病と診断されます。基準にある内容としては白血球増加、咽頭痛、肝機能異常なども含まれています。
人口10万人当たりに対し約3.7人が成人スティル病を発症しているとされています。

男女比で見ると女性の発症がわずかに多く、平均発症年齢は46.5歳となっています。
また、多くは成人発症で16歳未満での発症はわずか5%ほどに留まりました。

主な症状

成人スティル病の場合、発熱、関節症状、皮疹が3大症状と言えます。
主に発熱している際に同時に関節症状や皮疹があらわれ、熱が下がると同時にそれらの症状も落ち着く傾向があります。
熱は39℃以上の発熱が1週間以上持続するなどが典型的です。この発熱のタイプは弛張熱と呼ばれ夕方から早朝にかけて熱が上がり、日中は解熱する場合も多いです。

サーモンピンク疹と呼ばれる特徴的な皮疹はかゆみを伴わず、主に腕や脚、体感に生じます。
また成人スティル病で生じる関節症状は大きな関節に多発的に起こります。手首や肘、肩、膝などに現れる場合が多いです。
関節の変形にまで至るケースはほとんどありません。さらに咽頭痛、筋肉痛、リンパ節腫脹、肝脾腫なども併発する可能性があります。
またまれなケースでは薬にアレルギーが起きやすくなる場合があります。

合併症としては胸膜炎、心膜炎、間質性肺炎などを発症するケースもあり、重篤な場合は命に関わる可能性もあります。

主な原因

成人スティル病は現在のところ原因は不明ですが、ウィルスなどの病原微生物による感染が原因となり、それに免疫異常が関係して発症するのではないかと考えられています。
白血球の単球、免疫にかかわるマクロファージと呼ばれる細胞などが何らかの要因で異常に活動しはじめ、炎症を起こす物質である炎症性 サイトカインを大量に作り出すことで強い炎症を引き起こしていると推測されています。
また成人スティル病に対して家族歴は確認されておらず、強い遺伝形式は見られないとされています。

経過によって、特別な治療を行わなくても自然寛解したり治療に良く反応して回復する単周期性全身型、同様の症状がぶり返してしまう多周期性全身型、関節炎が持続する慢性関節型の3つのタイプに分類されます。

成人スチル病は細菌やウイルスの感染症によって発症したり増悪する可能性もあります。
食事、睡眠、運動などバランスの取れた生活を心掛けたり、インフルエンザワクチン接種なども予防のために効果的です。

主な検査と診断

成人スティル病の診断には血液検査などを行いながら、分類基準を元に診断が行われます。血液検査では白血球・CRPの増加、赤沈の亢進などを確認します。
補体値の上昇、免疫グログリンの上昇なども特徴として確認することができます。
またフェリチンと呼ばれる項目にも上昇が見られますが、これはサイトカインが過剰に産生を活発にしているためです。
同時にリウマチ因子、抗核抗体が陰性であるか、肝機能障害の有無なども確認します。

成人スティル病の診断においては感染症や他のリウマチ性疾患、悪性リンパ腫などの悪性疾患などと鑑別することが大切です。
これらは成人スティル病とよく似た症状を呈します。
確定診断を行うために特定の項目はなく、分類基準から大項目の2つ以上を含み、合計5つ以上の項目が該当する場合に成人スティル病の診断がくだされます。
大項目には主に発熱、関節痛、皮疹といった代表的な症状が項目として挙げられており、その他には肝機能異常、リンパ節腫脹、脾腫、咽頭痛などが小項目として挙げられています。

主な治療方法

成人スティル病の治療にはステロイドや免疫抑制剤が用いられ、中心となるのがステロイドの全身投与です。
ステロイドの全身投与することで炎症を鎮める効果が期待できます。
まず初期段階で大量のストロイド投与を行い、炎症状態を注意深く観察しながら徐々にステロイドの量を減らしていく方法が一般的です。

またストロイド投与で効果が見られない場合や、ステロイド減量中に症状が再び現れる場合があります。
この場合には免疫抑制剤の使用が検討されます。生物学的製剤のトシリズマブなどが例として挙げられます。
小児スティル病において効果が認められている薬剤で、成人スティル病にも応用されることが多いです。
その他に使用する薬剤としてはメトトレキセート、シクロスポリンなどが例として挙げられます。

治療薬によく反応し、炎症をコントロールできる場合もあれば慢性的に炎症が持続する場合もあり成人スティル病の治療経過は予測が難しいとされています。
長期的に続く可能性がある疾患として治療に臨むことも重要です。